『おやじダイエット部の奇跡』

栗下 直也2012年06月19日 印刷向け表示
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175センチで60キロ台半ばの私がダイエットに関する本を取り上げるのは出すぎた真似かもしれない。だが、私は怖いのである。油断すると70キロをらくにこえ、増量がとまらなくなる自分が。日常的に運動をしている身でもないので、筋力が増すわけでもなく、腹の周りにだらしなくつきまとう肉の重みが増すだけである。風呂の鏡をみて「これが俺か」と愕然として節制に励むが、このぎりぎりの戦いを支える私の中にかすかに残る見栄がいつ決壊するかわからない。鏡の前で、張り裂けそうな腹をさすって「これが俺だ」と開きなおる日も近いのではと想像してしまうのである。そして、本書を読むと、それは想像でも何でもなく、三食何も考えずに食べて飲んでいたら、ゆっくりだが確実に、引き返すのが困難な道を歩んでしまうことを思い知らされるのだ。

本書はそのような道を辿り、今や、デブであることに開き直ったおやじたち6人が一年発起して減量に向け立ち上がった記録である。体重も職業もばらばらの彼らが共通して取り組んだのが糖質制限と呼ばれるダイエットである。簡単にいうと、ご飯やパン、パスタなど主食を中心に糖質を抜く。糖質さえとらなければ、食べ放題だし、酒も飲める。著者のように徹底的に三食制限する方法から、夕食だけ実践する緩やかな取り組みまで様々だが、結論としては確実にやせている。ダイエットと聞くと、厳しい制限を想像させるが、緩いしばりが、面倒くさがりのおやじたちには向いているのかもしれない。著者の呼びかけで、始めは抵抗する者もいたが始動した「おやじダイエット部」」の6人の平均減量幅は実に22キロ。「キャプテン」である著者は168センチ87キロから3週間で67キロまで減量し、2年間リバウンドはないという。

本書のありがたいのはやせる理屈に加え、おやじたちが実践した具体的な糖質制限メニュが豊富に記載されている点。それぞれが取り組んだ一週間の献立などが記されている。巻末には食品の糖質一覧表や糖質食を提供するレストランの情報も掲載されている。

夏と言えばダイエットに取り組む人も多いだろうが、挫折した人も少なくないはずだ。家族や会社の同僚や部下に毎年減量を宣言して挫折し、「ダイエットやるやる詐欺」と揶揄されるあなたも今年は自分がだまされたと思って取り組むのもありかも。もちろん、私のように何年後かの備えや予防線をはる意味で読むのもありだろう。

余談だが、HONZ代表の成毛も昨年、取り組んでおり減量に成功したらしい。成毛の話を聞いた上で本書を読むと、「太ってもいいや。太ったら糖質ダイエットをすればいい」という誘惑に駆られるのが唯一残念なところか。

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