『見えない宇宙』

成毛 眞2008年10月12日 印刷向け表示
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見えない宇宙
作者:ダン・フーパー
出版社:日経BP社
発売日:2008-07-03
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この翻訳本の副題「理論天文学のたのしみ」はいかがなものか。本来は「素粒子宇宙論のたのしみ」ではないだろうか。スーパークラスターやスーパーボイド、宇宙マイクロ波背景輻射ゆらぎなどの話はあまりでてこない。あくまでもダークマターとダークエネルギーの正体が話題の中心なのだ。

とはいえ、本書は非常に良くできた宇宙論の読み物である。満遍なく先端研究を取り上げていて、しかもどの理論にも偏向していない。人間原理に肯定的でありながらも、「科学は、いつの日か私たちの宇宙よりもずっと大きなマルチバースが存在していることを明らかにするかもしれない。」という手順で、ある種の閉塞感を取り払ってくれる。

原書は2006年に米国で上梓されたのだが、あきらかに今年稼動したCERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を意識している。この装置で最終章で数十~数千ギガ電子ボルトの新粒子が発見されるであろうと期待しているし、それをもとに未来の宇宙論をシミュレーションしてみせる。

今年は日本人がノーベル物理学賞を独占した。来年にはLHCで新粒子が発見されることが想定できるため、基礎理論を作り上げた理論物理学者を先行的に褒賞したのだろう。もしヒッグス粒子でも発見されれば、その実験物理学者は即ノーベル賞候補になるからだ。それとも、ノーベル財団はこの恐慌下で日本がリニアコライダーを建設することを期待しているのであろうか。

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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
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