『表徴の帝国』

成毛 眞2008年10月23日 印刷向け表示
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表徴の帝国 (ちくま学芸文庫)
作者:ロラン バルト
出版社:筑摩書房
発売日:1996-11
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前掲の『日本の国宝、最初はこんな色だった』に触発されて『表象の帝国』を読んでみた。著者のロラン・バルトは1980年に没したフランスの記号学者である。と書いてみたが、記号学について全く知識がない。Wikiによれば「記号学は、言語を始めとして、何らかの事象を別の事象で代替して表現する手段について研究する学問を指す。」とのことだが、ますますわからない。しかたがないので不明のまま、本書の文章をいくつか抜書きしてみよう。

大相撲の力士たちについて「瞬間に相手の巨体を倒す。危機も、ドラマも、疲労困憊も、ない。ひと言でいうと、スポーツがない。持ち上げの表徴なのであって、闘争の異常な興奮ではない。」じつは企業間で相撲見物を接待に利用するときの案内状には「大相撲ご観覧のお誘い」と書くことが多い。そう、財界人は大相撲を「ご観戦」などしない。

「《天ぷら》の料理人は食べ物を歌い語りする。食べるのはあなたである。だが、演じ、書き込み、つくりだしたのは、かれなのである。」寿司や天ぷらのような板前料理は江戸時代の屋台を高級にしてみただけだ。そう解釈してしまってはまさに味気ないであろうか。いや、天ぷらは揚げたてがやはりうまい。

「東洋の女形は女性をコピーしない。女性を表徴する。(略)女形は読みとられるものとして、女性を現前させるのであって、見られるものとして現前させるのではない。」とはいえ、若くて美しい女形は女性そのものだ。まだ読みとられるまでの芸になっていないと解釈するべきなのであろうか。いや、やっぱり菊之助はよかった。

文句をいいつつ、じつはなかなか面白い本だった。エクリチュールなるものが少し分かったような気がする。それにしてもこの文庫本232ページで1000円とは高すぎる。学生はブックオフに行こう。

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