『ぼくは猟師になった』

成毛 眞2008年11月19日 印刷向け表示
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ぼくは猟師になった
作者:千松 信也
出版社:リトル・モア
発売日:2008-09-02
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33歳の現役猟師による猟とその生活を語った本である。京都にある大学の築80年の寮に住んでいたというのだから、京大の出身であろう。現在は運送会社でアルバイトをしながら猟師として暮らしているらしい。「まえがき」の1行目を引用する。

『僕が猟師になりたいと漠然と思っていた頃、「実際に猟師になれるんだ」と思わせてくれるような本があれば、どれほどありがたかったか。』

つまりこの本は、いま猟師になりたい人がいたとしたら、唯一の本ということになる。しかし、「猟師はちょっと...」と思っている多くの人にとっても、とても魅力的な本だ。生真面目系エンタメノンフという感じなのだ。

第一章は猟師になるまでの子供のころからの経緯が淡々と語られる。高校時代に出会った柳田國男の『妖怪講義』が進路を決定づけたという。この本に出会って、故郷に残っている言い伝えと、著者が考えていた人間の自然への関わり方が一本の線でつながったといのだ。この人も本で人生が変わったのだ。

第二章以降はいわば猟のマニュアルである。猟の方法は銃ではなく仕掛け罠だ。鹿、猪、カモ、すずめ、鮎を捕る。そして食べ、燻製にし、毛皮をなめす方法が写真を交えて紹介される。もちろんレシピも念入りだ。

この本が魅力的なのは、狩る側と狩られる側、生と死などをセンチメンタルに語っていないことだ。生態系などを持ち出して制度的に猟を正当化するという試みもない。淡々と猟の醍醐味を語るのだ。

ところで、この出版社はどうやってこの著者を探し出したのだろう。この出版社は写真集が得意で『うめめ』で話題となった。ノンフィクションも注目だ。

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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
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