『皮膚は考える』

成毛 眞2009年08月21日 印刷向け表示
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皮膚は考える (岩波科学ライブラリー 112)
作者:傳田 光洋
出版社:岩波書店
発売日:2005-11-03
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ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版
作者:ダグラス・R. ホフスタッター
出版社:白揚社
発売日:2005-10
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2005年初版の本なので当ブログでは取り上げなかったのだが、『傷はぜったい消毒するな』でも紹介されているので取り上げてみることにした。科学書好きは必ずチェックする岩波科学ライブラリの1冊だ。ともかくエッセンスをいくつか紹介してみよう。

嘘発見器の原理にもなっている皮膚の表面電位は表皮細胞が起こしている。意外にもこのメカニズムは21世紀近くまでわからなかった。この表面電位はアトピー性皮膚炎、老人性乾皮症などで低下する。その状態を改善するためには硫酸バリウムが効果的であることを著者は発見する。(硫酸バリウムベースの化粧品であれば、夏井先生が「庇護」する嫌気性皮膚常在菌も生きつづけることができるかもしれない)

表皮にある細胞(ケラチノサイト)に刺激をあたえると、脳内の神経伝達物質であるドーパミンやエピネフリンなどの合成・分解をすることができることがわかってきた。このことからアトピー性皮膚炎に悩む患者に多くみられる「うつ」が解明できるかもしれないという。(だとすると「アトピー性皮膚炎+うつ状態」の人は夏井先生式のワセリン療法で快癒するかもしれない)

さらに著者は表皮にはいわば光センサーがあり、神経伝達物質などを分泌することを発見したことから、冬に起こる季節性の「うつ」にも皮膚のセンサーが関与している可能性があると予言する。

さらにさらに、著者はアドレナリンやメラトニンなどの神経伝達物資を皮膚に塗ると何らかの作用を及ぼすことを実験で確かめ、つづいて針灸による皮膚刺激と神経系、内分泌系の接点の存在などについて示唆する。針灸に種類があるのはそれぞれの設定温度に応答する受容体が異なる可能性があるというのだ。

『傷はぜったいに消毒するな』で夏井氏はゲーデルの不完全性定理を糸口にしたという。本書ではプリゴジンの教科書が引き合いに出されている。立派な研究者は立派な本を読んでいるのだと感心する。ゲーデルやプリゴジンのテキストはとっつきにくいという人は『ゲーデル・エッシャー・バッハ』で知的ムードに浸るだけでもうよいかもしれない。

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