『資本論』 『図解仕事力が身につく 必読の「古典」50冊』

成毛 眞2009年09月19日 印刷向け表示
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図解 仕事力が身につく必読の「古典」50冊
作者:成毛 眞
出版社:青春出版社
発売日:2009-09-25
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○『資本論』マルクス

資本主義の矛盾点、「労働と賃金」について考え直す


○カール・マルクス

1818 ~ 1883 年。プロイセン領ライン州トリール生まれ。ボン大学、ベルリン大学で法学、哲学、歴史学を学ぶ。科学的社会主義、マルクス主義を構築し、のちの経済や社会、思想に大きな影響を与えることになった。『共産党宣言』『経済学批判』など、著書多数。


○哲学書でもあるマルクスの集大成

マルクスが生涯をかけて取り組んだ『資本論』の第1巻は、1867年に発表された。科学的社会主義の視点を取り入れて、近代資本主義を究明したこの本は経済学書であるとともに、彼の思想を詰め込んだ哲学書でもある。

『資本論』は全3巻からなり、第1巻が7編25章、第2巻が3編21章、第3巻が7編52章という大著である。しかし、じつは未完の著作なのだ。マルクス自身が執筆しているのは1巻の「資本の生産過程」のみ。2巻と3巻はマルクスの死後、彼の草稿をもとにエンゲルスが編集したものである。マルクスとエンゲルスには微妙に見解の相違があるという意見もあり、2~3巻はマルクスの意図を忠実に反映しているかどうか、いまだに論議されている。

『資本論』では、そのタイトルが示すように、資本主義の仕組み・経過・将来が分析されている。技術が発達し生産力が高まると、階級社会が生まれる。資本家に搾取される労働者が不満を持ち階級闘争が起こる。やがて資本主義は崩壊し社会主義が生まれるという。

この「搾取」という考え方は、マルクスの経済学の中でも重要な位置を占めている。商品は、労働者が労働力と労働時間を提供して生産されるものである。そして、労働者は自分の労働に見合った賃金を得ていると思い込んでいる。ところが、実際に売り買いされる“商品の価値”と“賃金”には差があり、この差額を資本家は利潤として得ているのだ。これをマルクスは「剰余価値の搾取」と呼んだ。

マルクスは、搾取よりもそれを隠蔽する資本主義の体質が見過ごせないものだという。労働によって企業は儲かっているにもかかわらず、賃金という形をとることで労働者は企業によって生かされているような気になってしまう。つまり、労働者が企業に依存する気持ちが強くなり、社会階級が生まれることこそ問題だというのだ。こういった資本主義の仕組みは、現在の自分に照らし合わせて読むこともできるだろう。

○自分の実生活に即した部分から読んでみる

『資本論』というと、タイトルやそのボリュームから尻込みしてしまう人も多い。中身も、なじみのない単語、耳慣れない言い回しなどが多く出てくる。とくに難しいとされているのが、商品、価値、貨幣の分析から始まる冒頭だ。じつは、この部分は、マルクス自身も難しいと語っている。

ただし、彼は友人の妻に、「労働日」や「本源的蓄積」など、彼女にも読みやすそうな項目をアドバイスしている。つまり、やみくもに冒頭から読んでいくのではなく、わかる部分から読み始めればいいのだ。とはいっても、冒頭部分は『資本論』の基礎ともなるので、最終的にはきちんと読んでおいたほうが理解も深まる。

彼が指摘した資本主義の矛盾などは、現在にも通じるものがある。労働者ありきの考え方に立つ『資本論』は、自分の労働を見直す意味でも価値があるだろう。


○【使えるポイント】

●労働と賃金について考えてみる

●労働時間について考え直す

●商品と価値の関係を知る

●働きがいについて考えてみる


○ブログ用の追加記事

日本語訳『資本論』は読みにくいといわれる。古い翻訳版には誤訳が多いともいう。最新翻訳は筑摩版であり、この翻訳は非常に評価が高い。『資本論』も普通の本になったのだ。やっと「文は読みにくいほうがエライ」という不毛にして愚かな呪縛からマルクス経済学も脱出しつつあるようだ。

資本論〈第1巻(上)〉 (マルクス・コレクション)
作者:カール マルクス
出版社:筑摩書房
発売日:2005-01
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