『New York September 11』

成毛 眞2009年11月23日 印刷向け表示
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NEW YORK SEPTEMBER 11 ― ニューヨーク セプテンバー 11
作者:デイヴィッド・ハルバースタム
出版社:新潮社
発売日:2001-12-18
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先週、ロンドンのシティを歩いていたら、いきなり9・11が激しくフラッシュバックした。9・11の夜は赤坂のイギリスパブのようなところで友人たちと飲んでいたからかもしれない。

第1報は当時財務省から経産省へ出向していた岸本周平(現民主党衆議院議員)の携帯に入った。WTCの飛行機が激突したという。彼は慌てて役所に帰っていった。次々と役人たちの携帯が鳴る。このときばかりは日本政府の危機管理も捨てたものではないと思った。民間人の携帯が鳴り始めるのはそのあとだった。

ボクも慌てて店を出て、テレビ付きの個人タクシーを探して帰宅した。すぐにテレビをつけてもらった。代々木あたりを走っているころいに2機目が衝突した記憶がある。あのビルの中には知り合いが大勢いる。文字通り、総身の毛がよだった。運転していて事情を知らないタクシーの運転手に、あの中には何万人もいるのだと怒鳴ったことを覚えている。

あらためて、あの時のことをキチンと思い出そうとイギリスからアマゾンに発注したのが本写真集である。冒頭の連続崩落写真は何千という人の死の瞬間だ。続く写真は瓦礫なのだが、それだけでビル10階分もあるように見える。粉じんの中を逃げる人々、まさに命を掛けた消防士たちが続く。100ページ見開きは、現地を訪れたクリントン大統領が行方不明になった消防士の妻を抱きしめている写真だ。

まさに世界はこの時から変わったのだと思う。それにしても静止画は動画に勝ることがある。崩落の瞬間を捉えた表紙写真を良くみるとビル1階分の鉄骨が飛び散りつつあることが分かる。まだ粉じんが立ち込めるなか、ライバルの秘密文書であろうか、降ってきた書類を読みふけっているビジネスマンがいる。

最終章は、いまはなきツインタワーの在りし日の写真だ。過去になんどもニューヨークに出張で行った。日本市場進出を躊躇している米系ハードウェアメーカーのアメリカ人エグゼクティブに、日本を説明するためだ。ビジネスの戦場がいつのまにか本物の戦場になるとは夢にも思わなかった。

まさかロンドンに行ってニューヨークを思い出すとは夢にも思わなかった。

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