『少女系きのこ図鑑』新刊超速レビュー

田中 大輔2012年11月23日 印刷向け表示
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少女系きのこ図鑑
作者:玉木えみ
出版社:DU BOOKS
発売日:2012-11-09
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どうやら世の中ではきのこブームがおきているらしい。水玉模様のきのこグッズなどに女性はかわいい!の声をあげ、なめこを育てるゲームに熱中し、のキャラクターグッズをたくさんの人が買い求めている。また、きのこの山と、たけのこの里による争いの話は鉄板ネタになっている。(『出ない順 試験に出ない英単語』のレビューでもこの話題が出ていた。)

自分の周りにも、きのこ好きの女性は多い。その人たちにこんな本が出たよとツイッターでつぶやいたら、とても反応が良かったので、その本を今日は紹介したい。その名も『少女系きのこ図鑑』。

"かわいくて、ためになる世界初の「きのこの図鑑」"という帯の言葉の通り、この本にはきのこのイラストとともに、きのこを擬人化した、かわいらしい少女が描かれている。イラストを描いているのは玉木えみ。東京工芸大学 芸術学部 マンガ科を卒業し、卒業制作で大好きな、きのこのイラスト化を試み、それが元となりこの本が生まれたようだ。

きのこのイラスト化といっても、萌え系の擬人化イラストを想像してもらっては困る。きのこからイマジネーションされ、きのこの特徴を捉えた「きのこ少女」が、きのことともに描かれているのだ。これがとにかくかわいい!ふわっとした色使いと、繊細なタッチがとても魅力的である。(リンクを参照のこと)

ヤマドリダケ

きのこのイラストは色や形がとてもしっかり描き込まれていて、その点ではきちんとした図鑑としても使える。きのこの名称(和名、学名)、所属、食毒についてはもちろんのこと、きのこの発生時期やサイズ、きのこの性質もきちんと紹介されている。ものによってはきのこが登場する文学作品からの引用文なども掲載されているのだ。

きのこが登場する文学作品からの引用ってなんだ?と思ったら、この本の監修をしている飯沢耕太郎という人の肩書きが「きのこ文学研究家」というものだった。きのこ文学なるジャンルがあるのか……。それはそれでとても気になるジャンルである。

ひとつきのこ文学から参照してみることにする。

“私は食べに食べた。トリュフは、凍った沼の風味、春の回帰を待つ縮んだ木の芽の味、冷たい土の中できしんでいる皮に包まれた若芽のあじ、そして将来の収穫に向けての忍耐づよい力を備えていた。”

マリー・ダリュセック「めす豚ものがたり」(高頭麻子訳、河出書房新社)

これはセイヨウシュウロに付属していた文章だ。セイヨウシュウロというのは高級食材として有名なトリュフのこと。子供味覚の自分はトリュフの美味しさがイマイチよくわからないのだけど、きのこ文学ではこのように表現されている。この文章が載っている作品のタイトルもすごい。「めす豚ものがたり」って……。なんだかこれも気になるではないか。読んでみるかな。

ドクツルタケ

おすすめのきのこ少女をいくつか紹介しよう。死の天使ドクツルタケ(上記リンクを参照)、タマゴタケの色使い。チシオタケのヤンデレな雰囲気、ハナオチバタケの可憐なイメージ、クリタケとニガグリタケの表裏一体なイメージなど、とにかく魅力的なきのこ少女がいっぱいである。ぜひ本著を手に取りイラストを堪能して欲しい。個人的にはセイヨウシュウロがおすすめなのでぜひご覧いただきたい。イラストが気に入りすぎて、著者から許諾をいただいて、ツイッターのアイコンとして使わせてもらうことにしたのは内緒である。

きのこ絵
作者:PIE Books
出版社:パイインターナショナル
発売日:2012-09-20
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先月の朝会で新井文月が紹介していた『きのこ絵』も一緒にどうぞ!
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出版社:中央公論新社
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