『なぜゴルフ場は18ホールなのか』どうでもいい数の裏にある人間ドラマ

久保 洋介2013年01月15日 印刷向け表示
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年末年始はつい軽めの本を好んで読んでしまう。どうやらHONZ代表の成毛も同じ症状のようなので、世の中にはきっと同じ症状の本読みがたくさんいるのだろう。そんな人にオススメなのが本書である。タイトルでもある「なぜゴルフ場は18ホールなのか」など、世の中に溢れる数のいわれを解き明かす良書に仕上がっている。1項目1トリビアでそれぞれ2〜5ページなので通勤時間に読むのにちょうど良い。一冊読み切ると新年会でちょっと会話に途切れた際に使える75ものトリビアを覚えられる。

例えば、東京スカイツリーの高さ634mはなぜ「むさし」の語呂合わせなのか。もともと放送事業者からは600m級の新タワー建設が望まれており、当初の計画では610mや666mという案があったそうだ。しかし建設会社である東武タワースカイツリー会社から「覚えやすく印象に残る数字にしたい」との強い要望が出され、最終的に634mに決定された。スカイツリーが立つ周辺地域は昔、武蔵国(むさしのくに)と呼ばれており、地元に息長く根付いて欲しいとの思いから「むさし=634」の語呂合わせにしたそうだ。

第二次世界大戦にて使用された戦闘機「零戦」の名前はなぜゼロがつくのか。旧日本海軍では神武天皇即位の年(紀元前660年)を元年とする紀年法を使用しており、その皇紀2600年に制式採用された戦闘機の下二桁のゼロをとって「零式艦上戦闘機」と命名、通称「零戦」と呼ばれるようになったそうだ。

本書が扱う数のトリビアの中で、もっとも驚いたのは銀行が午後3時に閉まる理由。1890年に制定された『旧銀行法』で、現金・小切手の処理や振込・集金の伝票処理などのために午後3時に窓口を閉めても良いとされたことを起源としているそうだ。現在の『銀行法』では各銀行が営業時間を独自に決められるようになっているのに、これまでバカ正直に100年以上に亘ってその慣習を守り続けている。郵便局でも午後5時までやっているのに午後3時までとは時代錯誤な気がするのは私だけだろうか。

他にも「野球が9イニングである理由」「メタボの基準が男性85cmの理由」「視力の単位が0.8や1.2などの数値を使う理由」「名刺が今のサイズになった背景」など、本書は数々のトリビアを紹介している。ただ本書を読んで「へー」で終わるのは少しもったいない。トリビアはトリビアでそれぞれ面白いが、一番面白いのは各数値の裏にある人間ドラマである。東京スカイツリーの高さや野球が9イニングである理由など、その裏には当事者たちの四苦八苦の末の決断がある。本書を読んで「ヘー」と頷きながら、そんな人間ドラマを垣間みることをオススメする。

ちなみに本書のタイトルである「なぜゴルフ場は18ホールなのか」は是非本書を手に取って確認して欲しい。このトリビアの裏にもゴルフ発祥地イギリスならではの人間ドラマがあるのである。

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