『オリオン座はすでに消えている?』新刊超速レビュー

成毛 眞2013年02月20日 印刷向け表示
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オリオン座はすでに消えている? (小学館101新書)
作者:縣 秀彦
出版社:小学館
発売日:2012-12-03
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新刊超速レビューは発売から1ヶ月以内の本を対象としているのだが、本書の発売日は2012年12月8日だ。すっかりレビューを書くのを忘れていたのだ。いやあ、スマヌスマヌ。なにしろ本書が扱っている事件は640年前に起こっていたかもしれないのだ。2ヶ月の遅れなどまあいいではないか。しかも、この事件についてはどこかで書いたのだが、どの媒体だったかも忘れているのだ。これでいいのだ!

その事件とはオリオン座のα星ベテルギウスが爆発しているかもしれないという事件だ。ベテルギウスは地球から640光年の距離にある巨大な恒星である。われわれは室町時代のこの星を見ていることになる。この星の重さは太陽の20倍、太陽の重さは地球の33万倍だから、ベテルギウスは地球の660万倍の重さを持つことになる。あたりまえである。

この太陽の重さの20倍というところがじつはミソである。もちろんベテルギウスが信州味噌でできているということではない。太陽の8倍以上の重さの恒星が寿命を迎えると超新星となって爆発するのだ。そしてこの星は寿命を迎えている。爆発するとベテルギウスは満月の100倍の輝度で輝くようになる。ただし、月に比べて視直径が小さいのでギンギラギンの星という印象になるであろう。さりげなく見る必要がある。

いまから4億4千万年前に生物の大絶滅があった。これがオルドビス紀とシルル紀の境目である。オウム貝や三葉虫の時代から昆虫や陸上植物の時代に変化したのだ。この大絶滅の原因が超新星爆発だったと考えられている。もし、このときと同じ超新星爆発に地球が晒されたら人類は滅亡し、生き残りはオートボットとディセプティコンだけになるかもしれない。

超新星爆発では極方向に超強烈なガンマ線ビームが放たれる。このガンマ線ビームにあたってしまったら人類は滅亡ということになるのだが、4億4千万年前の直撃とはちがい、今回のベテルギウスのガンマ線ビームは地球から20度それているという。それゆえにわれわれはベテルギウスの超新星爆発を楽しみに待つことができるのである。とてつもない天体ショーなのだ。

本書はこの話題を中心に宇宙と太陽系の歴史、ダークマターやダークエネルギーなどの宇宙研究の最先端、それを観測するための望遠鏡の現在など、この分野の初心者にとって最適の一冊だ。著者は国立天文台准教授・普及室長。ちなみに国立天文台は野辺山やハワイなど10数箇所に観測所をもち、本部は東京都三鷹市にある。

どうでもいいことだが、三鷹市のひとつおいて西隣は国立市だ。こちらは「こくりつ市」ではなく「くにたち市」と呼ぶ。そのため国立市の図書館は「くにたち中央図書館」と一部ひらがな表記だ。ややこしい。国立天文台はFacebookで「いいね!」をしておく価値はありそうですよ!

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