『マニ教』

高村 和久2011年01月16日 印刷向け表示
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マニ教 (講談社選書メチエ)

『マニ教』  

青木 健

講談社 (2010/11/11) 

昨年、日本で「宇宙図」が発見されてニュースとなったマニ教。

3世紀に中東パルティアで創始され、一時はアジアからヨーロッパまで勢力を広げ世界的な宗教となったマニ教であるが、徐々に勢力を失い、1600年頃には歴史から消滅した。現存する文献が少ないというハンディをものともせず、本書はそのような幻の宗教を多方面から色彩豊かに描写している。

妊娠中に「女人禁制」の宗教にはまった父が出奔してしまい、母子家庭で育てられた教祖マーニーは、物心ついた頃、逆にその父が迎えにきたことで、宗教施設で育つ。独自の宗教を構想し始めたのは彼が12歳の時であったとされる。啓示を受けたマーニーは、施設で強いられた農作業を、「光を蓄える植物を狩ることは自分の教義に反する」と拒否した。青年マーニーの、農作業をしたくなかった我儘としか思えない。

この後もマーニーは教団で反感を買い続け、ついには施設の長から男色を強要されそうになったと訴え、袋叩きにされ、追放される。一緒についてきたのは、親友のアブザクヤー、シメオンと、教会の重鎮となっていた父パティークだけであった。父パティークの不思議な行動力に瞠目する。

こうして、マーニーは布教の旅に出る。肉食禁止(聖なる食物はメロンとキュウリとブドウ)、飲酒禁止、性交禁止、お布施は信者が教会に持って来い、何故このような思想が1000年続く世界宗教になり得たのだろうか?

宗教の不思議さを改めて想う一冊。

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