行き止まりはブレイクスルーの兆し 『まだ科学では解けない13の謎』

村上 浩2010年05月11日 印刷向け表示
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採点:★★★☆☆

科学をかじったことある人、科学に興味のある人にはおススメ

何で13?科学では13以外の謎はないのかい!!って突っ込みたくなるけど、これは邦題をつけた人のセンスが悪い。13には全く意味はなく、原題は「Things That Don't Make Sense」。この本は現代の科学でmake senseしないことについてとりあげる。

推理小説に出てくる優秀な探偵は「そこにあるもの」ではなく、「そこにないもの」から事件の糸口を見つけ出すが、本書は「まだ解けていない謎」から「既に解けているハズの真実(と思われるもの)」について考るのだ。

まだ科学で解けない13の謎 まだ科学で解けない13の謎
(2010/04/22)
マイケル・ブルックス

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13の謎にあんまり関連性はなく、どの謎から読んでも問題ないので、気になるトピックだけを読んでも面白い。科学に対するリテラシーが在る程度(高校の知識くらい?)ないと、読んでても理解でき部分が多いかもしれない。しかし、それでも科学者も普通の欲を持った人間であること、「科学する」とはどういうことか、について様々な示唆が得られるはず。

小さいころに友達が家から帰って行った後に感じた「見えなくなってしまった友達は、実はもうどこにもいないんじゃないのか?僕が見た瞬間にだけ友達は存在しているんじゃないか?」という感覚は「人間原理的ランドスコープ」に近いのかもしれない。そう考えなければならないほど宇宙は広く、謎に満ちている(らしい)。

本書で最も意外だったのは、未だに人類は「生命を原始的なレベルで作ることができない」ということだ。何が生命か?何をもってつくったといえるか?には議論の余地が大いにあるだろうが、DNAからクローン羊は作れるのに、地球が誕生時の環境からアミノ酸を作り出せないのだ。宇宙だけじゃない、地球だってまだまだ謎に満ちている。

工学系の大学院で修士号まで取ったけど、研究室にいるときはあまりわくわくしなかった。科学と全く関係のない仕事の合間にこのようなサイエンスノンフィクションを読んでいるときの方がずっとわくわくする。本当に科学と向き合うのは大変だ。

こうやって憧憬を抱きながら本を読むくらいが(今の自分には)丁度いい。

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