自分で考えろ! 『小説家という職業』 森博嗣

村上 浩2010年06月22日 印刷向け表示
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採点:★★★★★

小説に限らず何かを「作り」たい人にはおススメ。

名古屋大学工学部の助教授だった著者が如何にベストセラー作家になったか。そして、小説家になるためには何が必要かについての本。成毛眞さんのブログにもあるが、他の2冊もめちゃくちゃ面白い。


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著者の意見は世間一般から聞こえてくるものとは大きく異なる。”異端”と呼ばれることも多いようだが、著者からは世の中全体が異常に見えているだろう。

そもそも「小説家という職業」というタイトルなのに、前書きからいきなりこれである。

もし、本気で小説家になりたいのなら、この本させ読んでいる暇はない。すぐにキーボードの前に座って文字を打つべきである。毎日、時間があったら作品を河口。本当にこれに尽きる。ブログなんて書いている場合ではない。

小説家になりたいとはこれっぽっちも思っていないので最後まで本書を読んだし、その感想をブログに書いている。もっとも、小説家になりたい人はもちろん、仕事をしている人(つまり、ほとんど全ての人)に対しても非常に有意義な一冊だ。

ただし、本書には「朝早く起きてXXXの本を読みましょう」とか「XXXという張り紙をデスクに張りましょう」といったノウハウは全く書かれていない。

いかなるノウハウ本も、人を自由にしてくれないだろう。それは、ノウハウ自体が不自由を導くものだからだ。(中略)本書はどうかって?そんなことは知ったことではない。他人の自由など、僕の関知するものではない。自由は自分で作るしかない。自由とは、つまりそういうものなのだ。

著者は、国家公務員⇒小説家というおよそ一般のサラリーマンとは大きく異なるキャリアを歩んでいる。だからといって、”ビジネス”のことが分からないわけでは全くない。サービス残業や理不尽な転勤にただただ耐えるだけのサラリーマンよりも、何倍もしっかりと”ビジネス”に取り組んでいるのだ。

組織の中で自分の立場を守ることよりも、もっと広く社会のニーズを眺め、これからいかに展開していけば良いのかを考えて迅速かつ的確に手を打つ、ということが重要だ。

多くの人間は「広く社会のニーズを眺め」ないで、「狭く上司のニーズを伺っている」ので、自らの仕事の意味が分からなくなってしまうし、いつまでも自分で世の中と向き合えない。

ベストセラー作家になるまでの道程(思考の過程)も非常に興味深い。興味も愛着もない小説に的を絞り、”ビジネス”として小説を執筆する。「好きこそモノの上手なれ」「好きでやってるやつには敵わない」と言う言葉は良く聞くし、ビル・ゲイツやラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリンの話を聞いてると非常に納得もできるが。「好きだからこそ見えない」ものがあり、そこにこそ狙うべきポイントがあるのだ。もちろん、様々な方法を使って戦略的にそのポイントを突かなければ、成功は困難だろうが。

著者の主張は、ファインマン博士、マリス博士、成毛眞氏らと同じで、「自分の頭で考えろ」ということに尽きる。自分の頭で考えて、アウトプットに向かって最短距離を走るしかないのだ。

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