ありからでも学べる 『群れのルール』

村上 浩2010年08月11日 印刷向け表示
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採点:★★★★☆

組織論や集合知に興味がある人におススメ。自然の偉大さに圧倒されます。

一匹一匹では何も考えずにただ餌を運んでいるだけのように見える蟻が、何故道を間違えずに巣に辿りつけるのか?何故あんなに複雑な巣を作れるのか?個体としてみるとなんてことない生物が集合としては非常に優秀なシステムとして働く。そのシステムは人間の世界に応用可能であり、既に実践は進んでいる!いつかもう一回何かの大学院に行って体系的に学問に浸かりたいとも考えているが、この分野は面白そう!!


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(2010/07/16)
ピーター・ミラー

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■あらすじ

サウスウエスト航空が蟻の行動パターンから、その代名詞ともいえる「自由席システム」を変更すべきかどうかという経営課題を解決する序章から始まる本書は、自然界の様々な生物の「群れ」がどのようなルールで高度な作業を実現しているかを明らかにし、それを人間の世界へ応用しようと試みる科学者、ビジネスマンにスポットを当てる。本書で取り上げられる生き物たちは、アリ、ミツバチ、シロアリ、鳥、バッタである。大量の群れの行動パターンを掴むために科学者がどれ程苦労しているか、そこから明らかになったシステムが如何に実際の世の中で役立つか、そして何より如何に自然は謎に満ちているかにワクワクできる一冊。

■感想

前半のアリとミツバチの話が特に面白かった。アリの群れが結果として最適ルートを選ぶことが出来る理由の一つは、個々のアリの記憶が10秒程度しか持たないからだ。個々のアリは決して優秀ではないが、集団として最適解を導き出せる。

だれかが『今日は餌集め日和だ』とか、『今日はでかけるべきじゃない』と決めているわけではない。集団として決めているのであって、特定のアリではない

大数の法則を最大限活用している好例だろう。しかし、当然これを単純に人間界へ応用することは難しい。特にイノベーションの分野には不可能だ。スティーブジョブスは大勢の人間に話を聞いたからあのような製品を作れたわけではないだろう。アナロジーを使うにしても、応用先には慎重な検討が必要だ。

本書には、クイズミリオネア的番組でのオーディエンスの回答率の高さや、1人の優秀な学生より3人の平凡な学生の方がパズルの正答率の高さなど、「中央集権」でなく「分権」思考の重要性を示す例が沢山出てくる。反射神経的に民主主義の失敗が頭に浮かぶ。なぜブッシュは8年間も大統領を続けることが出来たのだろうか?正しい集計、投票が行われなかったということか?ブッシュが正しい選択だったのか?辻元清美は何故未だにのうのうと議員を出来ているのか?ゲーム理論とこのあたりの研究が融合する頃にはもう自分は死んでいるかな。

それにしても40億年を超える時間の力、自然淘汰の力ってすごいな。光合成が人工で出来るようになったっていう話は未だ聞かないし、化石燃料そのものは地球に貯まっているものを使うしかない。本書で挙げられた例だけでなく様々な生物、植物で似たような研究が行われているのだろう。当然、どの研究が人間の『役に立つ』かなど事前に分かるわけがない。「知りたい欲求」が金銭欲や名誉欲を大きく上回る人たちに好きなようにさせるしかないのだ。

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