『ヒトはなぜ太るのか? そして、どうすればいいか』-編集者の自腹ワンコイン広告

版元の編集者の皆様2013年07月17日 印刷向け表示
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ヒトはなぜ太るのか?
作者:ゲーリー・トーベス
出版社:メディカルトリビューン
発売日:2013-04-24
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米国の科学ライターが肥満のメカニズムとダイエット法について科学的事実にもとづいて書いた本です。ありがちな書名で、内容も凡庸のように感じるかもしれませんが、この本、実はスゴイです!

するどい洞察力による「常識」への切り込みはみごとです。徹底的に調べ上げて構成しているので、さまざまな予防線が張られていて、一種の知的エンターテイメントとしても楽しめると思います。「大人の事情」で担当になり当初は本書にあまり期待していなかった私がいうのですからホントです。

本書は冒頭、1930年代の経済恐慌下のニューヨークの子ども,米国先住民のピマ族など貧困でありながらも太っている人々の事例を次々に読者に突き付け、「過食が本当に肥満の原因なのか?」と問いかけます。

本書は、ゆっくりとしたテンポで進むのですが、著者はわれわれの「常識」に挑戦してきます。例えば、今晩おいしいものをただで食べ放題できるパーティーに参加できるとして、どうやってお腹を空かせるか、と著者は質問してきます。当然、運動するか、一食抜くかでしょう。しかし、それらはダイエットの常套手段だと指摘します。つまり、ダイエットとは食欲を増進させる方法でもあるのです。あたりまえといってしまえば、それまでですが、私は「一本取られた」と常識の死角を突かれた感じがしました。ダイエットをすればするほど、食欲がわくのですから、もともとダイエットは成功しにくいものなのです。実際、運動では体重が落ちないことも多くの実験で明らかにされています。

本書の内容からもうひとつ面白い実験を紹介します。メスのネズミ(ラット)の卵巣を切除すると、女性ホルモンが出なくなり、エサをたくさん食べてブクブク太ります。人間でも閉経後の女性が太りやすいのはこのためです。そこで、ラットの卵巣を切除したあとに、エサを制限します。どうなるでしょうか?なんと、やっぱり太るのです!じっと動かずに、活動エネルギーを抑えてその分を脂肪にまわすのです。

太った人があまり活動的でない理由も同じだといいます。脂肪を溜め込んでいるのに活動するエネルギーがないのです。いったん体が太ると決めたら、なにがなんでも太るのです。過食が肥満の原因ではなく、太るために食べているのです。過食は肥満の結果なのです。ここで過食と肥満の因果関係は逆転をします。

本書は糖質制限に関してもかなりの枚数を割いています。糖質制限の本が売れているので,本書の書名に「糖質制限」を入れたいと著者に打診したら、原題を直訳して欲しいと断られました。そのとき、10年以上の歳月をかけて丹念に文献を洗い出して書き上げた強靭な著者の心に触れたような気もしました。

メディカルトリビューン 牧野勇紀

*「編集者の自腹ワンコイン広告」は各版元の編集者が自腹で500円を払って、自分が担当した本を紹介する「広告」コーナーです。

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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
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出版社:中央公論新社
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