『「規制」を変えれば電気も足りる』

久保 洋介2011年08月15日 印刷向け表示
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「規制」を変えれば電気も足りる (小学館101新書)
作者:原 英史
出版社:小学館
発売日:2011-08-01
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あらゆる業界のビジネスマンにオススメできる本だ。本書は、副題にあるとおり日本の「おバカ規制」を次々と紹介する。本書を通して筆者が主張するのは、日本は規制によってがんじがらめにされており、困ったことがあちこちで起きているということ。しかし、本書を読んで「日本の役人・政治家はケシカランな」という感想を抱くだけではもったいなさ過ぎる。これら「おバカ規制」の裏には未開拓のマーケットが眠っており、「おバカ規制」を規制緩和させる事ができれば、誰でも億万長者になれる可能性があるのだ。第二の孫正義や三木谷浩史は、この本を読んだ人から出てくるだろう。

本書にある「おバカ規制」を幾つか紹介してみよう。まずは、僕の好きなビールから。外国にいく機会が多い方は既に気付いているかもしれないが、日本のビールはやたらと高い。それもそのはず、ビール代の約45%は税金であり、税率はアメリカと比べると約12倍もかけられているのだ。明治時代ビールは高級酒だったため、金持ちに高い税金を払わせるという道理で高い税金がかけられた。その頃の税率設定が、ビールが大衆酒になった今でも続いているのが現状だ。もしあなたがビール業界の営業マンなら、ライバル間で熾烈な競争を続けるよりも、国民を巻き込んだビール減税議論を起こした方が会社に貢献できそうだ。ビール価格が下がったら僕はもっと買う。

次は、今話題の電力について。もしあなたが今後のことを考えて自家発電設備を買い、計画停電の際には近くの病院に電気を融通しようとしても現状は役人に「ハイ、残念。ダメなんですよ。」と止められてしまう。儲けようなんて考えるのは以ての外だ。この「おバカ規制」は原子力安全・保安院が作っている(禁止しているのは、安全上の理由もあるが、もっと根深い理由があるので本書を読んでもらいたい)。今後、この「おバカ規制」が緩和されるのであれば、結構大きな社会貢献ビジネスになるだろう。

農業・畜産業界にも「おバカ規制」がある。農林水産省生産局長通達によって、酪農家は自分の牧場からとれる牛乳を「全量農協に売るか」「全量を独自ルートで売るか」どちらか選ばないといけないことになってる。「一部は農協、残りは独自ルートで出荷」というやり方は認められていないのだ。牛乳の味は酪農家の腕ではっきり差が出るといわれるが、現状「味を競わせない」という農協組合員横並び主義の「おバカ規制」によって、私たち消費者は美味しい牛乳を選べないのである(農協の牛乳は美味しい牛乳とマズい牛乳を混ぜている)。この「おバカ規制」を改正して、腕のいい酪農家が作る美味しい牛乳を売るビジネスモデルを作ってくれたら、僕は高いお金を払ってでも買う。

その他、出版業界、ネット業界、タクシー業界、ホテル業界など、この書評では紹介し切れない程の「おバカ規制」が紹介されており、それぞれに隠れたマーケットが存在している。あまり紹介し過ぎると本書を買って読んでる人に悪いので、序の口の紹介でとどめておく。本書を読むことで、各業界「おバカ規制」の裏に未開拓のマーケットが眠っていることが分かるし、何より儲けるビジネスモデルを考えつく訓練ができるので、かなりオススメだ。それも新書で安いし。

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