何もしないのがいいのだ!『四次元温泉日記』

東 えりか2011年12月26日 印刷向け表示
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四次元温泉日記
作者:宮田 珠己
出版社:筑摩書房
発売日:2011-12-05
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宮田珠己の今度の旅は温泉めぐりである。とは言っても「宮田珠己」が誰か、知らない人のためにちょっとだけ説明する。

彼は常にふらふらとどこかへ出かけていく。しかしそれは冒険とは程遠く、誰でもいつでも行けるような場所ばかりだ。まあ、世界中にジェットコースターに乗りに行くのが気軽かどうかは意見が分かれるところだろうが、四国遍路は、その気になりさえすればなんとかなるだろう。巨大仏を見てまわるのだって、酔狂だとはいえ、出来ないことじゃない。

それなのに、なんで人気があるかといえばなんとなく変だからだ。この「変」というのが意外に難しい。「変」であることを意識するとわざとらしくて鼻に付く。普通に「変」であることは才能だ。私にはその才能がない。ああ「変」な人になりたい。多分、宮田珠己のファンはみんな宮田のような「変」を身に着けたいと思っているのだ。

というわけで、今回は温泉である。普通だ。普通じゃないのは、本人が温泉なんて全く興味が無く風呂が好きじゃないってことだ。彼の興味は「迷路」にある。彼の迷路好きはファンには有名である。何しろ絶対売れない迷路の本を書いてしまったほどだ。そして、古い温泉宿は建て増しにつぐ建て増しで、迷路のようになっているところが多い。「それだ!」と閃いた宮田は、フットワーク軽く出かけることにしたのだ。

男ひとりで温泉に泊まるのは勇気がいる。そこで彼はおっさんふたりに声をかけた。どちらも温泉好きでほいほいと話にのってきた。だけど、ずっと一緒じゃ気持ち悪い。ということで、現地集合、現地解散。潔い。

日本中にある温泉で、宿代はほどほどで、宮田好みの迷路旅館。これがあるある。本人が歩き回って館内図を章の最初に掲げてあるのだが、それを見ながら文章を読んでもさっぱりわからない。わからないのに面白い。

当然、温泉の泉質とか由来とか料理とか、景勝地のような普通の観光案内のようなものは一切書いていない。お湯の感触も違いもぜんぜんわからない。彼は、ただひたすら、建物のなかをぐるぐる回る。従業員に不審がられる。

そういえば、ものすごく長い上り坂の廊下の果てに浴場がある旅館に泊まったことがある。近所の老人たちの憩いの場になっているのだが、あまりにも傾斜が急で長いので、途中で休憩所があった。おしゃべりしていた老婆たちは、その日のうちに風呂にたどり着けるのかちょっと心配になった。

服を脱ぐのがめんどくさくて風呂が嫌いだったはずの宮田珠己が、最後には湯船に使って「はぁ~」とか声を出すようになった。おっさんであることを受け入れた瞬間である。

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ポチ迷路
作者:宮田 珠己
出版社:幻冬舎
発売日:2007-06
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絶対売れない本、と確信することは珍しい。その珍しい本が大好きな宮田珠己にあった。

アマゾンの☆もひとつである。

間取りの手帖
作者:佐藤 和歌子
出版社:リトルモア
発売日:2003-04
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変な間取りの火付け役。

住みたくはないけど見てみたいとは思う。

ミドリさんとカラクリ屋敷
作者:鈴木 遥
出版社:集英社
発売日:2011-05-26
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今は止めてしまったが「本のキュレーター勉強会」のときには「今月の課題本」を選んでいた。

7月の課題がこの本。http://honz.jp/2456 私の今年のベスト3に入る傑作。

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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
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