『シェール革命』 創出される新産業基盤とは

成毛 眞2014年03月15日 印刷向け表示
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
シェール革命 繁栄する企業、消える産業
作者:財部 誠一
出版社:実業之日本社
発売日:2014-01-10
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂

書評の冒頭からいきなり本書『シェール革命』の結句を引用する暴挙をお許しいただきたい。金融機関での勤務経験もあるジャーナリスト財部誠一はこう結んだのだ。

「石油と軍事、その背景にあった金融資本主義を後退させ、シェール革命が新たな産業基盤を創出する『資本主義』の創造につながることが期待される」と。

それでは、なぜ金融資本主義は後退するのか。新たな産業基盤とはなにか。地下にシェールガスを持たない日本は、新たな産業基盤の創造から取り残されてしまうのか。そもそもシェールガスとなにか。どのように生産されるのか。そして、原子力発電などに影響はあるのか。

本書はそのすべての疑問に対し、豊富な図版を使いながら、優れたビジネス・プレゼンテーションのごとく分かりやすくスピーディーに回答を与えるのだ。エネルギーや鉄鋼、産業機械や化学工業に携わるビジネスマンはもちろん、個人投資家や就職先を考えている学生なども知っておくべき情報が満載だ。

1980年代にはじまった情報革命は現在も進行中である。いまも人々の暮らしや経済構造に驚くべき変化が起こりつつある。いっぽう、エネルギーや重厚長大分野は変化を支えるための、動かざる基盤という位置づけだった。

ところがアメリカで数年前から進行しているシェール革命は風景を一変させうるかもしれない。アメリカ国内では天然ガスの価格がたった3年で3分の1になったのである。

中東やロシアなどの天然ガス輸出国は生き残るのか。中国はシェールガスを生産できるのか。世界中の製造業は安いエネルギーをもとめてアメリカに移動するのか。そして、日本はその恩恵を受けることができるのであろうか。

地球の浮沈をも賭けた変化と闘いがいま始まった。

(産経新聞 3月1日号 書評欄掲載)

記事へのコメント コメントする »

会員登録いただくと、記事へのコメントを投稿できます。
Twitter、Facebookにも同時に投稿できます。

※ 2014年3月26日以前にHONZ会員へご登録いただいた方も、パスワード登録などがお済みでない方は会員登録(再登録)をお願いします。

コメントの投稿

コメントの書き込みは、会員登録ログインをされてからご利用ください。

» ユーザー名を途中で変更された方へ
 変更後のユーザー名を反映させたい場合は、再度、ログインをお願いします。

ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
発売日:2014-10-24
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

電子版も発売!『ノンフィクションはこれを読め! 2014』

HONZ会員登録はこちら