【新人PickUp!】 鬼には死ねと言うのか?異才の新人岡田索雲が放つ初単行本『鬼死ね』

菊池 健2014年03月29日 印刷向け表示
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鬼死ね 1 (ビッグコミックス)
作者:岡田 索雲
出版社:小学館
発売日:2014-03-28
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2013年度 新聞広告クリエーティブコンテストの最優秀賞「めでたし、めでたし?」は、年末のネット界隈で話題を振りまきました。

ぼくのおとうさんは、
桃太郎というやつに殺されました。

<泣いてる子鬼のイラスト>

一方的な「めでたし、めでたし」を生まないために。
広げよう、あなたが見ている世界。

『鬼死ね』は、普段私たちが見ている世界が、違う世界に見えている人、いえ、鬼達のお話です。

この世界では、鬼は人の中で暮らし、人の中に占める鬼の割合はおよそ1000人に1人、更に、鬼のうち99%は赤鬼で1%が青鬼です。

主人公である中学生の阿羅太(あらた)と伊純(いずみ)は、双子の兄弟で、それぞれ赤鬼と青鬼です。

赤鬼は、非常な力と丈夫過ぎる体を持ちますが、人間に嫌悪感を与えてしまう目には見えないオーラがあります。
普通の人間相手に力を発揮するわけにもいかない阿羅太は、女の子にももてず、苛められています。

それを苦に飛び降り自殺しても、死のうにも死ねない頑丈さを見せつけるシーンから、第1話が始まります。

回を追うごとに判っていく、鬼と人の距離、鬼の中でも不思議な力を持つ、青鬼の置かれている立場。確かにスーパーパワーを持つ2人ですが、あまり幸せそうではありません。

むしろ、目だないように生きていく様子は不幸にすら見えます。
そして、不遇の鬼達の中でも、更に差別を受ける青鬼の立場は、差別されている者が更に差別をする、差別の二重構造を示していきます。

まだ第1巻で、これから起こる事への期待感もありますが、一つ一つの描写が、どこか自分の今まで生きてきた何かに引っかかる、何かを「持ってる」作品です。続刊に期待です。

漫画家支援者の目線

 作者の岡田索雲さんは、新人賞の投稿時点から、人間世界に紛れる恐ろしい存在として鬼を描いていたそうです。

それを見初めたのは、ヒット作品「医龍」の立上にも関わった社会派作品を得意とする凄腕編集者のIさんです。
Iさんは、いつか差別をテーマとした連載企画を出したいと、虎視眈々と企画を温めていました。

難しい企画を温め続けたIさんの所に、鬼のいる独特の世界観を持ち込んだ岡田さんが現れるという出会いから始まった作品が、この『鬼死ね』なのだそうです。

一説によると、ワンピースの尾田栄一郎先生は、高校時代に初めて出版社に持ち込んだ作品が、既にワンピースのような海賊冒険ものの話だったそうです。

自分なりの描きたいもの、テーマや作風を強く持っている作家は、何かの時に機会を得やすい。
逆に個性がないことはつらいのかもしれない。

きっと「鬼のいる世界が描きたい」でも「メカなら誰にも負けない」でも「パンツの筋なら任せろ!」でも、なんでも良いと思うのです。

新人作家にはやはり、自分の武器を持ってもらいたいなと思うきっかけになる作品との出会いでした。


--

『鬼死ね』の連載するスペリオールは私の好きな雑誌で、父がわたしの中学時代に第1号を購入して以来の読者です。好きが高じてイベントまでしてしまいました(笑 

少し前から、太田垣康男先生の『機動戦士ガンダム サンダーボルト』が連載、
最近は、『あずみ』の小山ゆう先生の新作が始まり盛り上がっていますが、他にも面白い作品が沢山あります。

マンガHONZでも、誰が描くかと話題に上るのが、いぶし銀のマンガ家マンガ『チェイサー』です。

チェイサー 1 (ビッグコミックス)
作者:コージィ 城倉
出版社:小学館
発売日:2013-09-30
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 主人公の作家が、ほんとに人間臭いというか、漫画家臭くて面白いんです。
同じ時代の手塚治虫を、死ぬほど意識しているのに、人前ではそしらぬふり。
その癖、手塚先生が何かする度に、驚愕しつつ身悶えするという黄金パターン!
個人的には奥さんのキャラが大好きです^^


巨匠コンビ、武論尊先生と池上遼一先生の『六文銭ロック』も最近かなり来てます。

六文銭ロック 1 (ビッグコミックス)
作者:武論尊
出版社:小学館
発売日:2014-01-30
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 私、かなりの歴史もの好きで、今後も歴史もののレビューを描いていくと思いますが、『六文銭ロック』の明智光秀は、私が見てきた小説、映画、マンガ史上、最高にカッコよかったです。
司馬遼太郎の『国盗り物語』を超えてるんじゃないかと。

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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
発売日:2014-10-24
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