新社会人応援企画 第4弾!!「毒か薬か?後藤隊長に見る理想の上司像」『機動警察パトレイバー』

菊池 健2014年04月05日 印刷向け表示
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祝!:実写劇場版上映開始!

『機動警察パトレイバー』は、1980年代後半より、マンガ、アニメ、ゲーム、実写にと大人気のシリーズで、20年来わたくしの大好物です。

メカ、組織、キャラ、世界観、どれをとっても見所が多すぎて大変なことになっている作品ですが、今回のレビューは、図抜けて異彩を放ち、私が何より「理想の上司」と身に焼き付けてしまった「後藤隊長」にフォーカスします。

機動警察パトレイバー 1 (少年サンデーコミックス)
作者:ゆうき まさみ
出版社:小学館
発売日:1988-07
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  後藤隊長とは、なんだったのか?

人は成長過程の中で「身近にいる大人」の影響を強く受けます。

私、学生時代から社会人になっていく時期に最も影響を受けた大人は、後藤隊長でした。
社会人歴18年目、経営者になって6年以上ですが依然変わらず、理想の上司像を後藤隊長の中に見続けて来ました。

仲間に良い仕事をしてもらいたくて悶々とする時も。
管理職(経営者)の孤独を味わう時も。


 - パトレイバー第1巻:後藤隊長率いる特車2課第2小隊の初めての出動時。先着部隊である第1小隊の苦戦を尻目に、部下たちに指示とも決意表明ともつかない話をします。

われわれにまず必要なのは華々しいお手柄だ。


第2小隊の存在価値を世間に認めさせることさえできりゃ・・・われわれのような半端者や落ちこぼれ警官にも、この先生きる希望がわいてくるってもんだ。

幸い第1小隊は大苦戦に陥っとるらしい。
ここまでは筋書き通りだ。

・・・・・
みんなで幸せになろうよ。

おいおい。初めての任務で、どこまで本気なんですかこのおじさんは(笑

でもね、この直後に死地に赴く部下たちに、キリッと真顔でこういうことも言うんです。

話はここまでだ、準備にかかれ!


おまえたちがライト・スタッフだってことを証明してこい!

いやね、もうね、管理職になって十ウン年、こういうこと言ってみたいですよ。
というか、自分が部下ならこう言われたらアガりますよー。

「君たちはこの任務に最適な人材だ!」ってケツを叩かれることも、なかなか無いですよ。新社会人の皆さん。
こういうこと言われたことありました?(言いました?)ベテラン社会人の皆さん。

これは自分の信念への自信と、何があっても責任を取る覚悟が、良い按配でバランスを取れないとなかなか出来ない事だと、この歳になると判ります。後藤隊長、大人です。

後藤隊長は元々「カミソリ後藤」とまで呼ばれた、切れ者警察官でした。
それが今や、いつの頃やら昼行燈。いざって時は頼りになるけど、普段はなかなかそういう面は見せない懐の深さです。

隊員が落ち込めばしっかり向き合い、調子を崩せば叱咤激励もバッチリと。
この後も、後藤隊長はいぶし銀な管理職としての実力を如何なく発揮します。


一つ最後に、やっぱり上司って「いかに部下を乗せるか。」それに尽きると思うんですよね。その為には、いかに覚悟を決めてスタッフを信じるかがとても大切です。

新社会人の皆さん、良い上司に恵まれることを祈ります。
でも、大切なのは自分自身が将来「良い上司」になることです。全てを飲みこんで、自分で選んだ道を突き進んでください。
良い仲間と良い仕事をすることは、本当に楽しいですよ!
  

マンガ家支援者目線

やはり、作家たるもの、今ある様々な作品が、どういう経緯で形作られて来たのか知って欲しいところです。その点、パトレイバーは系譜の中で大変な存在感の作品です。

昔から、警察ものの作品は沢山ありましたが、大きく、パトレイバーの前と後で大きく変わったのは、組織についての描写だと思います。

昔の警察ものと言えば、破天荒な主人公が、荒事や特技で事件を解決するものや、ギャグがほとんどでした。
パトレイバー後、作品の裏に、組織の仕組をしっかり描写する作品が増えたと思います。

『踊る大捜査線』の監督である本広克行さんは、パトレイバーに大きく影響を受けて踊るシリーズを作っていたことで知られています。
最近は、むしろ警察組織が主の話も増えました。

メカの描写や世界観についても、機動戦士ガンダム以降、そのメカがどういう経緯で、どんな組織に開発・製造されるかと言う克明な設定と描写が、作品のリアリティの為に必須となり、パトレイバーもその系譜を強く受け継いでいます。

特に、篠原重工、シャフトエンタープライズと言った、主要なレイバーを開発している企業の描写は秀逸です。コンサルタントを何年かして、色んな企業を見てきた私にとっても、面白いなぁとそうだなぁ~と思う所が沢山あります。

また、シリーズとしてのパトレイバーは、ゆうきまさみ先生一人のものではなく、メカデザインが出渕裕さん、監督が押井守さんと、超豪華な布陣「ヘッドギア」で作られたものでもありました。

洗練されたデザインのメカが、下町の銭湯の前で戦うような描写が、また堪らなく愛おしい新しい世界観となり、複数のメディアに展開していきます。

この辺り、『ゆうきまさみ年代記』に詳しく記されています。
個人的に、故人小松左京さんとの丁々発止なやり取りは大好きです。また、機会があれば庵野監督とのガンダムの件(くだり)は、是非一度詳しく聞かせていただきたいと熱望しております。

ゆうきまさみ年代記 (少年サンデーコミックススペシャル)
作者:ゆうき まさみ
出版社:小学館
発売日:2010-11-30
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元々はOVA企画だったこともあって、アニメも充実しています。
名作と名高い『The Movie Ⅱ』も捨てがたいですが、個人的には天才エンジニア帆場暎一が狂う、第1作が好きです。
 

EMOTION the Best 機動警察パトレイバー 劇場版 [DVD]
監督:押井 守
出版社:バンダイビジュアル
発売日:2009-10-27
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