新社会人応援企画 第6弾!きっと新入社員研修よりオモシロい『銭』〜ホリエモンブログ2009年売上ランキング伝説の1位〜

山田 義久2014年04月07日 印刷向け表示
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銭 壱巻: 1 (ビームコミックス)
作者:鈴木 みそ
出版社:KADOKAWA / エンターブレイン
発売日:2003-09-26
  • Amazon Kindle

 この漫画は、堀江さんのブログで2009年アマゾン売上ランキング1位。つまり、『徹底抗戦』等の自著よりも売り上げてしまったという伝説を持つ作品だ。

そして、この漫画は新社会人にとってオモシロい話にあふれている。というのも、いろんな業界の「銭」にまつわるリアルな現場話を知れるからだ。描かれる業界は、漫画雑誌、アニメ、コンビニ、ゲームセンター、同人誌、カフェ、ペット、声優、骨董、メイド喫茶、エロ本、葬儀、ホスト等など、ちょっとサブカルっぽく濃ゆい業界が多いことに、親近感を感じる人は私だけでないだろう。

全7巻を通じて、各業界における「銭」を巡った人間ドラマが、酸いも甘いもリアルに描かれている。トラウマになりそうなエグい話もあるが、そこは各自胸躍らせたり、共感したり、絶望したり、自分の感性で自由に楽しんでほしいと思う。

今回、第1話「いのちの値段」、第2話「漫画雑誌の値段」、第3話「続・漫画雑誌の値段」を試し読みとして提供していただいたので、まず読んでみてほしい(文字が多いので全画面表示がおススメ)。

そう、これはチョキンがいうように、社会科見学だ。
しかし、ただの社会科見学と違うのは、まず、ただ現場を見学するに留まらず、各業界の構造や、儲けの仕組みがきちんと数字で掘り下げられていること。
そして、登場人物がそれらを語る時に使う言葉が、そのまま実務で使われているものと同じであることだ(第2話の例:売上、人件費、間接費、損益分岐点→本書内では「損益分岐部数」)。経験を積んだ社会人の目から見てもかなりリアルな会話に感じると思う。

どんな業界で働こうとも、遅かれ早かれすべての社会人は、利益に数字で貢献することを求められる。つまり「銭」を稼ぐことを求められる。その際、属する業界の構造や儲けの仕組みを熟知し、自分の仕事を俯瞰で捉える視点を持つことは必須に近い。さらに、そういう話をするための言葉を知らないと、そもそもスタート地点にすら立てない。。。ようなことを、この社会科見学を読み進めると、何となく感じることになると思う。
恐らくこの作品は、新社会人にとって、当たり障りのない新入社員研修よりエキサイティングな体験となるはずだ。

全7巻も後半に近づくにつれ、ケーススタディを越えて、そもそも「銭」とは何なのか、「働く」とはどういうことなのか等、なかなか深淵な問いが投げかけられる。新社会人の方々は、きっとこれから長い時間をかけて答えを探す問いだろうが、この作品をきっかけに考えて始めてもいいかもしれない。

全編通読後、ピンと来た人がいるかもしれない。
そう、実は社会人ってシャレにならないくらいオモシロいのだ。広い意味で社会人のオモシロさを教えてくれるのが、この『銭』という作品の真骨頂といえる。

ちなみに、各エピソードがリアルなのは、作者の鈴木みそさんの徹底した現場取材による。現場取材で得た大量のネタを厳選した上で、作品に仕上げているのだ。
その取材スタイルについて、第4巻のあとがきに俊逸な例えがあるので紹介したい。

 

下着泥棒が捕まった時は、何で体育館みたいなところに、どばばばって並べるんだろう。
(中略)
『銭』の取材も、小さなネタやアイデアを、ひとつのシリーズごとにそれこそ、体育館の床を埋め尽くすほど集める変態のような仕事である。それをお話の中で構成すると、使われるのはほんの少しで、終わった後で見返してみえると、大量のブラジャーやらパンツやら、ストッキングやらガーターベルトといったものが散乱して、えらい有様であります。

下着泥棒を越える情熱で集められた珠玉のネタが敷き詰められたこの作品、強くおススメしたい。
あ、ちなみに、最後の最後のオチは賛否両論らしいので、その点も楽しんでほしい笑。 

※本レビュー内で作中の絵を使用することについて、作者である鈴木みそさんの了承をいただいています。

ナナのリテラシー1
作者:鈴木みそ
出版社:鈴木みそ
発売日:2014-01-23
  • Amazon Kindle

 現在連載中のこの作品は、電子書籍出版のケーススタディ。レビューはこちら。なお、第1話は試し読みできる。出版業界の未来を占ううえで、電子書籍は避けて通れない。そして、鈴木みそさんはその分野のパイオニアということで、今月22日鈴木さんと『大東京トイボックス』のうめさんをマンガHONZのメンバーで囲むイベント「春の電子書籍祭り with マンガHONZ」も開催される。

 

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