定例会レポート 〜 第4話 良いレビューから、レビューの書き方を学ぶ! 〜

東海林 真之2014年05月06日 印刷向け表示
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

マンガHONZの第4回の夜会が、4月28日に開催された。今回は、マンガ家うめ(小沢高広)さんも参加しての異種格闘技戦。

相変わらず、「この人たち、月に何冊、マンガを読んでいるんだろう…」というマンガ知識の応酬が繰り広げられる。しかし今回の夜会の見どころは、「いままで投稿された良いレビューから、レビューの書き方を学ぼうじゃあないか」という試みだったのではないか。

そこで、今回の定例会レポートでは、レビュアー同士で交わされた「いいレビューはどんなレビューか」という、学びの一部をお裾わけしようと思う。

惹きつけられるレビューは、どんなレビュー?

多量のマンガDB(データベース)をもつレビュアーの人々だが、そのマンガの特徴を自分の周りの出来事と結びつけて語っているレビューは、親近感が湧き、引き込まれてしまう。すなわち、「自分ごと化」しているレビューだ。

例えば、山本憲資による「東京版スーパーカジュアルSATCを『いつかティファニーで朝食を』に読む。」がこれにあたる。食べることの好きな自身が、このマンガになにを求めたのか。そしてマンガを読んで、どんなことを感じたのか。読んでいるうちに、レビュアーのこともよく分かり、そして相対的にマンガの魅力もグググと伝わってくる、そんな内容になっている。

同様におもしろいのが、"うんちく"に富んだレビューだ。読み進むうちにおもわず「へえ」と思い、マンガへの興味もかき立てられてくる。

その代表例が、佐渡島庸平による「目が点になる歴史マンガ『風雲児たち』」、芳野まいによる「世界でいちばん教科書づくりが上手なマンガ家の 『エルメスの道』」の2つだろう。
前者は、「目が点になる」という言葉を産み出した作家がみなもと太郎、という"うんちく"と、そのみなもと太郎が一生をかけて、まだ連載中である大傑作がある(それが『風雲児たち』)というエッセンスだけでも、惹きつけられてしまう。また後者は、マンガ自体の紹介にとどまらず「マンガの技術とは」という掘り下げた内容を語っている点が、マンガ好きとして注目してしまう。

また、時代にあったテーマ(切り口)で語られたレビューもおもしろい。そもそもが日常で関心を抱いているテーマであれば、興味をひかれるのも自然なことだろう。

例えば、山田義久による「傷ついた人が立ち直るには味方が必要『イリヤッド』」は、小保方晴子さんに捧げる内容であり、興味深かった。特にマンガの中のセリフ「傷ついた人が立ち直るには味方が必要」という言葉が、背景を知っているほどに考えさせられる。

他にも、モリサワタケシによる「新人研修にも使われているらしいぞ!『燃えよペン』で熱血力と逆境力を!」は、上記の良レビューのハイブリッドだ。新人研修という"時代性" × 『燃えよペン』を実際に新人研修に使っている会社がある!?という"うんちく"。このかけ算で、おもしろさが倍増している。さらにはマンガから引用した「熱血マンガ家十訓」も強烈な印象を残す。(「描け」を「働け」に変えて…という視点もおもしろい。)

他にもさまざまなレビューを題材に意見が交わされていたが、今回は3つほどのノウハウを紹介してみた。各レビュアーそれぞれに特徴があるので、必ずしもこれらの書き方をしている訳ではない。例えば、やたらに「!」を使う熱血レビューが個性になっている人もいる。
けれど今後、上記のような視点でレビューを読み込むのも、おもしろいかもしれない。

マンガHONZの独自ランキング、開始

今回の夜会では、今後の新しい方針もひとつ、決定された。
それが、マンガHONZ独自のランキングを発表していくこと、である。

そもそも、「思わず本をポチッと買ってしまうような、惹きつけられるレビューって今まででどれだったの?」、「この(濃いぃ)メンバーで選ぶ、独自のマンガランキングを知りたい!」という声が、いくつかマンガHONZに寄せられていた。そのため、各疑問に答える企画をたて、マンガHONZ上で公開していくことになったのである。

ひとつめの企画は、『先月の買われた本ランキング ベスト5』。
「思わず本を買ってしまうような、惹きつけられるレビューはどれだったのか」という疑問に答えるランキングだ。

そしてもうひとつは、『マンガHONZレビュアーが勝手に選ぶXXXランキング』である。
年間1,000冊以上もマンガを読むような(一部だが)レビュアーたちが、ある「お題(テーマ)」にそってマンガを選ぶと、どんなラインナップになるのか。そんな疑問に答えるこのランキング。第1回目は、『GWにまとめて読みたいランキング(30巻以上でているマンガ限定!)』である。

前者のランキングは、また後日に公開するので楽しみにしていてほしい。そして『GWにまとめて読みたいランキング』はすでに公開されているので、気になる人はリンク先を見てみるといいだろう。 

最後に

GW明けから、またドシドシとおもしろいマンガのレビューが予定されている。
それでは。5月のマンガレビューもお楽しみください。

記事へのコメント コメントする »

会員登録いただくと、記事へのコメントを投稿できます。
Twitter、Facebookにも同時に投稿できます。

※ 2014年3月26日以前にHONZ会員へご登録いただいた方も、パスワード登録などがお済みでない方は会員登録(再登録)をお願いします。

コメントの投稿

コメントの書き込みは、会員登録ログインをされてからご利用ください。

» ユーザー名を途中で変更された方へ
 変更後のユーザー名を反映させたい場合は、再度、ログインをお願いします。

書店員ふぃぶりお2014.5.6 14:57

Honzさんは「作品を読みたくなる」衝動をすごく刺激してくれますね。読ませる紹介と共にレビュー自体が作品。

ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
発売日:2014-10-24
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

電子版も発売!『ノンフィクションはこれを読め! 2014』

HONZ会員登録はこちら

人気記事