マンガHONZのレビューで、一番買われたマンガは何だ!? 『買われたマンガランキング 2-4月』

東海林 真之2014年05月12日 印刷向け表示
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この5月から、マンガHONZ独自の「ランキング」を発表していくことになった。

ひとつは『マンガHONZレビュアーが勝手に選ぶXXXランキング』というもの。様々なマンガを読み込んでいるマンガHONZのレビュアーが、都度出される「お題(テーマ)」に沿って、独自のランキングをつくるという試みだ。

さっそく第1回目として、ゴールデンウィーク前から『GWにまとめて読みたいランキング(30巻以上でているマンガ限定!)』が発表された。今後も様々な「お題(テーマ)」が出されることと思うので、楽しみにしていてほしい。

一方、毎月投稿される数々のレビューのなかから「(紹介されたマンガを)思わずポチッと買ってしまうような、惹きつけられるレビューってどれだったのか?」を選ぶというランキングも行っていく。それすなわち、『先月の買われたマンガランキング』である。

以下では、この『買われたマンガランキング』の第1回目を発表する。第1回目は、2-4月のレビューをあわせて買われたマンガの数を集計し、順位をつけた。それでは、ランキングの発表である。

『2-4月の買われたマンガランキング』 BEST 5

お決まりのカウントダウン形式で、まずは第5位から発表していく。

第5位は、『王様の仕立て屋』である。紹介していたレビューは、苅田明史による「新社会人応援企画 第9弾! スーツ(戦闘服)の着こなしと熱い職人魂―『王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜』」だ。

4月の頭に、マンガHONZの特集として行われた「新社会人応援企画」。そのなかでも「スーツは戦闘服だ! ちゃんとこだわりを持て!」と(マンガのセリフで)激を飛ばし、「20代前半のビジネスマンの見た目を決めるのは、ずばりスーツでしょう。」と(自身の体験談から)言い切ったこのレビューは、新社会人にとって分かりやすく、かつ目からウロコの内容だったのだろう。

他の応援レビューも、社会人生活をはじめるにあたって大切な心得が詰まっていたが、「服を買う」ということは今すぐにでもできる即効性のある解決策。「じゃあどんなスーツをどんな風に着たらいいの!?」と思いマンガに手が伸びた人は、少なくないだろう(実は私もそのひとり)。

第4位は、『銭』(ぜに)である。紹介していたレビューは、山田義久による「新社会人応援企画 第6弾!きっと新入社員研修よりオモシロい『銭』〜堀江ブログ2009年売上ランキング伝説の1位〜」だ。

まず、タイトルからして、もう、気になるではないか。そしてレビューの書き方も分かりやすい。いろんな業界の「銭」にまつわるリアルな現場話、と端的にマンガの特徴をまず説明する。そして描かれる業界を、漫画雑誌、アニメ、コンビニ、ゲームセンター、同人誌、カフェ、ペット、声優、骨董、メイド喫茶、エロ本、葬儀、ホスト等など・・とつらつら続けるので、レビューの読者は興味をひかれるかどうか判断しやすい。

さらにこのレビューでは、レビューの中で「マンガの試し読みもできる」という実験的な試みも行っている。まだ読んでいない人は、ぜひ読んでみてほしい内容だ。

続く第3位は、『ナナのリテラシー』である。これも山田義久によるレビューであり、タイトルは「作家を救う電子書籍の伝道書『ナナのリテラシー 1』」だ。

話は変わるが、実は今回のこのランキング。買われたマンガの「冊数」を集計しているため、複数巻が刊行されているマンガがやや有利になる傾向がある。(買った「人数」は分からないのだ。) 必ずしもマンガの発行巻数が多ければいいわけでもないのだが、いわゆる「大人買い」が行われた場合に有利になるのは、集計上、仕方ないことだろう。

ところがこの『ナナのリテラシー』は、レビュー時点で1巻しか発売されていない作品だ。さらに言えば、第4位の『銭』よりも約2倍ほどの冊数が売れている。言い換えると「もっとも多くの人が買った(買いたくなった)」マンガだと言える。電子書籍の話だけあり、電子書籍で多く買われていたようである。

そして第2位は、『ナチュン』である。紹介していたレビューは、苅田明史による「沖縄の海を舞台にした大人向けSF『ナチュン』」だ。

『ナチュン』。この作品をあなたは知っていますか?もしくは最近まで知っていましたか?・・私はこのマンガHONZで紹介されるまで、まったく知らなかった。もろもろの経緯から、途中で打ち切りになってしまった作品だとのこと。しかしササる人にはとてつもなくササるマンガだと言える。それが証拠に、マンガHONZの夜会で苅田が『ナチュン』をレビューすると言ったとたん、なんと歓声が起こったのだ。マンガ好きの数名による、共感の歓声である。(私は歓声の意味も分からず、ポカンとしていた。)

さらには、マンガHONZで紹介することが決まったために、急きょ電子書籍として復刊されることになったのである。まさか2位をとるほどに売れるとは誰も思わなかっただろうが、驚きの展開だ。絶版になっていたおもしろいマンガを、レビュアーの想いですくい上げた、理想的なレビュー(と展開)であった。

そしていよいよ第1位。それは『風雲児たち』である。紹介していたレビューは、佐渡島庸平による「目が点になる歴史マンガ『風雲児たち』だ。

「目が点になる」という言葉を産み出した作家がみなもと太郎、という"うんちく"。そして、そのみなもと太郎が一生をかけて、まだ連載中である大傑作がある(それが『風雲児たち』)というエッセンスだけでも、この作品に興味をもってしまう。

さらには、佐渡島庸平は自身のマンガへの感想を記す。「僕の歴史観は揺さぶられ、現代の社会の見え方も大きく変わった。本からここまで影響を受けたのは、本当に久しぶりだ。」このように自身の作品への想いが記されていると、読んでみようと思う基準になる。全巻セットを複数の人が買ったこともうなずけるレビューだ。

『2-4月の買われたマンガランキング』 次点

以上が今回の『2-4月に買われたマンガランキング』の結果だった。
ただ今回は、3ヶ月にわたるレビューをまとめて集計したため、6位以下に続く作品も紹介しておこう。

6位 『インベスターZ』角野信彦による圧倒的なわかりやすさ 三田紀房的マンガ日本経済入門『インベスターZ』

7位 『「坊っちゃん」の時代』
:佐渡島庸平による「海外で圧倒的に賞賛される漫画家・谷口ジロー『「坊っちゃん」の時代』

8位 『アフター0』:菊池健による「大宇宙の謎から座敷わらしまで、ハッとしてからホッとするSF短編集『アフター0』

9位 『予告犯』:苅田明史による「覆面の知能犯 vs.サイバー警察――シビれる社会事件マンガ『予告犯』

10位 『マネーの拳』:小林琢磨による「新社会人応援企画 第3弾!いつか起業したいと考える新社会人の必読書『マネーの拳』 

最後に、『買われたマンガランキング』 の使い方について考えたいと思う。
実際に本が買われたレビューがいいレビューだと言いたいわけではなく、それだけレビュアーに作品への想いがあり、それが読者に伝わったのだと、ランキングを見ていて思う。また、マンガHONZのレビュアーは様々な個性に満ちている(レビューを読めばわかると思うが)。

ならば読者の立場としては、自分の心に届くレビュー、共感するレビューを見つけ、次にそのレビュアーのレビューを追ってみるといいのだろう。レビュアーの想いや視点を読み解きやすくなり、したがって紹介されたマンガへの評価判断もしやすくなる。その結果、アタリのマンガに出会う確率があがるというのは、わくわくするのではないだろうか。

今回からはじめた『買われたマンガランキング』。このランキングが、自分に合ったレビュアーを見つけるきっかけとなり、そして新たなマンガとの(幸せな)出会いを生んでくれると、私たちも嬉しい。

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