6月の今月読む本 その1

東 えりか2014年06月04日 印刷向け表示
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エピジェネティクス――新しい生命像をえがく (岩波新書)
作者:仲野 徹
出版社:岩波書店
発売日:2014-05-21
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6月3日、『エピジェネティクス』発売記念の公開朝会がにぎにぎしく行われました。著者のスケジュールがこの日しか空いてない、ということで今回はイレギュラーの火曜日開催。会場は恵比寿駅前の英治出版のセミナールームをお借りしました。駅から3分、朝8時まで開いている飲み屋の前を通って、いざ出陣です。

HONZ会員30名さま限定の募集をしたところ、あっという間に一杯に!みなさん、そんなに仲野先生に会いたいのですねえ。本人でさえ意外な売れ行きに、書籍販売に来ていた岩波書店の担当者も「失速しなきゃいいんですけど…」とちょっと気弱。いえいえ、これからガンガン売れてくれるはずです。

HONZメンバーにもうひとつ嬉しいことがありました。被災地支援を続けてきた新井文月のニューヨーク個展「アートで被災地を支援する芸術家、ニューヨークに挑戦!」のクラウドファンディングが成立しました。ギリギリまで危ぶまれていましたが、最後にステキなパトロンが現れたようです。新井は意気揚々とニューヨークへ。その顛末は近いうち本人から報告があるでしょう。

今回は新メンバーの塩田春香を迎え、まずはここのところ内藤に煮え湯を飲まされている学生メンバーの峰尾から。

峰尾健一

サルなりに思い出す事など ―― 神経科学者がヒヒと暮らした奇天烈な日々
作者:ロバート・M・サポルスキー
出版社:みすず書房
発売日:2014-05-23
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1970~90年代にかけてのケニアとその周辺の国々を舞台に、ヒヒを23年間観察し続けた学者の自伝。ユーモアいっぱいに書かれた物語は最後の章で一転。自然の脅威を感じる1冊。

内藤順

病名は発見者の名前が付けられることが多く、覚えにくくて医学生の悩みの種なのだそうだ。では病名を付けた人の人生はどのようなものだったのだろう?

内藤は「消えゆく言語」に興味を持っている。『探検言語学』もシベリア北東端のチュクチとコリャークという先住民族のトナカイ遊牧地にそれぞれ単身入り,彼らの言語のフィールドワークをまとめたもの。

犬は、仕事をやり遂げたことが喜びになる。死体捜索犬は死体を見つけた時が、それだ。著者の愛犬、ジャーマン・シェパードの「ソロ」が、死体捜索犬として成長する様子と、犬と人との関係、優れた能力を解き明かしていく。

麻木久仁子

魔女狩りはキリスト教以外でも行われていた。行われていないのは日本とアラビアだけなのだそうだ。人を陥れるため、魔女や魔法使いとして仕立て上げられた人たちの歴史をひもとく。

人気の吉宗将軍にしても、きつい経済政策があった。時代劇に隠された今と共通する「経済状況」をエコノミストの飯田泰之氏と時代劇研究家・春日太一氏の対談する。
 

エネルギー問題になると俄然熱くなる麻木。本書は納得しながら読んだそうだ。商社で専門の久保も大きく頷く。

東 えりか

有吉玉青は有吉佐和子の娘である。その佐和子を支え続けた「祖母」、秋津。人気作家の母にかわり、幼い自分を育ててくれた「ソボちゃん」。有吉家の女三代の物語。

日本人が日本人を売り払う。長い歴史に中で頻繁に起こっていたことなのだ。ポルトガル商人によって日本人奴隷は東南アジア、インド、ヨーロッパへ買われていった。文献に残った事実をていねいに拾い上げていく。

もともと解剖学者の養老先生。ヨーロッパの人間の骨によって飾られた霊廟を巡る旅だが、ドクロとは美しいものだと思う。

刀根明日香

日本の身体
作者:内田 樹
出版社:新潮社
発売日:2014-05-30
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ご存知、内田樹先生の対談集。茶道家、能楽師、文楽人形遣い、漫画家、合気道家などなど各界の達人に聞く「身体の使い方」。

成毛眞

脳に棲む魔物
スザンナ・キャハラン

ヒエログリフの入門書が、日本人のどれ程に必要かわからないが、ものすごく丁寧に解説され、科挙章ごとに練習問題も用意されている。ちょっと欲しい。

書店では袋とじで売っているところもあるようだ。ピッキングの方法がこれまた懇切丁寧に説明されている。ただ、今のカギには使えないとのこと。

正気と狂気の境界線を超えた24歳の女性記者。しかしそれは精神疾患ではなかった…ヒトの体の神秘は 医学ミステリーより面白い。映画化決定。

土屋敦

そういえばこちらも近日発売!レシピよりもコラムが面白い、らしい。

男のパスタ道 (日経プレミアシリーズ)
作者:土屋 敦
出版社:日本経済新聞出版社
発売日:2014-06-10
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鳶職の中でもエリートの高度で作業する男たちを追ったドキュメント。成毛によるとそれよりすごい重量鳶という職業もあるそうだ。

昭和天皇が譲位する可能性は4回あったのだそうだ。ではなぜ64年も続いたのか。その謎に迫る。

ただの石ころに見えて、中に美しい空洞がある石。日本でも一部で取れるそうだが、希少なものらしい。こちらは普通の石ころを探す、宮田珠己の新刊

仲野徹

ここのところ、あまりの忙しさに記憶が混乱していて、自分が先月上げた本をもう一度持ってきてしまうほど。

『世界を変えた50』シリーズはみんな面白いが、本書は医学部教授が太鼓判。一項目ごとに説明され、それが非常にわかりやすいのだそうだ。

10万円で自分のゲノムがわかる時代がそこまで来ている。医療の在り方も根本から変わってしまうだろう。お医者さんもたいへんだ。

塩田春香

今回初参戦の塩田。先日の『エピジェネティクス』のレビューは見事だった。HONZメンバーが大好物の本をたくさん編集されてきたのだが、どこかで情報が間違っていて、持ってきてくれた本がちょっとすごかった…

大うんこ展
作者:伊藤 ガビン
出版社:パイインターナショナル
発売日:2014-04-21
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「みなさん、大好きだとお聞きしたので……」と涼しくいう塩田。うん、確かに逸材だと思う。全部、うんこしか書いていない本ですww
 

鉄道でゆく凸凹地形の旅 (朝日新書)
作者:今尾恵介
出版社:朝日新聞出版
発売日:2014-05-13
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こちらもHONZ好み。地形からいろいろ想像するのは楽しい。

久保洋介

2か月ぶりに出席。世界のあちこちへ出張しているそうだ。エネルギーを専門にしている久保が選んだのは、イモをエネルギー源に、という本。本当に可能性があるのかと話題騒然!読んでみたら意外にいいかも。

話題の理研の本が再々発売。これは傑作だ、と成毛も仲野も太鼓判。私はまだ読んでないので、すぐに買わなきゃ。

水道橋近くのビジネスホテルの存在は知っていたけど、今は世界的に評判のいいホテルになっているのだそうだ。駅前で便利な場所にあるし、使い勝手がよさそう。

栗下直

今やすっかり「メルヘン」という名が定着した栗下。彼も2か月ぶりの出席。

この辺りまで進むと、かなりの本がカブって手持ちが少なくなってくる。栗下もほとんど手持ちがないので、『「つながり格差」~』の本はらしくないね、と客席からも声がする。地域の連携がうまくいっているほど、子供の学力はあがるんだそうだ。

『スナック~』はまさに栗下らしい本だけど、意外に内容は充実していて、読み込んでしまうんだそうだ。不思議につぶれないスナックって結構あるものね。

2011年に自死した伊良部。野球に興味のない成毛以外全員知っていた。傑作との声もよく聞く。講談社ノンフィクション賞の最終候補に残っている。

高村和久

『渋滞学』で大評判になった著者の新刊。あなたはなぜ他人から正しく理解されないのか? 人類の争いの大部分が「誤解」がもとだといえるだろう。さて、その原因をどう読み解いていくのか。

「線の歴史って何?」と全員頭をかしげる。生きることは線を生むことだと主張する、世界的な人類学者インゴルドの本、なのだそうだ。よくわからないのでレビューに期待する。

イギリス人の海軍士官、サミュエル・ピープスの『日記』は多くの人に注目され、たくさんの本が出ている。17世紀のヨーロッパでどんな科学が信じられていたのか、これは興味がある。

田中大輔

内田樹さんの人気のせいか「街」の字を使うタイトルが多い。本書は「街」ではマイノリティの人たちを取材し肉声をそのまま文字にしたものだそうだ。

チェーン店に見せかけないチェーン店も多く、実はどれだけ利用しているか、よくわからない。そのチェーン店の裏側に潜入し、かなりのところまで調査しているようだ。実名は明かしていないが、だいたいわかってしまう。

3Dプリンタで銃が作れるようになってしまった。立体をデータで転送するなんて、それはもうテレポーテーションではないのか。「成毛さん、3Dプリンタ持ってる?」と仲野が聞くと「まだ!」と答えるあたり、HONZ代表はすごい…

村上浩

青木薫のサイエンス通信最新号でも興味を持っていたドーキンスの自伝。2巻まででるらしい。『利己的な遺伝子』ができるまで。

この世の中、麗しき協力でつながっている。しかしそれに反した場合、容赦ない罰が加えられる。さすが岩波サイエンスライブラリー!

ベネズエラを14年余り統治したチャベスを詳細にルポルタージュ。上下二段組の圧巻の一冊。さすが村上、これを読み通してレビューを書いてくれるだろうか?

* 

一周まわって1時間ちょっと。なかなかいいペースで進んでいます。おまけの本と欠席者のオススメはその2で紹介します。会場のみなさんも笑ってポチって大忙し。私もこの記事を書きながら、ポチポチポチとしてしまいました。読み切れないのに…。罪深きはHONZ朝会です。

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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
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