『慶應小論文で鍛えるロジカルシンキング』-編集者の自腹ワンコイン広告

版元の編集者の皆様2014年07月12日 印刷向け表示
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慶應小論文で鍛えるロジカルシンキング
作者:池田 五律
出版社:翔泳社
発売日:2014-06-24
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こんな入試問題があることを知っていますか?

この本は、小論文試験の中でも最難関とされる慶應大学の経済学部・商学部の入試問題をベースに、ビジネスパーソンに必要な経済学的思考とロジカルシンキングを身に付けようというものです。実は、慶應大学の入試科目には「国語(現代文、古文、漢文)」はなく、多くの受験生は小論文入試を受けています。

小論文試験というのは、簡単にいうと現代文よりも長い課題文を読み、問われた内容について100字~800字で解答するというものです。

たとえば、2008年の経済学部入試問題では、ユニークな展示で有名な北海道の旭山動物園の取り組みを紹介した課題文と、以下のような設問が出題されました。
 

ある市には動物園がまだありません。そこで市立動物園を新設することを検討しています。あなたがこの市の職員だとして、市立動物園開設について市民が賛成してくれるように訴える文章を書くことになりました。課題文のみに囚われず、あなたの考える根拠も含めて、行政側から市民を説得する文章を300字以内で書きなさい。

解答例は本書を読んで頂きたいのですが、「みなさん、わが市にも動物園をつくりましょう。観光資源にもなるので、経済が活性化します~」などという単純な解答ではほとんど得点になりません。自分で問題設定をして、説得力のある文章を論理的に書かないといけないのです。

ユニークで骨太な入試問題は東大以外にもある

著者の池田五律先生は河合塾で20年以上小論文の指導をしている大ベテランで、私の恩師でもあります。私が東京の出版社で働くようになったある日、「そういえば、池田先生は酒が大好きだったな。久々に会ってみよう」と声をかけて、新宿の思い出横丁において再会を果たしたことが縁で本書の企画が立ち上がりました。

池田:「昆君、慶應大学の小論文試験って本当によくできてるんだよ」
私:「僕が受験生のときは『家族問題を論じよ』とかありましたね」
池田:「環境情報学部では『21世紀にふさわしいモノやサービスを発明してください』とか出題されるし、経済学部では高校では教わらない最新経済学がテーマになるんだよ」
私:「面白そうですね。今度読んでみます」

14年ぶりに赤本を購入し、受験生の目線ではなく、編集者の視線で読み直してみると、「論理的思考」「他者を説得する文章力」「経済学的なセンス」を問う非常に骨太な内容であり、大学生だけでなく社会人にとっても有益だということがわかったのです。

また、「最近ではほとんどの航空会社が旅客機の中を全面禁煙にしている。本文の内容を前提とした場合、その理由として考えられることを100字以内で書きなさい」といったように、問題文自体もユニークで頭の体操になるものが数多くありました。

「東大のユニークな入試問題は度々ニュースのネタになるが、いやいや、慶應もなかなかのものじゃないか。ぜひ、これを題材にしたビジネス書をつくろう」――。これが、本書が生まれたきっかけです。(ちなみに、環境情報学部や総合政策学部も十分面白いのですが、問題文があまりにも膨大なので、比較的コンパクトな経済学部と商学部から選ぶことになりました)

慶應小論文試験は未来のビジネスリーダーへのメッセージ

慶應大学が国語ではなく、この試験形態にこだわる理由はなんでしょうか?著者は、本書でこう分析しています。

論理的思考と教養を伴った経済学的思考なしには、企画・研究・開発をリードするような問題解決型思考ができる人材は育ちません。そういう人材を育てるのが大学の使命である…。小論文入試を重視する慶應大学には、そうした志を感じます。

経済がグローバル化するなかで価値観の異なる人々と仕事をするには、「なぜこれをする必要があるのか」を論理的に説明できなければいけません。また、複雑化する社会問題を分析したり世界経済の動向を見通すためには経済学的思考は不可欠です。

慶應大学の建学の精神である「実学」、そして実業界で活躍する人材を多く輩出している事実を考えれば、入試問題自体が未来のビジネスリーダーへのメッセージといえるのではないでしょうか。

そういえば、かつて「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」という東大の入試問題が話題になりました。真意は分かりませんが、小学校で円周率を3と教えていたことへのアンチテーゼではないか?と分析する人もいました。

本書の目的はロジカルシンキングと経済学的思考を身に付けることにありますが、入試問題を通して慶應大学を分析するという視点で読んでも面白いかもしれません。
 

昆 清徳
1980年生まれ。自動車部品メーカー、ビジネス誌の編集者を経て翔泳社へ。『年収300万円の残念な働き方』『ど素人がはじめる株の本 NISA対応版』『ど素人でも稼げるネット副業の本』『実家のたたみ方』などビジネス書や実用書を担当。 
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