『神様がくれた背番号』――剛球、イヤ号泣! ホームレスが助っ人で岡田阪神が今度こそ日本一、ってホンマかいな?

苅田 明史2014年07月08日 印刷向け表示
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神様がくれた背番号 1 (ニチブンコミックス)
作者:渡辺 保裕
出版社:日本文芸社
発売日:2012-11-28
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  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
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この作品、表紙を見ればお分かりの通り、阪神タイガースが題材になっている。
他球団のファンの方は「じゃあ、やめとくわ」と嫌厭せず、また野球好きでない方も「別に好きじゃないし・・・」と食わず嫌いせずに、ぜひ読んでいただきたい。
なぜなら本作、数ある『泣ける野球マンガ』のなかでも最高級に泣ける剛球、イヤ号泣間違いなしの作品なのだ。
(とは言え、野球ファン、特に阪神ファンであれば読みながら思わずニヤニヤしてしまうニクい演出が散りばめられているので必見である)

40歳のホームレスが「二刀流」の野球選手に

このマンガの主人公、飛田謙吉(とびた けんきち)通称「ケンちゃん」は、何と40歳で元タクシー運転手のホームレス。これまで野球をやったこともないばかりか、吃音(どもり癖)のせいで普通にしゃべることもできない。ケンちゃんの話を完璧に理解できるのは、小学生で大の阪神ファン、中嶋武司(なかじま たけし)通称「タケ坊」だけだ。

彼はある時、夢枕に立った神様から

コングラッチュレーション!
お前さんは今年の“人間大賞”に選ばれました
なんたって一回も嘘ついた事ないやろ?
どんな願いでも一つだけ叶えてあげるで

と言われ、悩んだ果てに、

世界で一番野球の上手い40歳になって
阪神タイガースで活躍してみたい

と答えたことをきっかけに人生が変わる。

そして起きてみると打ってはホームラン連発、投げてはストレートは160km超という、日本ハムの大谷翔平も驚く「二刀流」になっていた。
タケ坊やホームレス仲間の応援もあって、阪神の入団テストを受けることができたケンちゃんは、無事その年のドラフトで阪神から指名され、晴れて阪神タイガースの一員となる。
日本でもっともホームレスが多い都道府県(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000044589.html)、大阪からホームレスのスターが誕生したのである。
 

岡田阪神というハマりポイント

阪神ファンにとって堪らないのは、この作品で取り上げられる監督が岡田彰布氏というところではないだろうか。『神様がくれた背番号』の原作となる小説が書かれた時期が2006~07年だそうなので、まさにその時期に監督を務めていたのが岡田氏である。
岡田氏は阪神が日本一に輝いた1985年のバックスクリーン3連発をはじめとして現役時代は素晴らしい打者だったが、監督としても輝かしい成績を残している。

この1999年から2013年までの15年間の阪神の成績を見ると、Aクラス(3位以上)でペナントを終えたのは7回。そのうちの4回は岡田監督によるものだ。

JFKという勝ちパターンを確立したこともあって、在任5年中4回がAクラス。最終年となった2008年は一時13ゲーム差をつけていた巨人に終盤に追い越された責任を取って辞任したが、それでも2位でシーズンを終え、正に「勝てる」監督だった。

このように素晴らしい成績を残した岡田監督だったが、ファンとしてはリーグ制覇を逃した2008年も残念だったが、2005年に日本一になれなかったことが何よりも心残りだ。
当時は金本や矢野、赤星など今もなお根強いファンがいる選手もたくさん出ていて、本当に応援しがいのあるワクワクするチームだったからだ。

『神様がくれた背番号』は正にあの時の「強い阪神」を思い出させ、夢の続きを見せてくれる作品である。
タケ坊が岡田監督にこう聞くシーンがある。

ゴールは日本一
‘85年以来球団2度目の日本一ですよね

そらそうよ

岡田監督の名セリフもふんだんに登場するところはファンには堪らないだろう 笑
 

病床の少年のために戦うケンちゃんらナインの姿に涙

このままではただの阪神ファン向け野球マンガのレビューになってしまう。本当に感動的な作品なので、泣けるポイントも紹介しておこう。

実は『神様がくれた背番号』のもう一人の主人公、タケ坊は先天性心疾患があり、身体が弱い。憧れの阪神の選手に囲まれて幸せな日々を送り、ヒーローインタビューではケンちゃんの代わりにしゃべってくれていたのだが、あるとき病状が悪化して入院し、手術を余儀なくされる。
ケンちゃんをはじめとする阪神タイガースの選手は、そんな病気と闘うタケ坊のために鬼気迫る姿で打ちまくり、投げまくる。
そしてその姿は見る者に勇気を与え、タケ坊はついにアメリカでの手術を決意するのである。

果たして少年の病気は治るのか、そして阪神は日本一を達成できるのか――。
改めて野球っていいなぁ、ファンってあたたかいなぁ、と思わせてくれる作品だ。

このマンガを読んで後半戦からの阪神タイガースの巻き返しに期待したい。
(最後は一阪神ファンの心の叫びでした)

神様がくれた背番号 1 (ニチブンコミックス)
作者:渡辺 保裕
出版社:日本文芸社
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神様がくれた背番号(2) (ニチブンコミックス)
作者:松浦儀実
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神様がくれた背番号 (3) (ニチブンコミックス)
作者:松浦 儀実
出版社:日本文芸社
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神様がくれた背番号
作者:松浦 儀実
出版社:楓出版
発売日:2010-06
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