『闇金ウシジマくん』フリーエージェントくん編について、堀江貴文が聞く! 真鍋昌平-堀江貴文対談 Vol.1

東海林 真之2014年08月11日 印刷向け表示
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 “闇金融”の日常と債務者たちのリアルな人間関係を描く『闇金ウシジマくん』。ドラマ化・映画化もされた同作品の今、これから、作られ方などについて、堀江貴文(以下、堀江)が切り込みます。

作者であるマンガ家真鍋昌平(以下、真鍋)は、どのような取材を行い、あの生々しい人間描写を行っているのか。内容はもちろんのこと、堀江が真鍋をインタビューしていたはずが、途中から真鍋による堀江のインタビューになっていく、一連の流れにもご注目ください。

 

取材した「フリーエージェントくん」はどんな人だったのか

堀江 ところで、ウシジマくん(※)は、これからどうなっていくんですか? もう今の話は終わるんでしょうか。
※ 『闇金ウシジマくん』: 「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に不定期連載中の真鍋昌平によるマンガ

真鍋 「フリーエージェントくん」編でしょうか。8月11日発売のスピリッツで終わりますね。

堀江 あの人(※)の破産宣告は、狙ったんですよね?(笑) マンガが売れるように、示し合わせて。
※ 「フリーエージェントくん」のモデルとなった人物を示唆している

真鍋 違います、狙ってません(笑)。

堀江 あ、来た、ラッキーって思いませんでした?

真鍋 それは、思いました(笑)。けれど、どうせならもう少し「後」に来てほしかった。「フリーエージェントくん」編が終わるぐらいのタイミングにしてほしかったですね(笑)。

闇金ウシジマくん 30 (ビッグコミックス)
作者:真鍋 昌平
出版社:小学館
発売日:2014-02-28
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真鍋 実際、堀江さんは、どのくらいあの人(※)をご存じなんですか?
※ 上記同様、「フリーエージェントくん」のモデルとなった人物を示唆している

堀江 僕が刑務所にいるあいだに有名になっていた人なので、正直、よく知らないんですよ。よく知らないんですが、あの情報商材ビジネスそのものが、ある意味、なんていうか、世間がみる僕の負のイメージみたいなものを、こう凝縮したようなビジネスだから、関連づけられてるだけなんですよね。

真鍋 実際、取材させていただいたんですが、あの人たちはたしかに、フワッとした「世間のホリエモンのイメージ」に憧れていましたね。それで六本木ヒルズに住もうと思った人たちばかりでした。

堀江 そうなんですよ。彼らは、それが目的なんですよね。その「お金持ちになって、いい女と遊べて」みたいなイメージに憧れてビジネスをしているわけです。けど僕らなんかは「インターネットの可能性がすげぇ!」と思って、その可能性を追求していたら、たまたま成長して、たまたまヒルズに住んでいただけなので、目的がぜんぜん違うんですよ。しかも、そのためにやっているビジネスも、なんだかそのフワッとした、上辺だけの部分だけで仕事しているから、「この人たちと一緒にされたら、たまらないなぁ」と思って、僕は距離を置いてるんです。それでも、油断していると、彼らに巻き込まれるんですが。

真鍋 講演会とか。

堀江 そう。僕は、講演会とかやりたくないし、一緒に出るなんてあり得ないわけです。だって、僕の話すことは本に書いてありますから。本を読めば書いてあることをいちいち話す必要ってないですよね。けれど彼らは、そのライブ体験を楽しんでいるんですよ。握手できた、とか、生の声が聞けた、とか。僕はよく、彼らの行動を宗教に例えているんですけど、宗教って、お経を唱えるだけで極楽浄土に行けますとか、仏像を拝めばご利益がありますとか、そういう本質ではなく表面だけの行為が広まっているじゃないですか。

ブッダの教えは、ある意味哲学みたいなものなので、あの教えにふれて理解することが大事なわけであって、お経をただ唱えることではなくてお経の内容を知ることに意味がある。そして人生をよりよくしていくっていうのが本来の(宗教の)目的なのに、それを忘れて、表面の行為だけでいい、というひとがいる。情報商材ビジネスもまさにこのとおりですよ。

真鍋 なるほど。

堀江 僕の講演を聞きにきている人たちも、そうなんだと思いますよ。拝みたい。生のホリエモンを見てみたい。だって僕の話は、お経じゃないですけれど、本に書いてあるわけですよ。だからそれを読んで理解すれば、わざわざ話を聞きにくる必要なんてないわけです。直接質問をしたければ、そのためのアクセス手段もメールマガジンなどで用意しているわけですし。それでも、講演会にくる、拝みにくるわけですよ。まぁなので、僕は意味があるとは思っていないのですが、求められるわけなので、時々は出ますけれどね。本来やりたくないので、数を絞ってるんです。だからギャラも高額になってしまうんですが。

真鍋 ギャラってどれくらいになるんですか?

堀江 オフィシャルには言っていないです(笑)。けれど、比較的いいですよ。ほら、僕は宇宙ビジネスとか色々とやりたいことがあるので、お金も集めなければいけないので。なのでギャラのいい企画書なんかが来るんですけど、持ち込み側が対談相手を隠したりしているんですよ。例えば、企画書段階では「就職フェア」というような企画だったものが、実施日直前にタイムテーブルをみると、僕の他に「フリーエージェントくん」が3人くらい呼ばれていたりとか。

真鍋 一回、見にいこうと思った講演会が、直前で堀江さんが怒ってなくなったものだったんですが。

堀江 それです。僕、最初は気づかなかったんですが、よくよく見ると企画書の下の方にちっちゃく出演者が書いてあるんですよね。それに気づいて、急きょキャンセルしました。いや、彼らと同じ場に出てしまうと、2つデメリットがあるんですよ。1つは、堀江も情報商材みたいなものを商売にしているんじゃないかと思われてしまうこと。もう1つは、僕の名前にひかれて来たお客さんに高額商材を売りつけたりすることですね。お客さんは、僕にだまされたみたいな話になりますから。

真鍋 3ヶ月の間に3回のセミナーで100万円、というような商材もあったようですね。

堀江 僕のライブドア時代にも、セミナーというものはありましたけど、今ほど高額ではなかったですね。情報商材ビジネスというものは、そこからどんどんエスカレートしてます。僕も昔の部下に頼まれて出たことがあるのですが、そのときのコンテンツは自信をもって内容を作りこんでいるので、金額に見合っていたと思うんです。けれど、「フリーエージェントくん」たちの売っている商材は、「その商材を売る方法」だったりするじゃないですか。しかも、それを売るためにマスコミに話題を作ることをしますよね。とにかくなにか話題になればいい。話題になって、それに食いついてきた人に物を売る。物を売るというか、その「話題になる方法」を売る、そういう構図です。

真鍋 そうなんですね。

堀江 まぁただ、これは日本だけの現象じゃないんですよ。世界中にこういうものはあります。

真鍋 このあいだ映画でやっていた『ウルフ・オブ・ウォールストリート』も似たものですかね。

堀江 あのような人は色々なところにいて。僕、こないだシンガポールでセミナーやったんですけど、その主催会社は、一応上場企業なんですね。それが、3日間のプログラムで40万円とかの費用でしたから。でもやっぱり、呼ぶ人の並びはいいんですよ。怪しいひとではなくて、リチャード・ブランソン(※)とか僕とか、まともにビジネスをやっている人を呼んでいる。
※ イギリスの実業家。ヴァージン・グループの創設者で会長を務める

真鍋 そういうセミナーに来る客層って、どんな人なんですか?

堀江 モチベーションアップしたい人たちなんじゃないですかね。起業家で。

真鍋 あの人たちは、実際に会うと、すごくしゃべるの上手ですし、服装とか家とか見た目もシュッとしていて、なんていうか自己プロデュースが上手ですよね。私が質問したら、その10倍ぐらいばぁーっと答えてくれるんですけど、途中から「あれ、自分は何を聞いたんだっけ」という具合に、自分が聞いたことも忘れて、むこうの話に乗っかっていってしまう。何度質問しても、その繰り返しになる。話していても、結局なんなのか(どういう人なのか)が分からないので、いったん距離を置いて、関係性などを俯瞰でみて、はじめて彼らのことが分かってくるんです。

結局、小説家やコメディアンみたいに、自分をどうプロデュースしているかを考えている人たちで、話している内容に意味はなくて、話している本人のキャラをどう宣伝するか、ということだけを考えて特化している人たちだな、という印象をもちました。だからやっている行動も、ストーリーじみているというか、お話じみているというか。いまも破綻してしまいました、と言っていますが、おそらく一回失敗した自分というのを演じていて、それでまた何か月後かに「こういうことをやって上手くいきました」という情報商材を売るんじゃないかな、

堀江 売るんでしょうね。ただ、それにみんなが乗っていることも不思議で、気持ちわるくて。なんなんでしょう、占いなどと一緒なんでしょうね。占いは、別に根拠があるわけではないですが、皆ありがたがってキクじゃないですか。本もすごく売れていますよね。それと一緒の気がします。空気のような、ふわっとしたものというか。ただ、社会現象として俯瞰してみている分にはいいんですけど、知り合いがだまされたりしていると嫌だなとは思いますね。

真鍋 そうですね。ただ、実際に情報商材をガンガン買う人って、スマホのソーシャルゲームで、課金をバンバンする人と同じくらいの割合なのかな、と思います。ちょっとゲームをしている人はたくさんいますけど、ハマってしまって課金をバンバンする人の割合って、とても少ないですよね。(情報商材ビジネスにハマる人も)それと同じぐらいの割合なのかな、って思っていたんですが。

堀江 そうだと思いますね。興味をもった人のうち5パーセントもいかないぐらいですかね。

堀江 そういえば、監督(※)が、またドラマの続編をやりたいって意気込んでましたね。
※ 山口雅俊: テレビドラマでは企画・演出、映画では監督を務めている

真鍋編集担当 そうですね。監督さん始め、俳優さんにも、やりたいって言ってくださる方はいるみたいですね。

堀江 ですよね。けど、そうすると、スピンオフにはまた僕も出るのかっていう話で(※)。次はどうなるんでしょう。前回の最後は、僕、借金漬けになって終わりましたからね(笑)。
※ 「闇金ウシジマくん」 のスピンオフ・ショートドラマに堀江貴文が出演していたため

真鍋 堀江さんの演技がどんどん上手くなっていくという話がありましたね(笑)。

堀江 次回作があるとしたら、おそらく、フリーエージェントくんが出るんでしょ。そこに僕がたぶん絡むと。絶対そうだ。監督は、本人(※)を出しそうで怖いんですけど。あの人だったら、やりかねない。いや、たぶんやるよなぁ。
※ 「フリーエージェントくん」のモデルとなった人物のこと

インタビューは、まだ続きます。続編はこちら

聞き手、構成:東海林真之
 

闇金ウシジマくん 1 (ビッグコミックス)
作者:真鍋 昌平
出版社:小学館
発売日:2004-07-30
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