『ルサンチマン』そして、伝説へ...

山田 義久2014年08月22日 印刷向け表示
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ルサンチマン(1) (ビッグコミックス)
作者:花沢健吾
出版社:小学館
発売日:2004-05-28
  • Amazon Kindle

これは、私が以前紹介した作品ですが、来週この作品にとって歴史的な日が来るので再度紹介したいと思います。

来週火曜日(8月26日)、新宿ロフトプラスワンでこのようなイベントが開催されます。
花沢健吾×堀江貴文~ルサンチマンの世界がここに!?

そう、作者本人を呼んで、『ルサンチマン』で描かれたバーチャルセックスが現実的に可能か、ついに公の場で検証されるのです。これには、今話題のVRヘッドセットOculus Riftと、TEAM・ルサンチマンの存在が重要な役割を担っているのですが、それは後ろで説明します。

まず、『ルサンチマン』のあらすじを簡単に復習しましょう。

舞台は2015年の東京(作品発表は2004年)。主人公の坂本は30歳手前の仕事に特に情熱もなく工場勤務。ルックスはデブ・ハゲで、コンビニの店員に「弁当を温めてほしい」と言えないほどのコミュ障。所謂、女性からは生理的に嫌われるタイプ。
それを自覚する彼は、ある日現実の女性との恋愛を断念。流行する最先端オンラインゲーム上の仮想彼女との恋愛に没頭していく。仮想彼女は、ソフトウェアとして販売されている。プレイヤーは、パソコンにそのソフトウェアをインストールして、専用のグローブ、ヘッドギアを装着し、バーチャルなゲームの世界に入り、その彼女に会いにいく。その仮想世界では、自分の外見を作り変えることができる上、仮想彼女は最初から自分のことを好きでいるようにプログラムされている。よって、各プレーヤーは思い通りの恋愛を楽しむことができる(別売りボディースーツ+キットを買えばセックスも可)。
坂本も仮想彼女「月子」を購入し、ゲームの世界に突入。毛穴から噴き出んばかりの性欲を彼女にぶつけようとするが、、、

(出所:第35話 錆びたチンコ)

という話でした。
この作品、花沢健吾さんのデビュー作ながら、バーチャル恋愛、バーチャルセックスが実現した世界のあまりにリアルな描写に、私を含め水面下で熱狂的なファンを持っており、「花沢健吾の最高傑作といえば、実はこれ」という声も少なくありません。
ただ、作品発表当時(2004年~)は、バーチャル恋愛やバーチャルセックスを本気で実現しようとした人は公に現れず、まぁ、まだ夢物語だなという感じで月日は流れました。

そんななか、Oculus Riftの登場により流れが変わります。
Oculus Riftとは、2012年に設立されたアメリカのベンチャー企業、Oculus VR社により創られたVR(ヴァーチャルリアリティ)ヘッドセットです(この会社、今年3月に20億ドルでFacebookに買収されたことでニュースになりました)。

(Oculus Rift DK2 出所:Oculus VR社HP)

このヘッドセットを自分のパソコンにつなぎ、ダウンロードしたアプリをパソコン上に走らせながら、ヘッドセットを覗くと全方向(左右+前後+上下)バーチャルな世界に没入する体験ができます。
その没入感は衝撃的です。Oculusつけてジェットコースターを体験した人が腰抜かす動画が有名ですが、私個人でも体験したところ、Titans of Spaceは、今まで体験したどんなプラネタリウムよりも衝撃的でしたし、Hiyoshi Jumpは空を飛ぶ体験がリアル過ぎて、着地の際には思わずポーズをとってしまうほどでした(Hiyoshi Jumpはハコスコでも体験できます)。 

その没入感に衝撃を受けた人達、主にエンジニア界隈では、自らアプリケーションを作り始める人達がたくさん現れました。
特に、ゲームエンジンUnityを使えば、比較的容易にアプリケーションが作成でき、なんと主婦の方がUnityで初音ミクをダンスさせるアプリをつくったりした事例もあったりします。
300ドルというOculus Rift本体価格の安さもよかったのかもしれませんね。

そんなOculus Riftに目をつけた人のなかに、これなら「ルサンチマンの世界を実現できるんじゃないか」と考えた賢者がいました。その中の、ゆーじさん大鶴さんという2名の方を中心に” TEAM・ルサンチマン”が結成されることになります。

その後、去年11月に開催されたOculus Game Jamというイベントをきっかけに、日本のOculusクラスターを牽引するGOROmanさんや、凹さんわっふるめーかーさん、ハコスコ仮面(←正体不明...?)等、各分野のスペシャリストが加わり、開発を加速させます。そこに堀江さんも参画することになり、作者の花沢健吾さんまで巻き込んだ今回の一大イベントの開催に至るわけです。

特筆すべき点は、TEAM・ルサンチマンのメンバーは、それぞれエンジニアとして仕事をされ、実際に独自で色んなOculus Rift専用アプリを開発されている方なことです。そして、その方々が専門性を持ちあって、本気で『ルサンチマン』の世界を実現しようとしていることです。

完成品は当日までのお楽しみなのですが、公開情報をもとにそのスゴさを予想してみましょう。
おそらく、ベースはILLUSION社が開発しているPLAYGIRLS。これ、OcuFesというOculus Rift体験イベントで実際に体験させてもらったのですが、相当エロすごいです。そして、体験者の体には、MVN(モーションキャプチャ用ボディスーツ)が採用される模様です。一見ブルースリーのコスプレに見えますが、相当高価なものらしいですよ。
そして、ポイントなる部分には、スポンサーのTENGA社からはこのような弾頭が提供されているようです。
・・・それにしても、デモってどこまでするんだろう。。。

今回のイベントはタイミングも絶妙で、実は先月まで流通していたOculus RiftはDK1という”開発者バージョン1”だったのですが、先月末から今月にかけて、DK2という”開発者バージョン2”が続々と日本に到着しました。そして、今回のイベントにDK2が採用されているようなのです。DK2は、DK1に比べて性能が相当あがり、没入感が相当高まっているそうなので、この意味でもかなり期待大なのです。※ちなみに、一般消費者向けはまだ発売されていません

「今年2014年はVR元年である」という噂があります。
もし、本当にそうなったとしたら、未来から歴史を振り返った時、この『ルサンチマン』という名作と、来週のイベントが「あぁ、あれは偉大な一歩だったな。。」と評価されるのかもしれません。
漫画が予想した未来が現実化しようとする。
そんな漫画史に残りそうなこの機会に、ぜひこの名作を紐解いてみてください。超おススメです!

全4巻、すべてKindleで読めます。ストーリーも壮大で、最後は泣けますのでぜひ一気に読んでください。

ルサンチマン(2) (ビッグコミックス)
作者:花沢健吾
出版社:小学館
発売日:2004-07-30
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ルサンチマン(3) (ビッグコミックス)
作者:花沢健吾
出版社:小学館
発売日:2004-11-30
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ルサンチマン(4) (ビッグコミックス)
作者:花沢健吾
出版社:小学館
発売日:2005-03-30
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 Oculus Rift DK2は350ドルで、まだ開発者バージョンしかありません。よって、もっと気軽にVRの世界を体験するには、上述の通り、ハコスコHiyoshi Jumpを体験することをおススメします。ハコスコは千円で買えるヘッドマウントディスプレイで、iPhoneをさしてつかいます。ハコスコ対応のアプリのなかにHiyoshi Jumpがあります。

 

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