『大富豪破天荒伝説 Best100』新刊超速レビュー

田中 大輔2014年09月05日 印刷向け表示
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大富豪破天荒伝説 Best100
作者:真山 知幸
出版社:東京書籍
発売日:2014-08-27
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巨額の資産を持つ人のことを人々は大富豪と呼ぶ。大富豪は金の力で歴史をも動かす。秦の始皇帝が中国統一を成し遂げられたのも、宗教革命が起きたのも、スエズ運河が開通したのも、元を正せば大富豪の行動に端を発している。

また大富豪には破天荒なお金の使い方をする人も多い。ありあまる富の力によって成し遂げられた歴史に残る大事業もあれば、「なんでこんなことにお金を?」と思うような盛大な無駄遣いまで。世界を揺るがしてきた大富豪の破天荒なお金の使い方をランキング形式で紹介したものが本著である。

ベスト100ということで、100人のエピソードが載っているのだが、これがどれもおもしろい。ちょっとした空き時間に1人分のエピソードを読むなどするのもよいだろう。またトイレ本にも持ってこいだと思う。一気に読むのではなく少しずつ読む進めていくのがオススメだ。

富豪といっても様々なタイプの人間がいる。自分の力でのし上がった人。親から莫大な遺産を相続した人。超ドケチな人から、気前よく人に分け与える人。またクズとしか言いようのない極悪非道な人まで。まさに十人十色である。

そんな中でエピソードとして多いのは、愛人、恋人に貢いだ富豪の話だ。貢ぐといっても大富豪のやることはそこいらの人とはレベルが違う。例えば新聞王のウィリアム・ランドルフ・ハーストは50代のとき、18歳の踊り子マリオン・デイビスと恋に落ちた。彼女を大女優にするためにコスモポリタンという映画会社を作り映画を製作。映画が公開されると、自らが持つ新聞社、出版社、ラジオ局などで40以上もの媒体で傑作だと絶賛してみせた。しかし観客は正直なものである。マリオンは人気が出ず、映画も赤字続きだった。

マリオンと暮らすためにハーストはハースト・キャッスルと呼ばれる城をたてた。鉄道の本線から自らの城に線路を引いたり、客をあきさせないために動物園を作ったり(しかもライオン、ゾウ、キリン、クマなどの動物をすべて放し飼い!)やることがはちゃめちゃである。ちなみにこのハーストのことをモデルにした映画が、オーソン・ウェルズの名作「市民ケーン」である。なお、孤独で哀れな権力者というような描写に怒ったハースは、金に力を言わせて「市民ケーン」を興行的に失敗させることに成功している。

またジョン・クリスティという富豪は、オペラ歌手に惚れ込んで、そのオペラ歌手専用の劇場をプレゼントした。そこで毎年オペラフェスティバルを開催していたことがきっかけで、今現在もその地では、グラインドボーン音楽祭という80年の伝統を持つオペラフェスティバルが開催されている。こういうプレゼントは粋で素敵だ。

本著には日本人の富豪も何人か登場している。パリで豪遊したバロン薩摩こと、薩摩次郎八や、株で財を成して、芸者に金をばらまいた成金の鈴久こと鈴木久五郎。朝鮮に虎の肉が食べたいと、朝鮮に虎狩りにいき、仕留めた虎をパーティで振る舞った山本唯三郎など。とにかくはちゃめちゃな人物が多い。

そんな日本人の中で最上位にランクインしているのは豊臣秀吉である。黄金の茶室などが有名であるが、大阪城の建造費が約780億円というのには驚いた。さらに大阪城の周りの工事も含めると、総額で5兆円が費やされているそうだ。金額が大きすぎて、もうなにがなんだかわからない。

大阪城が完成したのは豊臣秀吉の死の少し前のこと。豊臣秀吉の死後、知っての通り大阪の夏の陣、冬の陣を経て、大阪城は消失している。780億円がたった数年で消えてしまうなんて……。まさに諸行無常である。

この他、鉄鋼王のアンドリュー・カーネギー。石油王のジョン・ロックフェラー。ロスチャイルドにメディチ家など、様々な富豪のたくさんのエピソードがあなたを楽しませてくれるだろう。もし自分が富豪になったとしたら、いったいなにがしたいだろうか?そんなことを妄想しながら読むのもおもしろいかもしれない。富豪の生き様を知ることで、人間という矛盾に満ちた存在と向き合うことができる、そんな1冊である。

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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
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出版社:中央公論新社
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