年間40作の新連載を手がけるウェブマンガの編集長がおススメするのは、音が聴こえてくるジャズマンガ?!『BLUE GIANT』

佐藤 光紀2014年10月12日 印刷向け表示
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マンガHONZをご覧の皆さま、はじめまして。
佐藤光紀と申します。
私の本業はインターネットの広告やメディア、コンテンツを手がける会社
(セプテーニグループ)を経営しているのですが、1年半ほど前から、
社長直轄の新規事業として、マンガ関連のウェブサービス開発に注力しています。

GANMA!(連載型の新作マンガ配信サービス)
www.ganma.jp
RouteM(若手、新人マンガ家の育成プログラム)
www.routem.jp

この1年で、社長兼編集長として、実に40作品以上の新連載マンガを
インターネット上で立ち上げ、お陰さまで沢山のユーザの方々にご利用頂いています。

あまり公の場で話したことはないのですが、実はわたくし、無類のマンガ好きでして
この30年以上、常に200〜300タイトルはレギュラーで読み続けているという
かなりヘビーなマンガ読みでもあります。

雑誌、単行本の読み方、少年誌、青年誌、一般誌、女性誌といったジャンルも問わず、
あらゆるタイプのマンガが好きです。

(現在も雑誌で追いかけているのはヤングジャンプ、ヤングマガジン、モーニング、イブニング、スピリッツ、オリジナル、ビッグコミック、あとは不定期でスペリオール、アフタヌーンあたり、少年誌、女性誌は時間の都合で泣く泣くリタイア(笑)し、個別作品ごとに単行本でカバーしている感じです)

このたび、久々に再会した堀江さんや、尊敬する編集者である佐渡島さんから
「マンガHONZにレビュー書いてよー!」と誘われ、
有り難いことに、ゲストとして寄稿させて頂くことになりました。

私が皆さんにオススメしたい、愛するマンガ作品は数多くありますが、今回取り上げさせて頂くのは「岳」の石塚真一が現在ビッグコミックで連載中のジャズマンガ「BLUE GIANT」です。

BLUE GIANT 1 (ビッグコミックススペシャル)
作者:石塚 真一
出版社:小学館
発売日:2013-11-29
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub

この作品は、仙台に住む高校生、宮本大が、世界一のジャズプレーヤーを目指し、
様々な経験を積みながらミュージシャンとして、また人として一歩一歩成長していく
姿を描く、熱く、骨太な人間ドラマです。

何しろジャズ。ジャズですよ皆さん。

マンガにも色々なジャンル、題材がありますが、音楽マンガは、とても難易度の高いものの
一つと言えるのではないでしょうか。

音はね、聞こえないですからね。そもそも紙のマンガでは。

そんなハンディキャップを持った上で、面白いマンガを描くには、
魅力的なキャラクター、ストーリー、画力、構成、演出など、相当な実力が求められる訳であります。

バンドや音楽を扱った素晴らしい作品は他に幾つもありますが、
中でもこの「BLUE GIANT」はスゴい。

音が、聴こえてくるんですよビリビリと。マンガから。熱く、激しく。(もちろん、比喩的な意味でね)

この「BLUE GIANT」の魅力を一言であらわすならば、
『人が、人の感情を動かす瞬間を、1話ごとに凝縮し、色鮮やかに描いている。』
といったところでしょうか。

主人公、宮本大の鳴らすサックスの音が、一人、また一人、周りの人間に熱を与えていく。

高校の親友、大が淡い想いを寄せる同級生、舞。バイト先の店員、楽器屋の店長、ライブハウスのオーナー、大の音楽の師匠となる凄腕のジャズミュージシャン、由井。

そして、深い愛情で大の挑戦を応援する、大の家族。

怒り、哀しみ、喜び、感動、あらゆる感情を、音に乗せて、ジャズに込めて、
大はサックスを吹く。吹き続ける。

静かに物語は進みます。

尖ったギミックを持ったキャラクターも、先の読めないストーリー展開も、
そこにはありません。

だが、激しい。熱い。

人間を、深く、真摯な姿勢で、見つめ、描く。

人の持つ情熱、エネルギーが、周りの人を前へと動かしていくさまが、
圧倒的な躍動感を持って、一話一話ごとに凝縮されています。

作者のヒット作「岳」は山が題材のため、人の生死を扱うシーンが多く
感情を揺さぶるスイッチが割と入りやすかったですが、
それを、より難易度の高い音楽マンガ、しかも決してメジャーな
ジャンルとは言えないジャズマンガに取り組んで、ここまでの作品に
仕上げていく作者の挑戦にも、心から尊敬の念を抱くのと同時に、
表現者としての凄みを感じます。

また「BLUE GIANT」はマンガを通じて、ジャズを描いた作品であるのと同時に、
このマンガそのものが、ジャズなのです。

インプロヴィゼーションを中心に、人と人が、その瞬間の閃きで、
お互いの感情を音にぶつけ、Grooveを生み出す。

ジャズが持つ魅力を、ここまで色鮮やかに描いた作品を、私は他に知りません。

大人が読むに相応しい、骨太な人間ドラマ。

皆さんも、ぜひ、手に取って「BLUE GIANT」を感じてみましょう!

きっと、ジャズが好きになりますよ。

BLUE GIANT 1 (ビッグコミックススペシャル)
作者:石塚 真一
出版社:小学館
発売日:2013-11-29
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  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub
BLUE GIANT 6 (ビッグコミックススペシャル)
作者:石塚 真一
出版社:小学館
発売日:2015-07-30
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub
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