アイドルも力士も地下が熱い!幕下力士たちが繰り広げる圧倒的熱量の相撲漫画『バチバチ』

小林 琢磨2014年10月23日 印刷向け表示
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
バチバチ 1 (少年チャンピオン・コミックス)
作者:佐藤 タカヒロ
出版社:秋田書店
発売日:2009-09-08
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub


 漫画の面白さを因数分解した時に、ストーリーや構成、コマ割り、台詞回しなどの技術的な要素が語られる事が多いですが、個人的に一番大事な要素だと考えているのが「熱量」です。

絵が上手い。ストーリーが秀逸。面白い漫画は沢山あります。しかし10年経っても語り継がれる様な名作には必ずその作品に圧倒的な熱量が存在し、魂を鷲掴みにする様な強いパワーを持っているのです。居酒屋で朝まで延々と語り合う様な作品には共通する熱量が存在するのです!

それは例えるならロックバンドのファーストアルバムの様な、荒削りだがそれ故に純粋でストレートな表現方法。

こんばんは!漫画業界のセックス・ピストルズこと小林です。勝手にしやがれ!!
 


相撲は横綱だけじゃない!

今回紹介する『バチバチ』は大相撲をテーマにした作品です。しかし大相撲と言っても横綱や大関などの関取は登場しません。関取が登場しない相撲漫画?と思うかもしれませんが、実は関取とは幕内(横綱・大関・関脇・小結・前頭)と十両と言った番付の力士だけであり、その下に幕下・三段目・序二段・序の口と言った番付の力士たちが存在します。『バチバチ』の登場人物はこの幕下以下の力士たちになります。テレビで放送されない大相撲の世界があるのです!

もしかしたら今、貴方はどうせ幕下でしょ?って思っているかもしれません。実は僕も『バチバチ』を読むまでは大相撲には関取しか存在しないと思ってました。幕下?何それ?喰えんの?って感じです。Jリーグで言う所のJ2、プロ野球で言う所のウエスタン・リーグでしょ?って。
でも実際力士の世界は凄いんです。

序二段と呼ばれる下から二番目の力士ですら、大学ラグビー部くらいのガタイなら簡単にはねのけてしまいます。もうね、世界が違うんです。大きさが違うんです。ザクとは違うのだよザクとは!

一般人とは勿論、普通のスポーツマンとも圧倒的に大きさのレベルが違う世界。それが大相撲であり、『バチバチ』は業界でも珍しい幕下に注目し、上を目指してがむしゃらに頑張る力士たちの物語になるのです。
 


漫画は熱量!これが熱量だ!!


死んで生きられるか

『バチバチ』はそのタイトル通り力士だちのバチバチとした熱い闘いが特徴の漫画です。部屋や後援会、兄弟子たちの思いを背に土俵にあがる姿に痺れます。

特に15巻~16巻にわたる同じ部屋にて行なわれた同門対決での優勝決定戦はスポーツ漫画の歴史に名を刻まれるくらいの熱量でした。間違いなく、今後10年間は語られ続ける名勝負です。これが熱量だ!これが漫画の面白さだ!

兄弟子の白水と弟弟子である主人公の鮫島の序二段優勝決定戦。試練の同門対決!
主人公の鮫島と比べて今まで完全に脇役に徹していた兄弟子の白水が文字通り大きな壁となって立ちふさがります。直前の取り組みで生まれた師弟関係の亀裂を見事に払拭する様な素晴らしい大一番。鮫島は鮫島で持てる全てを兄弟子の白水にぶつけ、そして白水は白水で持てる全てを使って見事受けきり、そして鮫島を導きます。

取り組みの最中、負傷により目の見えなくなった鮫島に「俺はここにいるぞ!」と伝えるのです。いやー熱い!!全く目が見えない状況で兄弟子の言葉に向かって真っすぐ暗闇の中を突き進む勇気。逃げずに全て正面から弟弟子を受けきる兄弟子。熱い!熱過ぎる!!決着のその瞬間まで一瞬も目が離せないその取り組みは漫画界の歴史に『バチバチ』ここにありとしっかりと名前を刻んだ事でしょう。
 

(『バチバチ』15巻 P58~59)

そして、そしてぇ、そしてぇぇ!!この漫画界の歴史に名を刻んだ名勝負が霞んでしまう様な取り組みがそのすぐ後に行なわれるのです。

主人公の兄弟子同士の幕下優勝決定戦。運命の同門同期対決!
もうこれが涙なしでは読めないんですよ・・・。怪我をおしてまで、いや自分の力士生命、引退をかけてでもどうしても闘いたい相手がいる。誰よりも自分が一番認めた相手。誰よりも一番負けたくない相手。そう、同じ部屋に同期入門した阿形と吽形二人なんです。これで燃えなければなんのために漫画を読んでいるのか!!
 

(『バチバチ』16巻 P70~71)

この熱量が漫画なんです!小説やイラストでは表現出来ない、この魂の昂りが漫画なんだ!!
 


最後に

大切な事は全て『バチバチ』から教わりました。
人生において「熱量」がどれほど大切な要素なのかと。
語り継がれる物語とは何かと。

死んだ様に生きていませんか?

バチバチに火花散らして自分が全て出し切れる、燃え尽くす「熱量」を持つ何かを探して行きましょう。


※『バチバチ』の続編『バチバチBURST』も超オススメです!
惜しまれつつも完結してしまったのですが、(それはそれで非常に良い最終回でした!)是非とも幕内編での連載再開を熱望します!!
 

バチバチBURST 1 (少年チャンピオン・コミックス)
作者:佐藤 タカヒロ
出版社:秋田書店
発売日:2012-09-07
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub

記事へのコメント コメントする »

会員登録いただくと、記事へのコメントを投稿できます。
Twitter、Facebookにも同時に投稿できます。

※ 2014年3月26日以前にHONZ会員へご登録いただいた方も、パスワード登録などがお済みでない方は会員登録(再登録)をお願いします。

コメントの投稿

コメントの書き込みは、会員登録ログインをされてからご利用ください。

» ユーザー名を途中で変更された方へ
 変更後のユーザー名を反映させたい場合は、再度、ログインをお願いします。

ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
発売日:2014-10-24
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

電子版も発売!『ノンフィクションはこれを読め! 2014』

HONZ会員登録はこちら

人気記事