マンガアプリの戦国時代到来!? 天下統一するアプリはどれだ! マンガHONZが、使いやすいマンガアプリを評価してみた

東海林 真之2014年11月03日 印刷向け表示
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さて、突然ですが。
スマートフォンやタブレット端末で、マンガを読んだことがありますか?

最近、無料でマンガが読めるアプリのCMが流れたり、マンガ週刊誌がアプリで読めるようになったり、電子書籍サービスがマンガに力を入れていたりと、マンガ × アプリの組み合わせがどんどん身近になってきていますよね。

けれど、なんだかたくさんのアプリが溢れていて、どう違うのかよく分からない!…となっていませんか? マンガ雑誌だったら、掲載されているマンガが違うだけなので分かりやすいのだけれど、マンガアプリって、同じマンガが読めるアプリもあれば、独自コンテンツしか読めないところもあって、ややこしい! 無料のサービスも有料サービスもありますし。さらには、アプリ自体の使いやすさ、特徴なども違うというし。

そこで今回、マンガHONZでは、「いま」のマンガアプリを独自に整理、そして評価してみることにしました。

ポイントは2つ。
まず、各アプリの「整理」については、主に閲覧できるコンテンツと、そのコンテンツの買い方(課金の仕方)で分けること。
次に、各アプリの「評価」については、コンテンツの良し悪しは概ねムシして、アプリ(サービス)の"使いやすさ"だけで評価すること。

評価の仕方は、マンガHONZの定例会(夜会)の参加者約15名が、それぞれ支援するアプリへポイントを振り分け、また、支援する理由を述べてそれぞれのアプリを擁護し、議論しました。このような流れで、最終的な評価を決めています。

あくまで「いま」時点での、しかもマンガHONZの独自評価ではありますが、新たなマンガに出会う機会、あるいは新たなマンガ読書体験に出会う機会になれば幸いです。それでは、以下。整理と評価のスタートです。
 

マンガアプリを「整理」してみた

いま世の中には、たくさんのマンガアプリがあります。例えば、「マンガボックス」と「Kindle」と「LINEマンガ」と「Dモーニング」などを聞いたことがあるかもしれません。けれど、これらはいったいどう違うのか。

前述したように、今回は、主に閲覧できるコンテンツと、そのコンテンツの買い方(課金の仕方)で「5つ」のタイプにマンガアプリを分類してみました。その5つを、それぞれ以下のように呼んでみます。

①無料マンガ連載アプリ
②電子書籍系アプリ
③ハイブリッドアプリ
④マンガ雑誌系アプリ
⑤ソーシャルゲーム風マンガアプリ

①無料マンガ連載アプリ

まず、1つめに分類したのは、スマートフォンに特化した読みやすさを追求しているアプリです。そのため、「連載コンテンツは独自のマンガ連載が"中心"」になります。逆に言うと、②~⑤のアプリは、従来のマンガ(紙を中心に描かれたマンガ)をアプリで読めるようにしたものです。

この①に当てはまるアプリは、具体的には、マンガボックスcomicoGANMA!などを指します。スマートフォンに特化した(読みやすさの)独自のマンガ連載を読めることが一番の特徴ですが、同時に、その独自のマンガを「連載で無料で読める」点も特徴的です。

②電子書籍系アプリ

①と違い、従来のマンガ(紙を中心に描かれたマンガ)をアプリで読めるようにしたものが②~⑤ですが、そのなかでも④、⑤は、読めるマンガが「限られている」アプリです。一方で、②と③は、電子化されたマンガなら基本的に「何でも読むことができる」アプリです。正しくは、何でも「読むことができる」以前に、「買うことができる」サービスなのですが。

つまり、「マンガを読めるアプリ」と呼ぶより、「マンガを買えるサービス」だと思ってもらえるとわかりやすいでしょう。書店に変わるサービスですね。当てはまるサービスは、具体的には、KindlehontokoboBookLive!eBookJapanKinoppySony Readerなどを指します。(横文字ばかり。さて、どれが国産サービスでしょう?)

③ハイブリッドアプリ

③の具体例はズバリ、LINEマンガです。何がハイブリッドかというと、①と②の機能をハイブリッドしています。

正直、1つのアプリだけのために分類をつくるのはどうかと思ったのですが、②の電子書籍系と呼ぶには、コンテンツが「マンガに特化している」し、「マンガ連載も無料で読め」ます。マンガ連載を無料で読めるなら①なのでは?と思うと、「無料で読める連載マンガは、独自の作品ではなく紙を中心に描かれたマンガ」だし、なにより基本的には、紙を中心に描かれたマンガを「買える」サービスなんですよね。

では①と②の「いいとこ取り」をしているのかというと、必ずしもそうとは言えなのですが(※)、①と②のハイブリッド形式ではあると言えるので、マンガHONZとしては、③をひとつの分類にしてみました。

※①は、独自コンテンツであるが故に、スマートフォンで最も読みやすいマンガ形式を追求していますし、②はマンガ以外の書籍もひとつのサービスで購入/管理できます。見方しだいで、いいとも悪いとも言えるので、注記しました。

④マンガ雑誌系アプリ

④も具体例で説明するのが分かりやすいのですが、ここには、「Dモーニング」、「少年ジャンプ+」が該当します。分類名のとおり、週刊マンガ雑誌をアプリで配信するサービスです。「モーニング」や「週刊少年ジャンプ」などのマンガ雑誌を毎月買っているのだけれど、重いしかさばるのがイヤだとか、過去の雑誌もとっておきたい、という人には最適なサービスですね。おまけに月額の定期購読をすれば、紙の雑誌を毎週買うよりも安く済みます

一方で、一部のコンテンツは紙でしか読めなかったりします(紙は紙のよさがあるのですが)。アプリを望んでいた読者や、アプリになることで初めて定期購読を始めた読者も多かったように見受けられます。この分類はまだまだ取組みがはじまったばかりであり(他の分類もそうですが特に)、今後のサービス変化に注目しています。

⑤ソーシャルゲーム風マンガアプリ

正直、この分類をなんて呼んでいいものか迷ったのですが、コンテンツの買い方(課金の仕方)がもっとも特徴的なので、分類名にしてみました。具体的には、「全巻無料!サラリーマン金太郎」「全巻無料!まじかるタルるートくん」などの個別マンガ作品が読める無料アプリと、10/27にベータ版が公開されたばかりの「ハートコミックス」を指します。

個別マンガ作品が読める無料アプリは、「全巻無料!…」というタイトルがついていますが、基本的には1日30分が無料で読めるというアプリです。マンガを読むための時間に制限があり、毎日その時間が回復するが、お金を払うことでも"すぐ"に時間回復ができる…という仕組みは、ソーシャルゲームを彷彿とさせます。

「ハートコミックス」も仕組みは似ていて、こちらは時間ではなく「ページ」制。1日100ページを読むことができて、日が経てば自動回復するものの、お金を払えば読めるページ数も回復するというモデルです。

ソーシャルゲームと同じ仕組みというと、ネガティブなイメージを抱いてしまう人もいるかもしれません。しかし、これらのマンガアプリは「必要以上に射幸心をあおる仕組みにはなっていない」点は、指摘しておきます。人によっては、「マンガ喫茶も時間あたりにお金を払う仕組みなのだから、同じようなもの」と考え、マンガ喫茶にいくよりも手軽にマンガを読めるという考えで「サラリーマン金太郎」を読んでいる人もいます。数百円や1-2千円程度で「サラリーマン金太郎」を全巻読めると考えたら、お得なサービスかもしれません(なにより、毎日こつこつ読み進めれば、無料で読むことも可能です)。

以上、マンガアプリを「5つ」のタイプに分類してみました
この5つから漏れているサービスもあるかもしれません。ですが、現在注目を集めている主要なマンガアプリはほとんど含まれているはずです。

スキマ時間にスマートフォンで読みたいのか、自宅のスペースを節約したいのでタブレットで読みたいのか、何が何でもお金を節約したいのか、定期購読を手軽にしたいのか、…。自分の性格や目的にあわせてマンガアプリを選んでみる参考になれば、嬉しく思います。
 

マンガアプリを「評価」してみた

さて、一転して。
今度はマンガHONZメンバーが主観を思いっきり戦わせ、マンガアプリを評価してみました。評価の仕方として注意したのは、以下の点です。

・利用者目線でマンガアプリの使いやすさを評価し、ビジネスモデルは評価しない
・各マンガアプリのマンガコンテンツの良し悪しも概ね評価しない
(使いやすさのみを評価)

繰り返しになりますが、評価の仕方は、マンガHONZの定例会(夜会)の参加者約15名がそれぞれ支援するアプリへポイントを振り分け、また、支援する理由を述べてそれぞれのアプリを擁護し、議論しました。このような流れで、最終的な評価を決めています。

それでは、以下、評価対象となった各アプリの紹介と、それぞれへのコメント(一部抜粋)をご覧ください。
※なお、上記の「整理」でふれたアプリがすべて登場する訳ではありません。ご留意ください。
 

■無料マンガ連載アプリ

総評:
CMも行い数百万ダウンロードされている「マンガボックス」「comico」が票を集めた。アプリの操作性のよさで「マンガボックス」が頭ひとつ抜け出したが、縦スクロールマンガやコメント評価機能などの独自機能が新しいマンガづくりの可能性を生むとして「comico」も要注目である。

(分類内1位)
マンガボックス
 有名タイトルは「穴殺人」など

 >>主要コメント
 「スマートフォンアプリのUIがいい。さくさく動き、読みやすい」
 「インディーズとメジャー作品との組み合わせも良い。カラー作品の質が高い」

(分類内2位)
comico
 マンガHONZメンバーの1人が激推しのアプリ。有名タイトルは「ReLIFE」など

 >>主要コメント
 「縦スクロールのマンガがあり、スマートフォンならではの新たなマンガ、読み方に挑戦していておもしろく読みやすい」
 「作家とファンがコミュニケーションできる」
 「読者の声(コメント)が、人気ランキング順になるようになっており、読者の声が作者まで届きやすい。それにより次の作品が変わる(可能性がある)などのダイナミックなおもしろさがある」

(分類内3位)
GANMA!

 >>主要コメント
 「紙の雑誌においてハガキ等で行われていた読者によるマンガのイラスト投稿ができ、イラストでのコミュニケーションができる」


■電子書籍系アプリ

総評:
この分類自体が、紙のマンガを代替するなら…という視点で選ばれていたといえる。多くの票を集めたのは「Kindle」だが、評価の理由がKindleならではのものではなく、電子書籍全体に言えるものだった点がおもしろい。マンガHONZの多くはアプリの使い比べの専門家ではないため、この分類でなんとなく選ばれるのがKindleだということだろう。

一方で、「アプリを吟味して使い比べてみた」数名はKindleを選ばず、それぞれ「eBookJapan」「BookLive!」を選んでいた。評価の理由を聞くと、それぞれの点でKindleよりも確かに優れていると思われる。(しかし、それを知る人は多くないのだろう)

(分類内1位)
Kindle

 >>主要コメント
 「スタンダードだと思う」
 「サービス終わらなさそう」(ただし、別の人からの反論もあり)
 「旅行のときに紙をもち歩きたくない」

(分類内2位)
eBookJapan

 >>主要コメント
 「背表紙が見られる。並べられる」
 「実は、マンガのラインナップが一番多い」
 「電子書籍の老舗」

(分類内3位)
BookLive!

 >>主要コメント
 「日本のサービスだけあって、日本人の利用をよく考えられている。例えば、Kindleなどではワンピースを買うと第2巻、第3巻など巻ごとにおすすめされるが、BookLive!は、NARUTO、キングダム、…と作品タイトルごとにおすすめされる。細かいけれど大きな違い」
 「同様の理由だと思うけれど、マンガの全巻買いや、全巻管理がしやすく、探しやすい」


■ハイブリッドアプリ

総評:
総評もなにも、この分類内に具体例が1つしかないので、割愛。主要コメントを参照。

(分類内1位)
LINEマンガ

 >>主要コメント
 「アプリの操作性がよく、読みやすい。過去の名作が連載中」
 「韓国作家のオリジナルマンガが掲載されている」
 「マンガを買うとスタンプがついてくるのが、嬉しい」


■マンガ雑誌系アプリ

総評:
上述の「無料マンガ連載アプリ」とある意味同様の「マンガ連載アプリ」なので、操作性などUXの面で劣る点が票をおとした。紙用に作られたマンガを見られるアプリと、スマートフォン用に作られたマンガを見られるアプリの違い、といえる。一方で、掲載されているマンガのタイトルはさすがに魅力的なものが多く、その作品を定期的にお手頃価格で読めるという点は評価されていた。UXの改善に対する期待値の大きさがうかがえた印象。

(分類内1位)
少年ジャンプ+

 >>主要コメント
 「試みは全体的にいいけど、操作感が良くない。もっと本気出せたのに!!!!!」
 「少年ジャンプには、未来を作って欲しかった」

(分類内2位)
Dモーニング

 >>主要コメント
 「UIがスマホらしくない」
 「一部の作家さんが(紙と比べて)いないが、基本的に掲載タイトルが秀逸。総じて、月額のお手頃感がある」


■ソーシャルゲーム風マンガアプリ

総評:
各タイトルがそれぞれアプリになっているため、評価が難しい。また、ハートコミックスはリリースされたばかりのベータ版であり、こちらも評価が困難。従って、分類全体として評価対象外にした。
 

おわりに

上記の整理および評価は、あくまで2014年10月末時点のものである点に留意してください。おそらくこれから各アプリともにどんどん改善されていくでしょうし、サービスが淘汰されていく可能性も、また逆に、影響しあって共に市場を拡大させていく可能性も、おおいにあります。

私たちはいち利用者としてそれを楽しみにしていますし、また半年か1年か、ある程度の期間が経った時点で改めて評価の議論をしてみるかもしれません。

記事が長くなってしまいましたが、上記を参考にしていただき、1人でもマンガ好きが増えると嬉しく思います。

 

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