「これ面白いよ」とオススメしたら全員ハマった! 超濃厚ダークファンタジー『イムリ』

苅田 明史2014年11月11日 印刷向け表示
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最近、友人から「おすすめのマンガって何?」と聞かれたら、ほぼ間違いなく三宅乱丈さんの『イムリ』を紹介しています。
なぜなら、オススメした全員が「これ、ホンマに面白かったわ」と大絶賛してくれるから。
私自身、1年ほど前に友人にこの作品を薦められて手に取ったところ、完全にハマってしまいました。

イムリ 16 (ビームコミックス)
作者:三宅 乱丈
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
発売日:2014-10-25
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub

ファンタジー作品ってどれだけどっぷりとその世界観にのめりこんでしまえるかがポイントだと思うのですが、『イムリ』はその世界から抜け出せないくらい超濃厚
たとえるなら、私が愛してやまない天下一品の「こってり」ラーメンくらい濃厚で、その中毒性も「こってり」並み!(この表現が正しいかどうかは作品の魅力とは関係ありません)

 『アバター』のような葛藤・・・主人公はどちら側につくのか!?

ネタバレにならないよう、友人に薦める時に私が例に出すのが映画『アバター』です。

アバターでは、地球のエネルギー問題を解決する希少鉱物を採掘すべく「パンドラ」という惑星に人類が降り立つところから物語がはじまります。
人間である主人公は、この星に住む青い獣人、ナヴィ族にそっくりの「アバター」という人造生命体に自分の神経をリンクさせ、ナヴィ族とのコンタクトを試みます。
しかし交渉は不調に終わり、しびれを切らした人類は軍隊を引き連れ、ついにパンドラに攻め入ってくることに。
ナヴィの生き方に憧れ、ナヴィの娘と愛し合うようになっていた主人公は、人間という立場でありながら、身勝手な人類の傍若無人ぶりに辟易し、ナヴィ族の戦士として人間と敵対するようになるのです。

『イムリ』もまた、原住民vs侵略者という構図のなかで、主人公は一体誰と戦うべきなのか苦悩し、ついには凄惨な戦いに巻き込まれていきます。

斬新な設定やドロドロ感満載の世界観にシビれる!!

この作品の魅力は、その斬新な世界観にあります。
特に、登場する「カーマ」「イコル」「イムリ」という3つの民族の対立構造が面白い!

『イムリ』の主人公・デュルクは、マージを支配する「カーマ」という民族のもとで育てられました。「カーマ」は他者の精神を侵犯する特殊能力を持っていて、力が弱い人間には自分の言うことに従わせる能力を持っています。この能力は、その人の階級によって与えられるもので、「カーマ」のなかにも激しい格差が存在します。

「イコル」という民族は、「カーマ」の身の回りの世話をさせられている、被支配層です。もともとは普通の人間として生まれるのですが、一定の年齢になると「カーマ」の力によって奴隷化させられてしまいます。

そして3つ目の民族がこのマンガのタイトルにもなっている「イムリ」。彼らはルーンの原住民で、村単位で暮らし、狩猟採集を糧とした素朴な生活を送っている平民層。古くからのしきたりを重視する彼らは、石や金などの物質からエネルギーを引き出す(作中では「でろでろ」といいます)ことで、火を起こしたり物を切ったりすることができます。

また「イムリ」には「イムリの道具」と呼ばれる古代兵器があること、「イムリ」は必ず双子で生まれ、お互いの夢を見ること、などの特徴があります。

デュルクはマージという星に暮らす呪師候補生。エリートとして育てられた彼は、学校を代表して隣の惑星・ルーンに旅立ちます。その目的は「イムリの道具」について調査することだったのですが、そこで起こった軍事クーデターに巻き込まれたデュルクは、カーマ兵から追われる立場に。そこで出会った旅のイムリから、デュルクは自分自身と「夢見のイムリ」との共通点を見い出し、次第に自分の出自や闇に包まれた「カーマ」の暗部を知ることになるのです。

現在『イムリ』は16巻まで発売されているのですが、基本的には「カーマ」が悪者として描かれています。しかしながらこの先、「カーマ」に対抗できる武器を手にし始めた「イムリ」や、奴隷化の秘密を知った「イコル」たちが反乱を起こして暴走してしまうのでは・・・という懸念もあります。
迫害されていた「イムリ」や「イコル」は「カーマ」を赦すことができるのか、主人公は平和的な解決策を見いだせるのか、まったく目が離せません!

最新巻までイッキ読み間違いなし

三宅乱丈さんの独特の筆使いがますます雰囲気を盛り上げてくれるでしょう。
「こういう絵はあまり好きじゃない」という人もいるかもしれませんが、それこそ食わず嫌いというもの。
むしろ重厚なストーリーを読みやすくし、優しい主人公や純朴なイムリたちを魅力的に見せてくれています。

巻末には必ず「続き」を盛り上げるようなフレーズが入っています。例えば最新16巻の締めくくりには

戦乱。圧倒的悲痛。憎悪と意思。SF黙示録巨編は、衝撃の第17巻へ。

こうやって煽りつつも、次の巻では必ずその期待を超えてくる作品、それが『イムリ』なのです。
ぜひ手に取ってみてください。電子版もありますよ!

イムリ 1巻 (BEAM COMIX)
作者:三宅 乱丈
出版社:エンターブレイン
発売日:2007-07-25
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub

記事へのコメント コメントする »

会員登録いただくと、記事へのコメントを投稿できます。
Twitter、Facebookにも同時に投稿できます。

※ 2014年3月26日以前にHONZ会員へご登録いただいた方も、パスワード登録などがお済みでない方は会員登録(再登録)をお願いします。

コメントの投稿

コメントの書き込みは、会員登録ログインをされてからご利用ください。

» ユーザー名を途中で変更された方へ
 変更後のユーザー名を反映させたい場合は、再度、ログインをお願いします。

ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
発売日:2014-10-24
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

電子版も発売!『ノンフィクションはこれを読め! 2014』

HONZ会員登録はこちら

人気記事