編集者の仕事は、その人の光を見つけて作家さんを導く人、パートナーだと思います。- comico 北室美由紀編集TL

菊池 健2014年12月29日 印刷向け表示
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タイトル
出版社:NHN PlayArt
サービス開始:2013年10月13日

前編:2~3年でサービスを辞めてしまうようなことは、絶対にないです!

中編:comicoで連載中の作品は、どんな話を掲載するかは作家側に決定権があります。

- <編集長の部屋TOP>

「編集長の部屋」コーナー6人目は、comico編集部、北室美由紀さんです。2013年10月にサービスを開始し、現在はアプリのダウンロード数も650万を突破。連載作品も100タイトルを超えています。comicoには編集長と言う役職はないですが、編集チームのチームリーダーである北室さんにお答えいただいてます。

<comico 北室美由紀編集チームリーダー(後編)>

縦スクロールでどんな表現が出来るか、自分で考えてチャレンジしてくれるような人に来て欲しい  

―― 編集部の方はどういう構成ですか。まず、マンガ業界の方はいますか。

人数は少人数です。今年の夏くらいからはマンガ業界から経験者の編集者さんも若干名入りました。

 

―― 現在の公式作家の傾向なのですが、どういった方が描いているのですか。

マンガ家志望者、プロマンガ家、イラストレーター、アニメーターの方等がいます。

 

―― どんな作家さんに、comicoへ来てほしいですか。

やる気のある方、情熱のある方に来て欲しいですね。縦スクロールでどんな表現が出来るか、自分で考えて新しいチャレンジをしてくれるような人が良いと思います。

 

―― なるほど、私もcomicoで1つ好きな新しい表現がありまして、『咲くは江戸にもその素質』の中で、主人公3人娘などの吹き出しが、それぞれのシンボルカラーになっている着物の色と同じ色で色付けされていますよね。判りやすいですし、カラーならではだなと思いました。あのような新しい表現は、誰かが考えて、それを他の作家さんが使ったりするのですか?

そうですね。他の作家さんの表現を参考にしたり、アレンジして発展させたり、またそれをさらに別のものへと応用したりと、互いが互いに良いものを取り入れ、高めあっている様子が見受けられます。

 

―― comicoを志望している人中でも、壁にぶつかっている人はいると思います。そういう方にお伝えしたいことはありますか。

comicoの作家さんは、(出版社で)担当付きだった人が多いです。でもボツが怖くて、諦めて同人活動などをしていた人がcomico公式作家になっているケースがあります。そういった方々が、よくおっしゃっているのが「ずっと描き続けていれば良かった」ということです。そういった意味で描き続けることが大切だと思いますね。

 

―― 先ほど、ライバルの話をしましたが、電子コミックアプリやWebコミック以外に、ライバルとしているものはありますか?

他のエンタテイメントサービスとの可処分時間の取り合いのなかで、いかにマンガを選択していただけるかが、この先サービスを発展させていく上で重要かなと思いますね。

これは体感レベルの話になりますが、以前に比べ最近では電車の中でスマホでマンガを読んでいる人を随分見かけるようになったと思います。comicoに限らずスマホでマンガを読むという新たな習慣が増えてくるのは市場全体で見てもよい傾向だと思いますね。

 

―― 電車の中なんかで、人がスマホで何を見ているか、気になりますか。

とても気になりますね(笑)たまたま、comicoを読んでいる人を見つけたら、嬉しくて声をかけてしまったこともあります。「いつもありがとうございます。」と声をかけたら、驚かれましたが(笑)

 

影響を受けた作家は、comico立ち上げ時に作品を提供してくれた作家の皆さんです。  

―― 北室さんご自身のことを教えてください。

この仕事をする前は、社内でプログラマーやデザイナーの外注管理の業務を担当していました。この会社に入社する前は、ホテルマンでした。

 

―― 今の仕事をしていて、影響を受けている作家さんはいますか。

強いて誰かをあげるとするとcomicoの立ち上げ時に作品を提供してくださった第1期作家の皆さんですかね。中でも、夜宵草さん(『ReLIFE』)、チョモランマ服部さん(『今週のかなでさん』)と、サクラギンガさん(『みかどとまつり』)と、じゅんたさん(『ぽーかーふぇいす』)の4名の方は特にそうですね。この方々が、一番最初に契約をした方々になりますし。みっちりお酒を飲みながら、作家の話を聞いたのがこの4人だったので、この人たちを幸せに出来るように頑張ろうと思いました!

 

―― その4人の方々とはどんな話をされたのですか?

言えない事も多いのですが、印象に残っている話としてはあまり早く(媒体を)辞めないでくださいねといわれました(笑)

あと、作家の方々とは別に多くのプロの編集者さんにもお会いしました。情報交換を通じて勉強になることが多かったですね。

 

―― 編集者の仕事はどういう仕事だと思いますか。

作家さんとともに同じ歩幅で歩いていく人、パートナーだと思います。「その人の光を見つけてあげられるサポート」が、私たちの仕事だと思います。具体的には担当する作家さんが「この人はどういうところで輝けるのか」を見つけてあげられるサポートができればと思います。パートナーという立ち位置を守りながらそんなお手伝いができれば幸せですね。

 

―― 本当に、ネット企業として立ち上げをされている感じですね。

出版社さんの長い歴史と同じ土俵では勝負しにくいですしね。私たちcomicoはまだ1歳ですし。

 

――これまで、実は多くの企業がデジタルコミックに挑戦して、失敗して撤退するなどしている中で、comicoはしっかりとアプリ650万ダウンロード超という実績を作ったり、最初の単行本を20万部以上刷るとか、連載作家を100人以上生み、そこにしっかり原稿料を支払っているなど、凄いことだと思っています。

私の分析だと、既存のマンガ業界と同じところでは戦わず、ネットやゲームと言った得意分野の力を活かした形態で、comicoは進んでいるのだなと思いました。

確かにcomicoはダウンロード数においてかなりの件数、ユーザー規模に成長していますが、私たちが優秀な編集者かと言うとそうではないと思います。ですが、掲載している作家さんは優秀で、私たちは良きパートナーだとは思っています。

 

北室さんおすすめのマンガ  

―― 北室さんおすすめの作品を教えてください。

個人的な考えなのですが『しみことトモヱ』がおすすめです!書籍にもなっていますよ。

http://www.comico.jp/articleList.nhn?titleNo=24

アラフォーの女性が、ワンルームで仲の悪い猫を2匹飼っているというお話です。飼い主も良い感じに怠け者で、等身大で、とにかく絵がかわいいんですよ。comicoらしい作品で、なんにも考えないでサクサク読める作品です(笑)

 

―― 作家のsimicoさんの特徴は。

イラストレーターで猫の雑誌などにも絵を出されています。美人で少し抜けていて!?、人間としてもとても魅力的な方で、それが作品ににじみ出ています。絵も、猫好きが見て納得のいく可愛い絵です。

あとcomicoらしいということでいうと、縦スクロールを上手く使って作品をつくっている作家さんを2人紹介させてください。

『失格人間ハイジ』の野中かをるさんは、まさにcomicoの「縦スクロール作家」です。作品も大人に人気で、「次に来るマンガ大賞」にもノミネートされているんですよ。

http://www.comico.jp/articleList.nhn?titleNo=23

次に来るマンガ大賞:『次にくるマンガ大賞』「本にして欲しいWEB漫画部門」5位!

 

あとは、縦スクロールで言うと、『奇キ怪カイ』(キキカイカイ)という漫画もお勧めです。

http://www.comico.jp/articleList.nhn?titleNo=52

そのほかにも縦スクロールを上手く使った作品がたくさんありますので、是非探していただきたいです!

 

―― ありがとうございました!

<後編ここまで>

 

追記- レポート:輝け!comicoマンガ大賞!  

賞金総額2,000万円という破格の規模で実施された「輝け!comicoマンガ大賞!」。筆者も、12月6日に行われた授賞式を見学してきました。

輝け!comicoマンガ大賞!結果発表!

http://www.comico.jp/event/contest/2014/0905/lp.nhn

 

プレゼンテイタ―として、審査員も兼ねて漫画家の三田紀房先生、とザワちんとスギちゃんが出演していました。
ニュースになるとこんな感じです↓

スギちゃん、ざわちん仕様でギャグにも“マスク”新ネタ「もう出ません」 | ORICON STYLE

 

所謂、普通の出版社の授賞式にも参加したことがありますが、大きく違います。恐らく取材している媒体もかなり違うのではないかなと思います。およそ、コンテンツ系の記者会見や発表会など、行くと必ず2-3人は知っている記者さんが出ているのですが、今回は一人も会いませんでした。マンガ業界に慣れていると、やっぱりちょっと違うなと思う演出や座組みが多かったです。

 

また、授賞式そのものもニコ生配信されています。

【comico】 輝け!comicoマンガ大賞! 授賞式

ネットの世界では当たり前のことですが、マンガ賞の授賞式と言う事で言うと、やはりNHN PlayArt社が行うものらしいかなと思いました。

 

実際、受賞作品のレベルも高く感じました。中でも2点ほど、思ったことが。

【賞の中に中高生賞というカテゴリーを設ける】

例えば、少女漫画などの場合、小学生の受賞者や十代の連載もそう珍しくはありませんが、年齢誌の場合、雑誌そのものに作者も紐づくため、例えば青年誌に十代の若い人が応募することはありはすれ、レアです。この辺りは、読者としても作り手としても、comicoがこの年齢層を強く意識していることが判ります。

 【三田紀房先生の目】

大賞として1,000万円をゲットしたのは、ヌカヅケさんの『あにパス』でした。これは、画力やキャラづくりなど、納得の高レベル作品であったと思います。そうか、comicoにはこういう作品が投稿されて、評価されるのかと、今後の一つの基準になるかと考えました。

一方で筆者が注目したのは、三田紀房賞を受賞した榛原さんの『メールブルー』と、中高生部門大賞の、ねこがえるさんの『少女とドラゴンのお話』の2本です。

この2本、明らかにcomicoの縦スクロール&カラーフォーマットでないと出来ない表現がなされています。特に、『メールブルー』においては、三田紀房先生ご自身が、受賞者へのコメントで作品を絶賛しつつ「comicoでないと出来ない表現に強く感心した。」と話していました。ここは私も強く同意しました。ベテラン漫画家である三田先生ならではの、新しい表現に対する評価であったと思いました。

先述の通り、comicoには、チャレンジ作品(投稿)→公式(連載)作品という流れがあります。あの、弘兼憲史先生ですら、comico掲載にあたってはそのプロセスを経る必要があるという徹底ぶりです。受賞作品ですらここまでの表現の進化が見られるとなると、スマホをプラットフォームとしたcomicoの表現形式は、着々と新しい表現形式と、マンガ産業のモデルを構築しているように感じました。

comicoホームページ

「編集長の部屋」過去の記事など目次

インタビュー・ライティング:トキワ荘プロジェクト 菊池、番野

 

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