世の中の男性は「不器用さ」という武器を持とう 『関根くんの恋 5巻(最終巻)』 【募集レビュー発表】

ゲストレビュアー2015年01月03日 印刷向け表示
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こんにちは。広告プランナーをしている筧将英といいます。
仕事柄(?)、年間に数多くのマンガを読んでいますが、数ある恋愛漫画の中でここまで完璧なのに、これほど不器用で女々しい男性主人公がいたのでしょうか。

「そこはもっとおしていかないと!」「いやいや、なんでそこで落ち込むの!」と読みながら突っ込みたくなるシーンが満載です。

しかし、この漫画、男性から見た場合と、女性から見た場合で、視点が異なってきます。そこが、この漫画が単なる恋愛漫画ではない、おもしろい部分です。この作品がついに最新刊5巻で完結したので、レビューを書いてみました。

関根くんの恋(5) (Fx COMICS)
作者:河内 遙
出版社:太田出版
発売日:2014-09-10
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あらすじと、このとんでもなく不器用な男について

世にも稀なる完璧な男、関根圭一朗が主人公。高身長、細身、短髪、スタイリッシュなメガネ(イケメンじゃないと似合わないアレ)、かつ仕事もできるからどこへ行ってもモテます。しかし、幼少期から受け身で自主性なく育ったせいか、自分の意志というものを持ったことがなく、その結果「好きになった人に対してどのようにふるまったらよいかわからない」という欠点を持っています。

このダメさ加減が、例えるのであれば、大人なのに「小学校5,6年生のときに好きな人にいじわるをしてしまう」ぐらいに不器用。もちろん、その不器用さも、彼を好きになってしまった人からは魅力的に見えているのですが(ほんとモテるっていいなぁ)。

彼が人生ではじめて好きになるのが、たまたま出会った手芸屋の孫娘、如月皿(サラ)。この女性がいたって普通な女の子なのですが、非常にまっすぐな女の子で、関根くんとの関係の中で、関根くんがサラをどんどん好きになっていきます。

ですが、関根くんはとんでもなく不器用なので、全5巻の中の95%ぐらいは、「関根くんが自分の気持ちを伝えられない」、だから「サラが関根くんを信用しきれない」というシーン。この作品にはそれしかありません。でもなぜこれほどおもしろいのか、男性目線と女性目線で考えてみました。

男性目線:男性の女々しさは、一種のセクシーさ、可愛らしさにつながる

本当に不器用で女々しい関根くんは、サラのひとことに一喜一憂します。でもあまり顔には出ません。出せません。だからサラには関根くんの気持ちがよくわからない(これがけっこう致命的にダメなんですが)。でもたまーーーーーに、関根くんがうれしさ、かなしさを顔に出すときがあり、それを見てしまったサラは、心の中で

「なんでそんなー顔するんですかーーー!!やめてください!(かわいすぎるでしょ)」

と惹かれてしまいます。ここが「男性が弱い部分、女々しい部分を出す」、というのが時として「セクシーさ、可愛らしさにつながる」と思ったシーンで、5巻の中に何度もこのシーンが登場します。これは、世の中の男性のほとんどができないことで、「男性はやっぱり頼りたくなる人がいい」、とは全く反対の考え方。

恋愛において、実はこの女々しさを出すことがすごく重要なんじゃないか、と思いました。とはいっても、関根くんは、基本的にはとてもしっかりしていて、頼りがいがあるので、要はそのような女々しさは“出すこと“と”出し方“の両方があって成立するということですね。

女性目線:応援したくなる男性ってこんな人だよね

続いて、女性目線。この漫画の最後の最後のシーンで、サラがこのようにいいます。

「次に見つけた、関根さんの恋は、きっと全力で協力しようって、なんでか思ってたんです。
たぶん好きだと気づく前から、どんな形でも関根さんには幸せになってほしかった。」

あーもうこんなこと女性から言われちゃったら落ちます。絶対惚れます。

ですが、論点はそこではなくて、「応援したい」というのは母性に近いものだと思いますが、”母性と恋心の間”くらいにサラのこの感情はあるんだろうな、”友達と恋人の間”というのがここにあるんだろうな、と思いました。そこで、友人の女性に「なぜサラはこのような気持ちを持つのか?」と聞いてみました。そうしたら返事として,

「応援したくなるのは、器用と不器用のギャップかもね。基本は器用であることが前提で、その人の本質に近いところで不器用さが見えるといいかも」。

とのこと。うん、そうだね、でもそんなこと誰も狙ってできないよね。

自分の不器用さを大事にしたいと思える作品

恋愛において大事なのは「素直になること」というのはよく言われていることですが、正直何をどのようにすればよいのかわかりにくい。それを「自分の不器用なところを相手に知ってもらおう」「相手の不器用なところを知ってみよう」という気持ちで歩みよること、と言い換えると、わかりやすいかもしれません。そのようなことを感じた作品でした。

最後に、このレビューを読んで、「関根くんの恋」を読もうと思った人に対するアドバイスですが、1巻ずつバラバラに読むのはやめましょう。読むのであれば5巻を一気に読むのをおすすめします。そうしないと、関根くんに対して非常に“もどかしい”気持ちになってしまいます。

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レビュアー:筧将英(広告代理店プランナー)

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