【僕だったら立ち直れない】寝取られ系童貞男子・ポン太と千紗の純愛物語を描く『ちさ×ポン』

小禄 卓也2015年02月17日 印刷向け表示
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この世界に男として生まれた人たちに、平等に与えられる条件。それは、「童貞」です。

キムタクも、ブラットピットですらそうだったように、生まれながらに僕たちは童貞でした。

「18歳から34歳までの女性の39%が処女で、男性の36%が童貞だ(※国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査」参照」と騒がれていますが、それでもなお、赤ちゃんから子どもへ、子どもから大人に成長する中で、いつしか性に目覚め、本当の春を知り、多くの男性が童貞を卒業していくことでしょう。

ちさ×ポン 1 (ヤングジャンプコミックス)
作者:中野 純子
出版社:集英社
発売日:2002-05-17
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かくいう僕も卒業生の一人なのですが、『ちさ×ポン』(全8巻)を読み返すたびに、自分の童貞時代を思い出すのです。

『ちさ×ポン』は、男子高に通う高校1年生のポン太(童貞)が、友人のタロとジロに誘われて1泊2日の女子高生との合コン旅行で出会った千砂(処女)と恋に落ち、さまざまな壁にぶつかりながらも愛を育んでいく、“若者の性”をテーマにした純情青春マンガ。

千砂ちゃんの心の傷を全力で癒やすポン太に、男としての敗北を感じた

ポン太と千砂ちゃんの恋愛は、どこか、僕の童貞時代のはじめての恋愛に似ています。

セックスに憧れていた当時高校1年生の僕は、はじめて付き合った彼女に「怖いから」ということで、「セックスはNG、手前までならOK」という条件下で彼女との愛を育んでいました。そして、さんざん焦らされた挙句、「…いいよ。」という突然のGoサインに僕の息子が怖気づいてしまい、みすみす童貞を卒業する時期を3年ほど遅らせることになってしまうという、甘くほろ苦い思い出があります(その当時の彼女にはフラれましたが、その事件が原因ではないと信じたい)。そのため、千砂ちゃんにおあずけされているポン太には、深く共感するのでした。

そんなラブラブカップルのポン太と千砂ちゃんに、突然大きな事件が起きます。ポン太に捧げるはずだった千砂ちゃんの初体験が、ポン太の高校の後輩で、スケコマシのイケメン滝川に奪われてしまうのです。今で言う、NTR(寝取られ)です。

はじめて付き合った彼女と、一緒に初体験をすると信じて疑わなかったのに、あっけなく他の男に奪われてしまう。僕が17やそこらの年齢だったら、彼女のつらい体験を支えきれず別れる選択をしてしまいそうだなぁと、冷静に考えてしまいます。きっと自分一人で支えようと努力するものの、抱えきれずに心が折れてしまいそうです。

だけど、ポン太は違いました。僕は、童貞にはそもそも恋愛経験が少ないため、恋の問題に対する耐久性が著しく低い生物だと思っていましたが、ポン太は違ったのです。誰よりもやさしく、忍耐強く、見事に千砂ちゃんを支え抜きます。特に、3巻から4巻に掛けて繰り広げられる、仲直りのきっかけとなった京都旅行の回は心を動かされます。三十路を前に、2人の純愛ストーリーに涙してしまいました。

『ちさ×ポン』第4巻、21ページより

ヤングジャンプで連載されていた『ちさ×ポン』。しかし、作者の中野純子さんが少女マンガ出身ということもあり、作品の世界観や情景描写は、非常に少女マンガのそれに近いものを感じさせます。しかしながら、千砂ちゃんの登場シーンの4分の1くらいが裸なんじゃないかと思うくらい、性描写にページを割いているのも特徴的です。個人的には、セックステクニックを学べるのが『ふたりエッチ』ならば、男女の性に対する考え方を学べるバイブルになりえるのではないかとさえ思っています。童貞だったころの僕に見せたいです。

惜しむらくは、中野純子さんが45歳という若さで他界してしまっているということ。『ちさ×ポン』の次に描かれた『ヘタコイ』も好きだったので、もう新しい作品が読めないのはとても悲しいです。

ヘタコイ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
作者:中野純子
出版社:集英社
発売日:2007-10-19
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時間というのは無常にも過ぎていきますが、作品の登場人物は、いつまでもその時代を生きています。久しぶりに読むと、ふと童貞だったころの自分を思い出させてくれる『ちさ×ポン』。「あのころは青かったなぁ」と懐かしむ気持ちと、ポン太の持つ、真っ直ぐでピュアな恋心を少しだけ羨ましく感じる僕がいます。

みなさんも『ちさ×ポン』を読んで、たまにははじめての彼氏・彼女との恋愛に、想いを馳せてみてはいかがでしょうか?

Say,good-bye (アクションコミックス)
作者:中野純子
出版社:双葉社
発売日:2013-05-10
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