キャスバルで火照った体を鎮める読切集『機動戦士ガンダム THE ORIGIN (24) 特別編 』

菊池 健2015年03月02日 印刷向け表示
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たまらないものが、始まってしまいました。

 「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅰ 青い瞳のキャスバル」の劇場イベント上映が2/28(土)から始まりました。

初日にDL配信で見ました。いや面白い。なんていうか、気持ち良い。まだ作品のカタルシスにこれからハマり込むところですが、まずはスムーズに物語に没入できました。

圧巻は上の冒頭8分無料公開動画にもある、ガンダムシリーズの全てにおける、表向きの初戦「ルウム戦役」のシーンですね。たった一機のモビルスーツで5隻のマゼラン級戦艦を撃沈。「シャアの五艘飛び」と言われ、後に「赤い彗星」と異名を拝命することになる、当時まだ中尉だったシャアの歴史的戦場デビューの瞬間です。(良く見ると、ついでにサラミス級巡洋艦も何隻か落としてますね。)

 その動きは、ガンダムファンならずとも、カッコ良いと思わざるを得ない出来です。映画本編では史上初のモビルスーツ同士の交戦「雨の海海戦」の、彗星、巨星、三連星がそろい踏みになる、超豪華戦闘シーンも恐らく出るものと期待しています。

以前のレビューにも書かせていただきましたが、

ガンダムをこれから読むなら『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』から入るべき3つの理由

「一方の原書」とも言える『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』は、ガンダムシリーズにおけるシャアによる復讐の輪舞の「序曲」とも言える存在です。2015年になって、改めて綺麗な画像で動いている所を見ることは、大変幸せなことだと思います。

初日舞台あいさつでは、安彦総監督から、「一年戦争もやりたい。」との声が上がったとのこと。ホントにやったら宇宙戦艦ヤマト同様、ファーストの現代版リメイクとなるわけですが、見たいような見たくないような。

ガンダムシリーズの「デザート」とも言える短編集ORIGIN24巻

機動戦士ガンダム THE ORIGIN (24) 特別編 (角川コミックス・エース 80-39)
作者:安彦 良和
出版社:KADOKAWA/角川書店
発売日:2015-02-25
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今回の上映に先駆け、2/25にORIGIN24巻(特別編)が発売されました。本編全23巻の前日譚、後日譚4本で、以下の読切作品を収録しています。

・その前夜
・キャスバル0057
・アルテイシア0083
・アムロ0082  

本作の味は、この表紙に滲み出ています。

シャアは相変わらずシリアスでカッコよくて、番外編でもその通り、ただ、あんまり出番がないです(笑)セイラさんは相変わらず美人ですが、なんの格好でしょうか?浴衣姿のアムロとフラウも良いですね。

 そしてなぜか「授乳中」のミライさん。表紙で授乳するくらいですからね、本編でも色んな意味で授乳しています(笑)変わらないブライトさんと、何か定まらない感じのカイ、Zガンダムの少し前のハヤトと3人の子供たち。

いやぁ、なんか良いじゃないですか。

  

いつもなにか張り詰めてしまうシャアと、その後のホワイトベースクルーのそれぞれ

「その前夜」は、アニメ機動戦士ガンダム第1話の「前夜」です。全ての始まりであったシャアのサイド7偵察行動の前に、そこで死ぬ人、以降重要キャラクターになる人たちの行動が、ムサイのモビルスーツデッキからサイド7の日常シーンまで、クスりと楽しめる話になっています。


「キャスバル0057」は、更に遡ってシャア生誕の瞬間を描いたものです。若かりし頃に、まだ同志であったダイクンとデギンの関係から、どこまでもドラマチックなキャスバル=シャア誕生の瞬間が描かれます。安彦先生も団塊世代なんだなぁと思わせる設定として見ると面白いです。


「アルテイシア0083」は、後にフリージャーナリストとなるカイ=シデンと、戦災孤児を助ける財団活動をするセイラ/アルテイシアの後日譚です。
『機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー カイ・シデンのレポートより』という作品では、本格的にジャーナリストとして活動していたカイから見ると、前日譚にもなります。

個人的に、安彦先生のブライト感がなんとも言えないんですが(笑)いずれにせよミライさんの女性性と母性の両方を、色んな角度から楽しめる作品でもあります。セイラさんはいつも超然としてて良いです。常にカイを軟弱者扱いし、それに応えてカイは大人になって行きます。多分セイラさんは天然です。


「アムロ0082」は、その後のハヤトとフラウやカツ、レツ、キッカのトリオと、アムロが日本の鳥取で再会するというお話です。表紙にもある通り、浴衣姿のアムロやフラウの様子が平和な感じで良いのですが、個人的には鳥取砂丘をアムロが歩くシーンがたまりませんでした。

あとは、なにせミライさんの授乳シーンですね。色んな意味で授乳してるので、これはもう本編をお楽しみください。ホワイトベースクルーの女性、ミライ、セイラ、フラウの3人は、色んな役割をそれぞれ与えられてると思いますが、安彦先生は、やっぱりミライさんが好きというか、ご自身の好みを投影されているのでしょうねぇ。


「キャスバル0057」をのぞけば、ファーストガンダムだけの知識でも充分楽しめますが、本作はORIGIN本編のデザートのような存在だと思います。青い瞳のキャスバルの映像を見て、火照った体に戻されてしまったガンダム好き諸氏は、ORIGIN全23巻を復習再読して本作をデザートにしても良し、そこまで時間が取れないのなら、本作で軽く鎮めても良しです。

この週末、風邪をひいてしまったんですが、映画とこの本のおかげで幸せに過ごせました。安彦先生、ありがとうございます。

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カイシデンレポートは、うめ(小沢高広)さんがレビューしてます。入り方が最高です。

これは宇宙世紀の歴史マンガです。
『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』

機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー -カイ・シデンのメモリーより-(1)
作者:ことぶき つかさ
出版社:KADOKAWA / 角川書店
発売日:2014-01-10
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ORIGINのBDは売れるんでしょうね~。ヤマト2199と同じ流れですけど、買う人の層は大分違うのだろうなと思います。私も、人生初のBDボックスコンプリートをしてしまいそうです。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN I [Blu-ray]
監督:安彦良和
出版社:バンダイビジュアル
発売日:2015-04-24
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