初心者は行く前に読め!紳士のための「風俗の教科書」ここに爆誕(日本全国色街マップ付き)『匿名の彼女たち』

小禄 卓也2015年04月22日 印刷向け表示
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時々、ものすごく風俗に行きたくなる時がある。

オフィスが道玄坂にあるからかもしれないし、風俗経験がほとんどなく、「もしかしたらすごくロマンティックなことや、ドラマティックな何かが起きるかも……」そんな肥大化しすぎた妄想を持て余しているからかもしれない。それはもう、男だから仕方がないことだと思っている。

風俗には、30年生きてきた中で2〜3回だけ行ったことがある。はじめて行ったのがブラジルで次が熱海という、旅行先でテンションが上がっちゃった口だ。お相手は小麦色したラテン美女と、ミニラみたいな可愛らしいぽっちゃりしたお嬢さん。うっすらと感じているが僕が経験したのは、一般的なサラリーマンが行くような風俗店ではないかもしれない。だからこそ、普通のかわいい女の子が働くような風俗店に対するよく分からない憧れを抱いているのだ。

なぜ働いているの?楽しい?これからのことはどう考えているの?そんなことばかりが気になるから、実際に働いている人に聞いてみたい。普段出会わないような人に興味が湧く性格もあって、きっとそんな会話を繰り広げてしまうのだろう。そう思っていた。そう、このマンガに出会うまではーー。

匿名の彼女たち(1) (ヤンマガKCスペシャル)
作者:五十嵐 健三
出版社:講談社
発売日:2013-07-05
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毎回様々な地域の風俗街が登場する本作。出てくる女性や女性の性格にその土地柄が色濃く反映されており、全国の色街を疑似体験しているかのような感覚に陥る ※『匿名の彼女たち』第1巻より引用

今回紹介するマンガ『匿名の彼女たち』は、中堅商社で働く営業マン(32歳※第1巻時点)が、出張で訪れる全国津々浦々の色街に赴き、様々な風俗での経験を綴る1話完結型のマンガだ。そして、これは単なるマンガではない。

僕はこのマンガは、「日本風俗の教科書」になるべき作品だと思っている。つい先日3巻が出たところなので全国の色街をマッピングするにはまだまだ志半ばではあるものの、おそらく作者の狙いはそこにあるのではないだろうか。

これがその「日本全国色街マップ」。「制覇せずには死ねない……」という作者の並々ならぬ意気込みを感じる(感じない) ※『匿名の彼女たち』第1巻より引用

風俗に興味があると言った僕だが、実際のところそこに1万円や2万円を支払うのなら別のものにお金を使いたいと思ってしまうのが正直なところ。現代に残る遊郭と称される飛田新地なんて、1万5000円が20分そこそこで消えてしまう。あの街並みを眺めるのが好きで、地元関西に帰る時に時々冷やかしに立ち寄るのだけど、さすがにひょっこり遊びに入るなんてことはできない。だからこそ、行ってもないのに行った気にさせてくれる「日本全国色街マップ」が魅力なのだ。

『匿名の〜』には、もちろん飛田新地もフィーチャーされている。他にも、道玄坂や五反田といった都内の風俗ホットスポットをはじめ、青森県青森市にある第三振興街や金津園、渡鹿野島といった普段滅多に行けないような地方の色街が、その土地の解説付きで紹介されていて面白い。

もちろん、そこでの風俗体験談も忘れてはいけない。この作品から僕が一番学んだことは、「どうやら風俗に夢なんかない」ということだ。主人公の山下貴大(32歳)は、ほぼ毎回と言っていいほど風俗体験後の背中に哀愁が漂っている。相手の女性の身の上話を掘り下げようとしてしまったり、相手の女性の空虚な優しさに触れたり、シチュエーションは様々だが、たいてい「しょせんは風俗、か……」的展開で終わっているところがミソ。

各地に根付いた色街の趣きを知り、風俗のジャンルや風俗店での客としての基本スタンスは、たいていここで学んだ。ガッツリエロい絵は入っているものの、正直言ってエロさは感じさせないこのマンガ、もしかすると僕みたいな風俗に憧れを抱く男たちのための教科書なのかもしれない。

「めちゃくちゃ可愛い子と最高な体験をしてウキウキ!」と思いきや……

じつは主人公は2回目だったのに、女の子はまったく覚えてくれていなかったことに落胆を隠せていない ※『匿名の彼女たち』第1巻より引用

時々、ものすごく風俗に行きたくなる時がある。でも、結局それはお金で関係を買っているだけ。それ以上でもそれ以下でもない。淡い期待をしてはいけない。そう思うと、このマンガで風俗の空気感を掴むことができればいいや、と思ってしまう僕だった。

匿名の彼女たち(1) (ヤンマガKCスペシャル)
作者:五十嵐 健三
出版社:講談社
発売日:2013-07-05
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