『グラゼニ』対談第2弾! 原作者と語る、「プロ野球はこうすれば面白くなる!」 【森高夕次×堀江貴文】 後編

堀江 貴文2015年05月02日 印刷向け表示
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グラゼニ~東京ドーム編~(3) (モーニング KC)
作者:アダチ ケイジ
出版社:講談社
発売日:2015-07-23
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試合内容よりも選手の年俸や移籍金など、プロ野球にまつわるお金の話を描いたことで話題となった漫画『グラゼニ』。原作者の森高夕次と、かつて球団運営に乗り出そうとした堀江貴文がプロ野球について熱く語り合う対談の第2弾は、人気がなかった頃のプロ野球から、1リーグ制になりかけた頃まで、話が及びました。今回はその続編。プロ野球への女性ファン獲得案から話がはじまります。(構成:東本由紀子)

女子の力を取り込め! プロ野球の未来は腐女子が救う?

堀江 森高さんはヤクルトスワローズのファンなんですよね。

森高 はい。スワローズは東京の人としては割と行きやすい。神宮球場は都会のど真ん中にあるし、東京ドームより敷居が低いんですよ。東京ドームは水道橋からなかなかたどり着かない印象もあるし。

堀江 水道橋からたどり着かない(笑)。僕ね、思ったのは、ドームってやっぱりつまんないですよね。メジャーリーグがそうであるように、やっぱり天然芝の球場が最高ですね。

森高 この前もその話になりましたけど、最近カープ女子が増えてきたのって、ひょっとしたら広島球場がメジャーを参考にしたような素敵な球場になって、そこが女子のハートをつかんだからじゃないかと思うんですよね。

堀江 広島球場は素敵ですよね。居酒屋シートみたいなのやバーベキューシートもあって、球場に普通に飲みに行くだけでも楽しい。夏場なんかは特に。都心からも近いですしね。

森高 またオープンエアがいい感じですよね。

堀江 メジャーリーグの球場はみんなあんな感じなんですけどね。ファンクラブみたいなのに入ってるメンバーはむちゃくちゃVIPなシートで見れますし、ホテルも隣接している。

森高 福岡ドームが一つ素敵なところは、ホテルが隣接しているところですよね。ただ、やっぱり広島球場のズムスタの感じはないので、ああいうのが全国にもうちょっと増えれば、ひょっとしたら女子を中心に火がつくっていうのはあるんじゃないかなって。やっぱり女子は素敵なところが好きなんですよ。スターバックスが流行ったのだって、要するに女子ウケするような内装とか雰囲気とかを作ったからで、それがカフェ文化の定着に一役買ってるわけですよ。でも野球関係者って女子の力をあまり信用してないですよね。こういう言い方は良くないんだけど、「所詮女子どもが」みたいな言い方をされるおじさんってたぶんいっぱいいる。

堀江 野球関係者ってやっぱり野球を競技だと思ってるんですよね。だからスタジアムのことを競技場って言うでしょ。劇場だと思ってない。劇場の舞台を観に来る人たちはほとんど女子で、そういうリアルな場所に足を運んでお金を使う人って本当は女子なんですよ。だから逆に野球ってすごくて、男子がお金を払ってスタジアムに毎日のように足を運ぶでしょ。完全に男子のマーケットだから、これに女子を取り込んだら倍になりますよ。いや、倍どころじゃないかもしれない。女子なんてまさにスタジアムに行ってお金を払う人たちなのに、それを全く無視しているのはマーケティング的におかしい。

森高 絶対に女子をマーケットにするべきですね。女子受けする空間っていうのは、僕はやっぱり商売成功するためにやるべき努力なんじゃないかと思います

堀江 それと女子ってBL(ボーイズラブ)が好きでしょ。今受けてる漫画って全部BLじゃないですか。『進撃の巨人』だって『弱虫ペダル』だって、あれ完全にBLなんですよ。グラゼニってBL要素はないんですか?

森高 グラゼニはBL要素は全くないですよ(笑)。僕はそういうのは描けないですから。

堀江 だけど今の漫画ってBL要素取り入れるとブレイクしますよね。

森高 まあもっと言ってしまうと、今の出版界はやっぱりある程度女子で支えられていますよ。間違いなくマーケットの下を支えているのは女子ですね。

堀江 だから僕は野球なんていいんじゃないかと。もうBL要素満載じゃないですか、野球って。ユニフォームがピチッとしていて、おしりがプリッとしてる。サッカーより絶対BL要素強いわけですよ。これもうね、宝の山。BLの世界観が出てくると、今の野球のマーケットって倍になると思いますね。それこそグラゼニで。

森高 (笑)。僕は腐女子の気持ちはよく分からなんですよね。やっぱりどこが腐女子の気持ちにヒットするかって分かんないですよ。でも腐女子が支えた野球漫画ってのもあるんですよ。

堀江 あ、あるんですか?

森高 少年ジャンプの『Mr.FULLSWING』なんかはそうですね。でもそういうの仮に男子が読むと、ちょっと、ん? 野球ってこうなのかな? って思っちゃうんですよ。

堀江 まあいいんですよ、男子は放っておいて。腐女子が野球場に大挙して行くようになる未来が、僕は今けっこうイメージできましたね。

森高 ただね、僕はオヤジだから、オヤジが読んで唸るような野球漫画を描きたいんですよね。僕はオヤジに評価されるのが好きなんですよ。こいつ分かってんじゃんって。

堀江 いやいや、僕もそういう漫画が読みたいんですよ。別にそれを否定してるわけじゃないんですけど、野球界は今まで完全にそのマーケットを無視してきましたから。だってどう考えてもBL要素満載じゃない。野球選手って。

東京オリンピックを機に神宮球場を素敵空間に!?

森高 まあでも、やっぱり僕はね、本当にお願いしたいのは球団が球場をちゃんと整備して欲しいということです。繰り返しますが、女子が球場に足を運ぶのはやっぱり雰囲気だと思うんですよね。球場がスターバックスみたいなオシャレな空間で、そこでビール飲んで、ちょっと売店で何か買って、野球観戦をするっていう雰囲気がどこにでもできてくるといいんだけどなあ。

堀江 それができないんですよね、球団と球場が一体経営じゃないから。だから例えば神宮球場は明治神宮の持ち物なので、実はスワローズは練習すらままならないというハンデを抱えている。

森高 スワローズの練習施設って、横っちょにある室内練習場しかないんですよね。あとは、草野球。横でおっさん達が草野球やってる片隅で練習してる。

堀江 まあ言ったら大学野球の方が優先なんですよ、昔からやってるから。

森高 そう。だから大学の試合が伸びたら、プロ野球の開始時間が遅れるんですよね。まあ僕はね、その文化を楽しんでるというか。神宮球場は天然芝で、オープンエアで、学生野球のための聖地みたいなところをプロ野球球団が「ちょっとすいませ〜ん」みたいな感じで使っているという。

堀江 それはもうマニアックなオヤジの世界ですよ(笑)。

森高 そうそう、伝統を楽しんでるオヤジの世界です。

堀江 だけどやっぱり裾野という意味でいうと、年に2、3回しか行かないファン層って実は大事なんですよ。森高さんみたいなマニアックな人たちは、もう何があったって行くわけですよ。もし神宮球場がなくなっても、「神宮はなくなったけど、俺はスワローズが好きなんだ」みたいな言い訳をいろいろ考えて行くんですよ。でも野球を盛り上げるためには、年に2、3回観に行く人たちをどうやって獲得するかっていうことを考えないといけない。本当はね、東京オリンピックを言い訳にして変えるべきなんですよ。

森高 ああ、なるほど。

堀江 オリンピックって実は開催国の裁量というのがあって、一種目だけ自由に追加できるんです。だから野球を追加しようと思えばできる。JOCがやると言ったら野球は復活しますよ。そうなれば明治神宮を巻き込み、JOCも巻き込み、神宮を素敵な球場にすることもできますよ。

森高 でも僕はその前に、あの国立競技場の大改修をやめてくれっていう派だからなあ。いや、改修はした方がいいと思うんだけど、もうちょっと身の丈にあった改修をしてほしいというか。

堀江 ちょっとサッカーの話になりますけど、国立競技場は二つに分けて、一つをサッカー専用スタジアムにすればいいと思いますね。

森高 なるほど。サッカー専用スタジアムにするのはいいですね。

堀江 僕サッカーめちゃくちゃ好きってわけでもないんだけど、今サッカーの雑誌に連載をしていて。それで得た知識というのは、やっぱりサッカーには専用スタジアムが必須である、ということなんですね。例えばアメリカとかのメジャーリーグサッカーは全部専用スタジアムになっていて、あれは行ったことある人しか分からないと思うけれど、臨場感が違いすぎてやばいです。もう、そこに選手がいるって感じなんですよ。ヨーロッパのサッカーもそれがデフォで、専用スタジアムじゃないと盛り上がらない。でも日本は専用スタジアムが少ないですよね。野球はそういう意味で言ったら、僕が新規参入とかする時代までは今よりもっと選手と観客席との距離が離れてましたよ。今はエキサイティングシートか、フィールドに客席を作ってグローブ持ってボールが飛んできてもいいようなシートとかありますから。

森高 意識改革をしたのは、堀江さんですね。

堀江 僕はメジャーリーグの球場も何個か見に行きましたからね。そしたらもう楽しさのレベルが全然ちがう。

森高 でも神宮球場については、日本はなかなか踏み出せないんじゃないですかね。予算の問題もありますし、周りの利害関係も。やっぱり変えようと言い出すことは怖いですよ。だから堀江さんは本当にすごいなと。

堀江 いやいや、森高さんが漫画で未来を描けばいいんですよ。オリンピックの種目に野球がまた復活して、夏之介が投げてるという。

森高 それでちょっとSFチックな神宮外苑の構造改革案みたいなものを描いてね(笑)。面白いかもしれないですね。

堀江 そうそう。グラゼニからプロ野球の未来が変わるかもしれないですよ。でも僕、本当に東京オリンピックの関係者ともオリンピックを言い訳にして普段できないことをやろうと話していて。そういう意味では、神宮球場を改革するにはもう東京オリンピックしかないんじゃないかな。

森高 いやでもほんとにね、もし神宮を整備するならアメリカとか海外のデザイナーもそりゃいいんだけど、僕はやっぱりちゃんと神宮の伝統も分かっていて、東京の伝統とか文化も崩さないで、で、どうすればもっと未来的でおしゃれな空間を作れるかを考えられる人、全部バランスとって考えられる人がプロデュースしてほしいな。

堀江 ここにいます、ここにいます。

森高 僕にはそういう企画力はないので(笑)。

堀江 やっぱりスワローズファンが愛を持って提言しないとね。僕、けっこう思いつきで言ってるように見えますけど、実際に変わった例もあるんですよ。今カンボジア代表の陸上選手をやっている猫ひろしさんっていますよね。猫さんに昔、カンボジア代表だったら選手になれるよって言ったんです。だってなんのトレーニングもしてなくて、コーチもついてないのに、すでに二時間半切る勢いのランナーだったんですもん。だからいけるよ猫さんって言って、カンボジアの政府関係者や大臣を紹介したんです。

森高 あれは堀江さんが言ったことだったんですね。それにしてもいいアイデアを思いつきましたね。

堀江 僕一応カンボジアにコネがあったので。全く何もない思いつきじゃないんですよ。

森高 確かに堀江さんが言ってるアイデアって、一見そんなことできるわけないじゃんっておじさんたちが思いがちなアイデアですよね。でも案外行動に移せばできちゃうという。

堀江 いや僕ね、非現実的なことは言わないです。実現可能性が少しでもあることを言います。神宮球場がこの対談をきっかけに変わったらうれしいな。広島球場も変わりましたもん、できますよ。
 

対談の動画はこちらから見られます。

また、対談の第一弾はこちらから

聞き手、構成:東本由紀子
 

グラゼニ (1)
作者:森高 夕次
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