『JIN-仁』 医療漫画の最高傑作と私は思う。ドラマしか見てない人はこの原作にきっと感動することだろう。

堀江 貴文2015年05月09日 印刷向け表示
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JIN-仁-全巻セット (ジャンプコミックスデラックス)
作者:村上もとか
出版社:集英社
発売日:2011-03-17
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ドラマが大ブレイクしたのでこの作品名をご存知の方は多いだろう。しかし、最近のドラマは冗長過ぎるというか、もどかしくなることが多い。もちろんドラマ版も面白いのだが、そう思われるなら原作の面白さはドラマ版の比ではない。一話一話の話の作り込みや作画が超ハイレベル。間違いなく村上もとかの最高傑作といっていいだろう。それほどまでに話にグイグイと引き込まれるのである。

主人公の外科医が江戸時代にタイムスリップするところは非常にありがちで安易なSF設定だと思ったのだが、そこからが凄い。手持ちの緊急手術キットで頭を尊王攘夷派の闇討ちで斬られた旗本を緊急手術することによって命を救ったことから数奇な運命に翻弄されていく。話のコアは現代の医療技術を江戸時代末期の日本でどこまで再現できるかというところだ。最高の刀鍛冶にメスをはじめとする医療器具を特注したり、麻酔をしたりと出来る限りのことをやっていく。バックには高度な医療技術監修者が付いているからこそできることであろう。

そして当時は抗生物質が発見されていない時代。手術の最大のリスクは感染症対策だ。彼は世界で最初に発見された抗生物質であるペニシリンを自作することに挑戦する。ペニシリンが青カビから作られたことは有名な話だが、ペニシリンを単離し大量生産するのは非常に多くの工程を経る必要がある。青カビの中でもペニシリンを効率よく生産できる種を選別し、大量生産に至るまでには色々な人々の手を借りる必要があった。そんな中、現代まで脈々と続く醤油生産メーカーが手を貸すというのはなかなか興味深いストーリーである。

また、坂本龍馬を筆頭に幕末のキーマン達が次々と登場し、主人公と絡んでいくのも見ものだ。全国各地を飛び回り彼は色々な人達の命を救っていく。その都度、彼の医療技術は現代に少しずつ近づいていく。サバイバル的な医療技術と、医療の限界をまざまざと感じさせるこの作品のストーリー展開のバランスは素晴らしいものがある。こんなマンガが登場して何十年も読まれる名作となっていくところがマンガ文化の素晴らしいところであるし、電子化でそれが促進されることも素晴らしいと思う。

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