プロ野球史上、最強のピッチャーは誰だ! 沢村賞の歴史を変えた『江川と西本』

苅田 明史2015年05月15日 印刷向け表示
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プロ野球ファンならやっぱり「今年はどのチームが優勝するのか?」が一番気になりますよね。

シリーズ開幕前、関西出身の私としては「今年こそ阪神オリックスで関西日本シリーズや!」と大いに期待していたのですが、シーズンの1/4が終わった段階で両チームともまさかの最下位・・・。

去年はどちらも2位だったし「今年こそ優勝!」と期待が膨らんでいた分、凹み具合もハンパじゃありません。
「あんなに補強したんちゃいますのん・・・」「せっかく鳥谷が残留してくれたんちゃいますのん・・・」とやめられない止まらないカッパえびせんモードの嘆き節。


優勝できないならせめて贔屓のチームのなかから個人賞だけでも出てほしいと思うのがファンの性。
とくに「誰が沢村賞を獲るのか?」は毎年気になっている人も多いんじゃないでしょうか?


沢村賞とは日本プロ野球における特別賞で、メジャーリーグのサイ・ヤング賞よりも古い歴史を持つ、栄誉ある賞。

これまでの受賞者は松坂大輔(元西武)、斉藤和巳(元ダイエー/ソフトバンク)、ダルビッシュ有(日本ハム)、田中将大(楽天)、などそうそうたる面々で、登板試合数、完投試合数、勝利数、勝率、投球回数、奪三振数、防御率を審査基準にして、その年の「先発完投型の投手」のなかから決めています。
まさに、沢村賞=その年の最強ピッチャーの称号!なんです。


今回はこの「沢村賞」の概念を揺さぶった二人のピッチャーを描いたマンガ、『江川と西本』を紹介します。
『おれはキャプテン』の作者や『グラゼニ』の原作者として知られるコージィ城倉さん(マンガ原作者としては森高夕次さん)と『哲也 雀聖と呼ばれた男』の星野泰視さんのタッグが描く、プロ野球史に残るライバル関係。
このマンガ、1巻にして既にシビれる内容で、野球ファンなら好きなチームに関係なく、必読です!

江川と西本 1 (ビッグコミックス)
作者:森高 夕次
出版社:小学館
発売日:2015-04-23
  • Amazon
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  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub
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プロ野球史上最強のピッチャーは誰だ!?

「プロ野球史上最強のピッチャー」と聞くと、誰を思い浮かべますか?
マー君? ダルビッシュ? それとも松坂大輔? いまなら大谷翔平?


彼らは高校時代からその年を代表するピッチャーとして名を馳せていましたが、高校時代の凄さで言えば実は断然、江川卓がナンバーワン
高校時代・公式戦のノーヒット・ノーランの数は、
大谷翔平:0回
松坂大輔:1回
江川卓:9回

という驚異の回数を記録しています。

その後も「信じられないほどホップするストレート」を武器に巨人のエースとして活躍し、1981年には最多勝、最高勝率、最優秀防御率、最多奪三振、最多完封と言う投手五冠に輝いた江川こそ「プロ野球史上最強のピッチャー」と言う声はいまも多く聞かれます。

プロ野球最強のピッチャー、江川が獲れなかった「沢村賞」

でも、プロ野球に詳しい人ならご存知の通り、実は江川卓は最強ピッチャーの称号である「沢村賞」を受賞していないんです。
1981年には20勝6敗、防御率2.29、奪三振221で投手五冠、MVPに輝き、圧倒的な強さを見せたこの年ですら沢村賞を獲ることはできませんでした。

そして、その沢村賞を江川に「獲らせなかった」ピッチャーが、このマンガのもう一人の主人公で、同じく巨人の西本聖


江川の沢村賞受賞を阻んだ背景には何があったのでしょうか?
実はこの年まで沢村賞の選考は、東京運動記者クラブ部長会に一任されていました。
もちろん、西本も十分に実績を残していたのですが、最後の決め手になったのは江川がマスコミの記者たちから好かれていなかったからなのでは、とも言われています。
※沢村賞の選考は、その次の年から選考委員会方式に改められました。

とにかく、「沢村賞」を獲れなかった「怪物」江川は、このことをきっかけに「雑草」西本をライバル視するようになります。

『江川と西本』のライバル関係は高校時代からはじまっていた

このマンガでは、西本が甲子園優勝・準優勝選手を擁するスポーツエリート兄弟の4男として生まれ育ち、高校1年から早くもエースピッチャーとして活躍するところから始まります。
チーム内で高い評価を得た西本でしたが、同年代の江川と練習試合で出会い、超高校級の江川のストレート、変化球、走塁、すべてに圧倒されてしまうのです。
『江川と西本』では江川がどれだけ無双していたか、世間の注目を集めていたかが描かれています。

江川との圧倒的な差を感じた西本。
ここから、西本は後に代名詞となるシュートを磨き上げ、同じ巨人のエースピッチャーとして沢村賞を争うようになるのですが、果たして西本はライバル・江川をどう見ていたのか。
そして、江川はなぜ「空白の一日事件」を起こし、世間やマスコミから疎まれる存在になってしまったのか。

なによりも、この「沢村賞」事件は二人のライバル関係のほんの序章にすぎません。
この年を境に、二人はエースピッチャーの座をめぐり、熾烈な競争を繰り広げるからです・・・!

帯にはなんと長嶋茂雄のコメントが・・・! 『江川と西本1』(森高 夕次、ビッグコミックス)より


これからのドラマチックな展開が非常に楽しみな作品です。

今年の沢村賞は?

最後に、2015年の沢村賞を予想してみます(野球好きなんです 笑)

現段階で沢村賞の筆頭候補の一人は、やっぱり日ハムの大谷翔平!
何せ開幕から無傷の6連勝で防御率0.86という圧倒的な数字を叩き出し(5月15日時点)、高卒3年目にして早くも投手としては日本の枠に収まらない活躍を見せていますからね。

二刀流の選手が沢村賞受賞だなんて、マンガの主人公でもあり得ない展開!
これまで原作者の森高夕次さんはフィクションの野球マンガが多かったのですが、ひょっとしたら大谷が凄すぎて、フィクションでは超えられない野球を伝説のライバル関係に見出したのかもしれません。
とにかく、大谷にはぜひ頑張ってほしいですね。

個人的には阪神とオリックスが終戦気味で残念ですが、せめてクライマックスシリーズまで行ってくれればと、これからの浮上を期待して懲りずに応援にいきます(次回は阪神vs西武戦@西武プリンスを観に行く予定)

『江川と西本』、あんまり顔は似てませんが、二人の凄さが伝わってきます・・・!

江川と西本 1 (ビッグコミックス)
作者:森高 夕次
出版社:小学館
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森高さんと言えば『グラゼニ』。

グラゼニ~東京ドーム編~(3) (モーニング KC)
作者:アダチ ケイジ
出版社:講談社
発売日:2015-07-23
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最近出た『ロクダイ』は、弱小の東大野球部を描いたお話。実は『おれはキャプテン』の続編。

ロクダイ(1) (講談社コミックス)
作者:コージィ 城倉
出版社:講談社
発売日:2015-04-17
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