プロ漫画家は日本に何人いるのか?

菊池 健2015年06月14日 印刷向け表示
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 この仕事をしていると良く聞かれるのが、

「それで、結局漫画家って何人いるんですか?」という質問です。

一般の取材から、作家、編集者さん、果ては経産省のお役人さんや議員さんまで、みんな同じ質問を私にされるんですが、残念ながら、正確には判らないんですね。

一番知りたいのは「日本にマンガで食べてる漫画家は、何人いるのか?」ということなわけですが、これを試算する方法がなかなか難しいのです。マンガで食べている人ということが言える人とは、だいたい以下でほとんど抑えられると思います。

 ・商業誌掲載/連載(その単行本印税など)

 ・Web/アプリなどデジタル媒体掲載(原稿料,DL収入など)

 ・企画描き下ろし漫画

 ・宣伝/広告/記事カットなど、その他目的型のマンガ制作

 ・同人誌制作販売

 ・漫画教育関連の教員など

などです。勿論、この中でミックスしている方や、他の仕事(ライターや全然関係のない仕事まで)と兼業している方も多くいます。

本当に知りたい数値はなかなか判らないのですが、ここでは参考になりそうな数字をいくつかあげさせていただきます。

紙の単行本を出している作家数 

残念ながら2010年までのデータしかないのですが、情報メディア白書によると、紙の新刊のマンガ単行本を発刊した著者数は、2010年で約6000人いたそうです。

[引用:メディア情報白書]

この調査、2011年以降は公表されてないようなのですね。どこか別ルートでこの情報手に入れられないかなぁと思います。情報求む。 

このデータに少し関係して参考情報があります。「出版月報」によると、年間に発刊される紙のマンガ単行本の総数は、2014年現在約12000冊ほどとなっております。

[出版月報より]

実に、毎日30数冊のマンガ単行本が発刊されているということになります。

この2010年におよそ1万2千冊ほどに達してから、2014年までの5年間は、およそこの水準で安定しています。また、別の資料によると、この刊行されている漫画単行本のうち、10~15%が再収録本、つまりコンビニなどで販売されている廉価本だったり、プレミア豪華版だったりするわけですね。 

ちょっと定かではないのですが、ここ5年ほどの間、1年間に新刊のマンガ単行本を発刊している作家さんは、約6,000人くらいいるということになるかと思います。

これまではなんとなく、これが一番「プロ漫画家の数」に近いイメージと考えていましたが、現在、最大級のマンガアプリcomicoには100人超、マンガボックスには50人超、他にもめちゃコミックや各種デジタル媒体には、多くのマンガを掲載・連載している作家がいます。また、広告漫画受注などの大手、アドマンガさんにも、多くの「マンガ雑誌には載せてないけどもプロ漫画家」という方たちがいらっしゃいます。先に示した通り、多くのジャンルで「マンガで食べてる漫画家」がいると推測されます。 

マンガを教えている学校数とその学生数

マンガを教えている専門学校と大学の数も増えました。 

専門学校の場合、マンガのコースは、マンガ専業コースのほか、イラストやアニメなどの関連しそうなジャンルと合同にしたコースなどの形が多くなります。

例:ナレッジステーション>日本の専門学校>マンガコース

トキワ荘プロジェクト調べでは、例えば、A専門学校の東京校、大阪校をそれぞれ1校と計算した場合、専門学校は約100校ほど、マンガを教えている学校があるようです。 

大学については、1995年に京都精華大学がマンガコースを創設以来、現在22校の大学・短大がマンガを教えています。

この専門学校100校と大学・短大22校の現役学生数の総計が、推計で約5,000人ほどとなりそうです。高校や社会人学校は除きますが、大学専門学校のなど高等教育機関では、約5,000人がマンガを勉強しています。

ちなみに、私が専門学校や美大など漫画家のキャリアやマンガ産業についての講義を行う場合、マンガ学科やコースのある美大だと、だいたい受講生の半分位がマンガコース、半分位が他のコース(日本画とか油絵とか)の学生になります。つまり上記の5,000人以上が学校で学びながら漫画家志望者であると計算しても良いかと思います。

同人誌即売会の場合

これは勿論、プロの漫画家の数とは違いますが、愛好者としてマンガを描いている人と、その中に潜むプロの作家さん達の数として、一つの指標になるかと思います。 

世界最大の同人誌即売会、「コミックマーケット(コミケ)」の前回開催(2014年12月)においては、参加サークル数3万5千・申込サークル数4万8千とのことです。

コミックマーケット87アフターレポート

サークルとは、同人誌即売会に出展する際の単位で、1人~複数人で1サークルと数えるため、申込サークル数以上の同人作家がいるという一つの指標です。この規模の出展数、3日間の来場者が60万人弱と言う巨大イベントが、年間2回行われています。

また、2次創作・パロディを主とするコミケに対し、1次創作、つまりオリジナル作品しか売り出すことが出来ない即売会の代表格が「コミティア」です。こちらは、次回開催が出展3500サークルで、開催時の規模感によっては5000サークル位の規模になることもある。こちらは、年4回開催。

そして、このほかにも、コミックシティや各種ジャンル別など、多くの同人即売会が日本全国、及び海外諸国で行われています。(海外では、コンテンツイベントの傍らに、Artist alleyという呼び名で、同人誌即売が行われるケースが多いです。) 

漫画家志望者は何人?

プロ漫画家の数同様、漫画家志望者の数は知りたい所です。自分の本業を考えても、喉から手が出るほど欲しい情報ですが、これがなかなか試算のアイディアすら良い方法が見当たらないのが現状です。どなたか、良い知恵をいただけませんでしょうか。

トキワ荘プロジェクトでは、2011年に「プロ漫画家、及び漫画家志望者の現況を調査する」という目的で『漫画家白書』というものを発刊いたしました。

そのサマリーがこちらです。 

漫画の業界では、こういった調査が求められてはいるのですが、資金的、技術的になかなか有効な形で実現されません。個人、各機関のご支援、ご協力を賜れれば幸いです。

本エントリーは、個人blog"トキワ荘PJディレクターBlog(仮称)"からの不定期転載となります。

トキワ荘プロジェクトで最初に作った、漫画家支援の調査研究書籍です。「新人は沢山早く描け!」という、私達の方針は、この調査をした際に「連載以上の経験があるプロ作家は、平均240ページを描いた頃にデビューしてる、その際の平均制作ペースは月産1本」というデータがあってのことです。

漫画家白書 「マザーコンテンツ」の創り手はいかに育つか
作者:NPO法人NEWVERY内 トキワ荘プロジェクト
出版社:NEWVERY
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漫画家といえば、「漫画誌に連載して、それがアニメ化されて大ヒット !」という流れが一般に知られますが、企業広告用マンガや、様々なマニュアルなど、色々なプロ道があります。
先日は、ソウ先生のマンガをレビューしましたが、中でも以下の『Webマーケッター瞳』は、一企業のPRマンガにも関わらず、とても面白いというものでした。制作から数年経っていますが、広告漫画界のお手本になっていると思います。

マンガでわかるWebマーケティング ―Webマーケッター瞳の挑戦!―
作者:村上 佳代 作画:ソウ
出版社:インプレスジャパン
発売日:2011-04-22
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マンガ学校がどういうところかというのは、なかなか外から見えませんが、以下の2つ作品は、良くも悪くも、マンガ専門学校の様子が判る作品かなと思います。

『描かないマンガ家』に学ぶ、マンガ家になる方法?

ヒット漫画家で漫画学校講師の漫画家が描く漫画学校もの漫画家漫画『ラフダイヤモンドまんが学校にようこそ』

描かないマンガ家 2 (ジェッツコミックス)
作者:えりちん
出版社:白泉社
発売日:2011-07-29
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ラフダイヤモンド まんが学校にようこそ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
作者:緒方てい
出版社:集英社
発売日:2014-11-04
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