この1年で伸びたマンガ雑誌はある!雑誌とアプリという切り口でのマンガ市場分析

菊池 健2015年06月22日 印刷向け表示
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 先日のエントリーでは、漫画市場規模について紙雑誌、単行本を中心としたデータについて書きました。

2014年度紙のマンガ市場規模データ

今回は、雑誌の印刷部数とマンガアプリのダウンロード数について、2015年5月時点情報で書いてみます。一般社団法人日本雑誌協会さんが、主要雑誌(マンガを含む)の印刷部数を公表しています。

*:印刷部数は販売部数ではなく、一部返本されています。返本率は各社各誌によってマチマチで、およそ50~30%ほど、平均40%ほどと言われています。

データは、雑誌協会に加盟して印刷証明付きのものに限り掲載されています。成人誌を含めると、現在刊行されているマンガ誌は200~300誌にのぼるとされていますが、その中でおよそ60誌の主要データが掲載しているという事になります。例えば、スクエニのガンガン系や、秋田書店のチャンピオン系の雑誌のデータは入っていません。

四半期ごとのデータの為、最新のデータは、2015年1~3月期のデータになります。

最大の週刊少年ジャンプが240万部ほど、3位のコロコロまでが100万部で、トップ10の総印刷数が約800万部です。とはいえ、トップのジャンプが1995年に記録した最高記録は、653万部で、400万部超、下がっています。

これだけだとピンとこないので、前年の2014年1-3月のデータも見てみましょう。


トップ3は変わらず、Wジャンプが30万部ほど落ちこみ、総数が約840万部ということで、前年からトップ10全体で40万部落ち込んでいますが、コロコロが60万部代から約40万部上積みして100万部の大台にのっていることが印象的です。これは『妖怪ウォッチ』の効果と思われます。ジバニャン強し。

しかしまだ、だからどうしたというお話ですね。日本雑誌協会さんのHPにて、現時点で一番古いデータは、2008年の4月~6月期のデータでしたので、これも載せてみます。

トップは順位、印刷部数共にあまり変わらず、安定の週刊少年ジャンプです。印刷総数は約1140万部ということで、この7年でトップ10のマンガ雑誌は、340万部ほど落ち込んでいるということが判ります。ここまで来ると大きな変化だと思います。

この辺りで、いくつかのことが判ってきますね。

この通算7年間ごしのデータを(途中は精査していませんが)見ると、トップ10の雑誌が1誌も変わっておりません。ランキングもほぼ同じと言って良い形で、ほとんどの雑誌の印刷部数のみ下がっているという状態です。恐らく、読むのを辞めて抜け落ちた読者は増え、新しく入ってる読者が少ないと想像されます。

例えば、この期間の人気就職先企業のランキングも、大きく動いていますし、主要なITサービスの栄枯盛衰ぶりを考えると、この動きの無さについては、やはりユーザー層に変化がないと考えられるでしょうか。(話題のマンガボックスやcomicoは、サービスを開始して、まだ2年も経っていません。)


次にマンガ少年誌3誌の推移をみてみます。

[『なる☆まん』辰巳出版より引用]

前回エントリーの漫画市場規模の推移と、トップのWジャンプの推移がほぼ一致する形ですが、10年ほど前まではマガジンとジャンプが伯仲しながら、2006年あたりから現在のランキングに落ち着いていることが判ります。

このマンガ雑誌の栄枯盛衰の歴史については、ニコニコ動画に「週刊マンガ雑誌の歴史 」というシリーズがありまして、見事にまとめられております。少々長いですが、ご興味ある方にはおすすめです。

 マンガ雑誌に代わる存在として近年注目をされているのが、スマホ・タブレットで閲覧するマンガアプリです。中でも、マンガボックス、comico、GANMAなどは、オリジナル作品を連載する形をとっており、スマホ時代の新しい形の雑誌と言えると思います。アプリについては、印刷部数に代わりダウンロード数が、その流通量を判断する主要指標の一つです。

現在、連載型のマンガアプリで主要なものは、ほとんどが2013年秋以降のサービス開始となりますが、ダウンロード数とはその数は数百万単位。トップのcomicoに至っては、そろそろ1000万ダウンロードをうかがう勢いです。

[各社プレスリリースや公表されている記事などから作成]

ダウンロード数は、紙雑誌の印刷部数同様、それ即ち毎月毎週マンガを読んでいるユーザー数と言う訳ではありません。こちらの業界で読者数に当たる言葉「アクティブユーザー数」を表す、月次のMAU、日時のDAU数については、ダウンロード数の4~6割ほどの数のユーザーが、各アプリのマンガを毎月ペースで読んでいるようです。

また、マンガアプリにも多様性があり、他社コンテンツを販売するものから、他社コンテンツを販売するものもあります。中でも、公表されている中では最大のダウンロード数となる1000万超を誇る巨大アプリ、LINEマンガも、最近は連載作品やユーザー作品を掲載し始めました。また、アプリという形はとっていませんが、スマホ上のブラウザで読まれることをメインとし、成人マンガも含めてユーザー数の非常に多い「めちゃコミック」なども、積極的に自社アプリ内のオリジナルマンガ制作を進めています。

次回は、デジタルマンガの市場を中心に、最近の傾向について触れて行きます。

本エントリーは、個人blog"トキワ荘PJディレクターBlog(仮称)"からの不定期転載となります。

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各誌の部数が低迷していた小学館を救世主のごとく救ったのが『妖怪ウォッチ』です。1年間でコロコロの部数を40万部あげた立役者ですが、私の周り(編集者とか漫画家のプロ筋)で聞かれる声は、とにかくマンガにしてもアニメにしても完成度が高いということです。ストーリー、キャラクター共にしっかり作り込まれたこの作品は、ゲームから多ジャンルへ展開する際も、慎重に丁寧に移植されていることが見て取れます。未見の方も、単行本1巻とアニメ第1話などは抑えるだけでも、恐るべき力に触れられると思います。

妖怪ウォッチ(1) (てんとう虫コミックス)
作者:小西紀行
出版社:小学館
発売日:2013-06-28
  • Amazon Kindle

  

先日、ダウンロード数が1000万を超えて勢いにのるcomicoは、『ReLIFE』がエース作品として若い読者層にウケています。幾つか単行本化されてますが、大人が読めるマンガと言う意味で私がおすすめなのは、『でしにっき』『咲くは江戸にもその素質』です。ともに、レビューさせていただきました。

咲くは江戸にもその素質 1 (B's-LOG COMICS)
作者:沙嶋カタナ
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
発売日:2015-02-14
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub

同じく、ダウンロード数800万を超えるマンガボックス、最近のスマッシュヒットです。こちらも不倫をテーマとした大人向けマンガですが、同作の特設サイトでは、読者の感想・体験談というコーナーがあり、本作同様ドロドロの実話と思われる恋愛話が読者により投稿され、盛り上がっています。ネット発信作品らしい動きです。

ホリデイラブ~夫婦間恋愛~(1) (KC KISS)
作者:草壁 エリザ
出版社:講談社
発売日:2015-05-13
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
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上記2大マンガアプリが、大きくダウンロード数を伸ばしている中、セプテーニグループのコミックスマートが送るGANMAも独自の動きを見せています。ミリオンドールでは初のアニメ化を実現し、作家を継続して支援する事を目指したRouteMという独自のシステムで、Web時代のマンガ家との新しい形を模索しています。個人的に、一色美穂さんが面白いです。GANMAでは『猫はまたたび』を連載し、週刊少年サンデー系のWEBサンデーでは『さえずり高校OK部!』を連載。チャック全開マンガは突然バズるは、Blogは何故か全裸で面白いはと、ネットの申し子な感じの新しいタイプの作家さんです。(Blog、いつの間に最近のは全裸じゃなくなったのですね、ウフフ)

猫はまたたび (GANMA!)
作者:一色 美穂
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
発売日:2015-04-30
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub
 
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