なんで今まで教えてくれなかったんですか? シリコンバレーがこんなに萌えるってこと。『STEVES』を腐女子が読んでみた

ひらりさ2015年07月14日 印刷向け表示
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はじめてパソコンに夢中になったときを覚えていますか?

Twitter廃人である。
というかネット廃人である。
iPhoneかパソコンが手元にないと生きていけない。

というのは、おそらくこの記事までたどりついているような人の多数にも当てはまることなのではないかと(至極勝手に)予想しているのですが、みなさまは自分にとって切実にパソコンを求め、インターネットにすがるようになったころを覚えているでしょうか?

小学校低学年のころに親にうながされてパソコンに向かうようになった私ですが、そのころはどっかのプロバイダが運営している子供向けインターネットコミュニティで家を組み立てたり畑をたがやしたりお手紙をだしたりするのみで、ネットの広大な海に泳ぎだすことはなかった。

小学校高学年になって、私にとってパソコンは世界につながる魔法の箱としての効能をようやっと発揮しはじめる。そう、ネットの海に広がるBL二次創作を探すためのものになったからだ。初めて検索したカップリングを今でも覚えている。「ティーダ×アーロン」(FF10)である。なお、実は本当に検索したかったのは「アーロン×ティーダ」だ。これはまだ腐女子として未熟だったために、カップリングの表記が「攻め×受け」の順序であるということを知らなかったのでやらかしてしまったのである。当然5件しかヒットせず、「なんだ、FF10は人気がないのか……」というめちゃめちゃ勝手な勘違いをした記憶が……。

早く教えてくれよ! パソコンにこそ「萌え」があるって……

さて、そんなこんなで、腐女子養成ギブスのようにパソコンに慣れ親しんできた私なのですが、齢25にして、衝撃的な事実をようやっと知りました。

みんな、どうしてもっと早く教えてくれなかったんだ。パソコンの歴史にこそ、多量のBL成分が含まれていたということに……。 まさに灯台下暗し、そんな事実に気づかせてくれたのが、『STEVES』です。

スティーブズ 1 (ビッグコミックス)
作者:うめ
出版社:小学館
発売日:2014-11-28
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 物語のはじまりは、今から30年以上前のアメリカ。 主役となるのは2人のスティーブ。スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックです。

前者はさすがにこのマンガを読む前から私も知っていた、Appleの設立者にして大天才。そして実は後者のウォズニアックもAppleの設立者。Appleが最初期に制作した「Apple I」および「Apple II」をほぼ独力で開発した、「ウォズの魔法使い」とも呼ばれる天才的技術者です。 コンピュータに魅せられたこの2人の天才が出会い、「パーソナル・コンピュータ」という概念を普及させるきっかけを生み出し、シリコンバレーをひっかきまわして戦国時代に突入させ、さらにApple社だけでなく、ビル・ゲイツ擁するマイクロソフト、ヒューレット・パッカードなどなどに関わる人々の攻防と興亡を描いていくのが『STEVES』というわけです。

いや、もうこのあらすじだけで腐女子の大好きなやつが7個くらい詰まってますよね。

「2人の男」
「天才」
「世の中に新しいものを普及させるための闘い」
「周囲をひっかきまわす」
「メガネ男子(ビル・ゲイツ)」
「ライバル(ビル・ゲイツ)」
「いけすかないやつ(ビル・ゲイツ)」

あ、半分くらいビル・ゲイツになってしまった……。

まあとにかくビル・ゲイツが大好きになったよ私は、ということを言いたかっただけです。 正直、「メガネが好き?よろしいならばSTEVESだ」くらいに布教したいテンションでビル・ゲイツに萌えました。ビル・ゲイツさんご自身を見ているときはそんなことなかったんですけど……マンガの力とはおそろしい。  


ビル・ゲイツ、作業中に寝ちゃうの最高か……。
(『STEVES』2巻より)

独断と偏見で選ぶ「このコンビがやばい!」

パソコンの歴史を楽しくアツく知れるというだけでもめちゃくちゃおもしろいSTEVESですが、腐女子的に大変良いところは、多様なコンビでの萌えが楽しめるところ。そう、「スティーブ2人」の名前を押し出しつつも、シリコンバレーにかかわる目をキラキラさせた野郎どもがたんまり出てくるので、「う〜ん、ジョブズはイケメンだけど、髭面のクマみたいな人はちょっとな〜」と躊躇していた人も安心してとびこんできて大丈夫です!

というわけで僭越ながら、ざっと「このコンビがやばい!」を紹介しておくと……

スティーブ・ジョブズ&スティーブ・ウォズニアック

言わずもがなのスティーブコンビ。さっきは「髭面は……」みたいなことを書いてしまいましたが、ウォズはめっちゃかわいいやつです。読み進めるうちにめちゃくちゃ好きになっていきます。とくに2巻でウォズがアップルをやめてヒューレット・パッカードに専念しようとするときのウォズとジョブズのやりとりがめちゃくちゃ泣けます。ジョブズのツンデレの「デレ」を引き出せるのはウォズだけ!


『STEVES』1巻より

ランディ・ウィギントン&クリス・エピスノーザ

アップル初期に参加した社員2人。とくにクリスは14歳でアップルに入社したので「アップルで育った少年」と言われている。っていう設定だけで萌えるんですが、すらっとして優男風のランディと、猫っ毛でメガネでツンツンしてるクリスというコントラストでさらに萌える。そして2人がジョブズにギャンギャン言われつつも開発に没頭している姿を見ていると純粋に「うっ、絶対働きたくねえ職場だ……えらい……」と思います。10代であんな暴君のもとで仕事しててえらい……。


『STEVES』2巻より

ビル・ゲイツ&ポール・アレン

マイクロソフトの創業者2人。アップルがスティーブ2人を核にしてできたように、マイクロソフトもやはりこの2人の関係と才能を基礎にして生まれています。ポールもウォズに劣らず髭面男子ですが、ウォズ同様だんだんいとしく思えてきます。別々の大学に行ってたのに、ビル・ゲイツが何かアイデアを思いつくたびにわざわざ休学してビルのもとにやってくるとか最高でしょ。


『STEVES』2巻より

マイク・マークラ&スティーブ・ウォズニアック

実はアップルの共同設立の重要な立役者はもう一人いて、それが投資家のマイク・マークラ。「インテルのストックオプションで財を成し、若くして隠遁生活を送っていた」というプロフィールだけでBL感がある。しかし『STEVES』ではそんな優雅な生活を捨てて、毎度好き勝手やらかすジョブズをビジネス的観点から操縦する役割を一手に背負ってる姿が描かれているので、個人的にとても親しみがわく。そんなマイクと、ジョブズの暴走に一番振り回されてるくせに楽しんでいるウォズのやりとりが結構好きです。


『STEVES』2巻より

ビル・ゲイツ&スティーブ・ジョブズ

いや、でもやっぱりこの2人のコンビが一番ですよね。なにせ超天才と超天才の競合関係だよ……。ビジネス的な成功を追求しつづけたビル・ゲイツと、センス一本で周囲を圧倒してきたジョブズ。対照的だったからこそ、他の人々のようにジョブズに蹴散らされなかったのがゲイツであり、一度アップル社を追い出されたジョブズが復帰後に真っ先に挨拶に行ったのがゲイツだという話も。なんという萌え……。「STEVES」ではまだ邂逅したばかりのため、2人がこの後どのような闘いを繰り広げていくのか、むちゃくちゃ楽しみです。


『STEVES』2巻より

……という感じです。ぜひみなさまも今日から楽しい『STEVES』ライフを!

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作者:うめ
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