今の日本社会にどこまで将来性を感じていますか。『サンクチュアリ』 「失われた20年」を予測し、元キャリア官僚が衝撃を受けた、日本社会変革への生き様を描く不朽の名作

栫井 誠一郎2015年07月21日 印刷向け表示
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今の日本の社会にどこまで将来性を感じていますか。

永田町で働く政治家達は分刻みのスケジュールで動いています。霞が関で働く官僚達は、一人一人はとても優秀ですし、実は深夜まで働いています。私が入省1年目の時は、同期で平均残業時間が月に170時間くらいでした。東日本大震災が発生した日には、徹夜で対応をした人も大勢いました。政治や官僚の担い手達は、「日本のために頑張って仕事をしている」と思っています。

では、そんな政治や行政に満足を感じていますか。

サンクチュアリ (1) (ビッグコミックス)
作者:史村 翔
出版社:小学館
発売日:1990-10
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  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
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今回オススメする『サンクチュアリ』はどんな話なのか、さわりだけお話しします。

日本人の少年、北条と浅見は、カンボジアの強制収容所において、体力の無くなった仲間から次々と死んでしまう凄惨な環境から、決死の脱走を試みます。

死線を潜り抜け、奇跡的に日本に帰国した二人。 しかし、彼らが祖国で見たものは、活力を失い、死んだ目をした日本人の姿でした。

そして二人は日本を変えるため、一人はヤクザ、もう一人は政治家の道を歩みます。

しかし、日本で権力を握っているのは老人達。
彼らにしてみれば、若い人に権力をとられる訳にはいきません。
徹底的に若い芽を摘みにきます。 

 

ではマンガの中ではなく現実の日本がどうかと言うと、高齢者や生活保護受給者の反対票により倒れたとも言われる大阪都構想。内閣支持率の低下の原因と言われつつも、国会を通過していく安保法案改正。大事そうなことなのに何が起きているのか分かりにくい上、僕たち一人一人に何が出来るかも分からず、モヤッとする印象がありますよね。でも、モヤッとしても、政治に対して働きかけることがとても難しいのが現実です。

 

実は、『サンクチュアリ』の世界は、そんなモヤッとする日本と同じような状況になっています。今の日本は「方向が見えない」のです。

 

 

現実の日本社会と同じような悩みを抱える『サンクチュアリ』の社会で、二人の若者は一体何を目指したのでしょうか?

 

 

二人は、表の道(政治家)と裏の道(ヤクザ)として協力しながら、モヤッとして方向性が見えず働きかけが難しい日本社会、その原因となる強大な「既得権益」に立ち向かいます。結果がどうなるか、そして今の日本と重ねてどうかは是非じっくりと読んでいただきたいと思います。

 

最後に1つだけ。

『サンクチュアリ』が発刊されたのは約20年前。1990(第1巻)〜1995年(第12巻)です。おそらく当時の日本がモデルになっているでしょう。もし、『サンクチュアリ』の社会の課題が今の現実の日本の課題と重なるのであれば、その間の20年は何なのか。このままだと20年後の日本は今から進歩出来ているのか。そして何よりもそこに健全なストレスを感じる一人一人が、どのような行動が出来るのでしょうか。

 「サンクチュアリ」は、全ての日本国民にそんな問いを投げかけてくれる、不朽の名作です。

サンクチュアリ (1) (ビッグコミックス)
作者:史村 翔
出版社:小学館
発売日:1990-10
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サンクチュアリ (2) (ビッグコミックス)
作者:史村 翔
出版社:小学館
発売日:1991-06
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