JKもアニヲタもアラフィフ女も「ゲロ花」吐いて片恋に溺れる!『花吐き乙女』のロマンティックが止まらない

上原 梓2015年08月06日 印刷向け表示
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毎日うだるような暑さですね!!暑い夏をもっとHOTに、とばかりに、皆さんは愛に恋に生きていらっしゃるのでしょうか。

………い、いいなぁああああああああ!!!!

私だって好きな人のことを思って、会いたくて会えなくて このクソ暑い中にも関わらず震えたり、ブレーキランプを5回点滅させてア・イ・シ・テ・ルのサインとか送ったりしたかった!いま私が点滅させるとしたら、「熱中症でシ・ニ・ソ・ウ・DEATH」のサイン。ああ、どうせなら恋の病的な病気で死にたかった……

という訳で、暑さで錯乱している私が今日取り上げさせて頂くマンガは、漫画界で最もロマンティックな「恋の病」が出てくる松田奈緒子先生の「花吐き乙女」です。

花吐き乙女(1)
作者:松田奈緒子
出版社:講談社
発売日:2009-05-13
  • Amazon Kindle

 少女漫画には、大昔から恋愛を盛り上げるスパイスとして記憶喪失、白血病、心臓病など、沢山の病気が出てきます。そんな病気の中で群を抜いた存在感があるのが、当作品に出てくる「嘔吐中枢花被性(おうとちゅうすうかひせい)疾患」。

「嘔吐中枢花被性疾患」通称、花吐き病。片思いをこじらせると、いつでもどこでも花を吐いてしまい、社会生活が困難になってしまう病気です。吐かれた花に触ることで感染し、完治するには想い人から想われて両想いになるしかない。片思いの気持ちが強ければ薫り高く色も美しい素敵な花を吐くし、邪念が混じると色が薄い質の悪い花を吐くーーなんともロマンティックが止まらないではないですか!

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世界で一番美しい吐瀉物

花吐き病の研究をしている准教授とその周辺の人々を中心に、花吐き病にかかった登場人物たちの恋愛模様をオムニバスで描いているこの作品、男女の純愛を美しく描いているかと思いきや、意外とそうでもありません。恋愛の様々な側面がコメディタッチで描かれており、「ここぞ!」というところ以外は、むしろロマンティック要素薄め。この病気の名称も、作中のニュースなどでは「花吐き病」と呼ばれていますが、一般的には「ゲロ花病」と呼ばれていますし、吐いた後の花に至っては「ゲロ花」。おおお、一気にロマンティック・ワールドから身近・ワールドになってきましたよ!?

描かれる恋愛も、実に多様です。

意中の彼の好みに近付くべく美しいヒール靴を買い揃えるうちに、いつしか彼への想いよりも自分のコンプレックス解消のために無理に花を吐くようになる依存症気味の女性。
 

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モノクロなのにカラフルに見える美しさで、吐く

 

40代にして現実の女性に興味が無い童貞アニヲタ男が、大好きなアニメキャラへの想いが永遠に叶わないと気付いて吐く花。 

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片恋の対象は必ずしも人間とは限らない
 

もちろん、真っ直ぐで眩しい初恋で吐かれる花もございます。

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片恋で苦しいけど、初恋の初々しさで四つ葉のクローバーなんかも吐く

見開きで描かれる花を吐く光景は、どれも本当に美しい!「ああ、恋愛って苦しいけどその分、美しい!!分かる!分かるわー!!」となること間違いありません。

しかし……

こんなに沢山ゲロ花を見てますと、彼氏いない歴10年、婚活失敗続きの私はですね……完全に、「吐けない、吐かれない人」に感情移入するわけです。

例えばこちら。先ほどの眩しい初恋で花を吐く女子高生。

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ファースト・ゲロ花をお風呂で元気いっぱいに吐く

赤ちゃんの時に父親の吐いた花に触ってしまって感染していた女子高生が、思春期になって初恋の苦しさで花を吐きます。
結局この娘さんは、持ち前のまっすぐな心で失恋をガッツリ受け止めて花吐き病を鎮静化させるのですが、その陰で、娘さんのお母さんが激白…

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普通の浮気発覚よりも辛い!

 

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お母さん!仕方ない!仕方ないと思うよ!

 

そう。この物語は、美しい花を吐いてすらもらえない人、吐くほど人を好きになれない人の、コンプレックスの物語でもあるのです。

たまらん!たまらんぞー!!

すごーく愛してる人、それも夫や妻が、目の前で別の人を想って それはそれは美しい花を吐いたら、その衝撃はどんなものでしょうか!?

私事ですが今から10年以上前……滅多に会えなくなってきて、自然消滅かなー?と思っていた元カレの家の引き出しから「絶対に出逢える!出逢い系サイト」というムック本が出てきた時に私が感じた、あのフリーズ感を遥かに上回るものに違いありません。

いやー、この病が現実のものじゃなくて本当に良かった!現実だったら私、「感染してるのに一度も花を吐くことなく、もちろん吐かれることもなく死んでいくのね……」と、一人でお伊勢参りの旅とかに出るに違いありません。

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ゲロ花病に感染しても、人を苦しいほど好きにならないと発症しません。

 

でもでも!この作品は、私のような孤独アラサー・アラフォー独女の皆さんに一筋の光明を用意して下さってます。

光源氏の研究をしている大学教授、紫さん。「オールドミス」とからかわれながらも、母の介護と仕事を両立させながら、恋愛と距離を置いて独身を貫いて来た女性です。

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私なら、こんなセクハラ先生はSNSに晒します

 

そんな彼女が、とある事をきっかけに花を吐くのですが、その花の美しいことったら、勿体なくて吐いた花の見開きページはここではお見せできません!!

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果たして紫教授は、どんな可憐な花を吐くのでしょうか

彼女が恋愛に対するトラウマを克服して吐く花は、私たち独女連盟(勝手に組んだ)の希望なのです。その美しい見開きページは、是非、ご自身でご確認下さい!

こんな話を読みますと、あんなに「もしこの病気があっても一生吐けないわ」と思っていた凍てついた私の心にも、不思議と「吐きたい!」という気持ちが湧いてくるではありませんか!わ、私にも……私にも花、吐けるかもしれない!!願わくば、片思いが成就した時に最後に吐くと言う、白銀の百合を吐きたい!!吐きたい!!吐きたい!!

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せめて来世では吐きたい

と、夢見るためにも、是非ご一読頂きたい作品なのでした。

っていうか、夢見ても良いですか!?いいですよね!?

ダメですか。そうですか………そう…ですか………

花吐き乙女(2)
作者:松田奈緒子
出版社:講談社
発売日:2010-01-13
  • Amazon Kindle
花吐き乙女(3)
作者:松田奈緒子
出版社:講談社
発売日:2010-07-13
  • Amazon Kindle
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