『進撃の巨人』も『東京喰種』も読めなくなる! 「表現の自由の侵害」に挑戦するマンガ家のプライド。

苅田 明史2015年08月08日 印刷向け表示
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お気づきの方も多いと思いますが・・・・・・。

なぜかマンガHONZはいま、空前の「人肉食マンガ」ブームが到来中 笑 

(『進撃の巨人』について)なんつっても実写版は、巨人の表情が いちいちステキ!まず、人間を見つけた時の表情がいい!「うわー、美味しそう~!」という心の声が聞こえてきそうです。そして、モグモグ食べている様子は、「ああ、いま、大好物を食べているんだね?美味しいんだね?」と、こちらまで幸せになるほどでした。

(元記事はこちら)賞味期限切れのアタシでも美味しく食べてくれそうな『進撃の巨人』の巨人は誰だ!? はたしてどの巨人がアラフォー女子を一番おいしそうに食うのか? 

 『寄生獣』を布教しているという人に2回遭遇したことがあります。まさに寄生獣に寄生されている!と思いました。映画化も盛り上がっていますし、国民的マンガといえるでしょう。さてそんな『寄生獣』の良さは食べっぷりにあります。

(元記事はこちら)テーマは人肉 究極VS至高の闘い 特選 『人肉食マンガ』 前編 おや?、もうお肉がなくなってしまった・・・・・

完全アウトな発言かもですが、男性視点で見て、グラビアとかでちょっと日焼けた生足を凝視しながら「あの子うまそう~」とか「太ももにしゃぶりつきたい」とかって気持ちは理解できるんですよ。

でも、今回の人肉マンガをレビューしたのはどちらも女性ということで、女性って美味しそうにパクパクと食べてる人を見るのが好きなんだなぁ、母性だなぁ、と感心した次第です。

一方で、最近は色々と表現についての規制も多くなってきています。
有害図書の基準が厳しくなり、皆がよく知っている作品もアウトになるケースが増えてきました。
1年前には“有害図書になりそうだから”という理由で、『進撃の巨人』の元アシスタントであるやまもとありささんの作品が連載が開始二日前に中止になった、という業界が騒然となったニュースもありましたしね。

でもそんなに規制してばっかりじゃ、『進撃の巨人』や『寄生獣』のような「人肉食マンガ」が無くなってしまう!!!
(これらの作者の方々は「べつに人肉を食べてるシーンが描きたいわけじゃねーよ」と思うかもしれません。いや、絶対そうだと思うのですが)

というわけで今回は「人肉食マンガ」ブームに便乗して(笑)、時代を切り取る天才、筒井哲也さんの『有害都市』をご紹介します。 

有害都市 上 (ヤングジャンプコミックス)
作者:筒井 哲也
出版社:集英社
発売日:2015-04-17
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本作では 冒頭からいきなり人肉を食らう伝染病の存在が明かされます。 

『有害都市 上 (ヤングジャンプコミックス)』筒井哲也より


見る者の顔を思わずしかめっ面にさせる直接的でリアルな描写・・・。 

バイオハザード系の、グロくて怖そうなんだけど、続きが読みたくなっちゃう系・・・。

これはこれで読んでみたい! のですが・・・。

実はこれ、このマンガのなかで主人公の漫画家が描こうとしているマンガの話なんです! 

つまり、『有害都市』はある意味漫画家マンガ漫画家マンガにハズレなし!と言われるだけあって、このマンガももちろん読む価値ありです。

『有害都市』は来たる2020年の東京オリンピックを前にして、マンガ家の過激な表現が政治家や有識者によって取り締まられていく、というもの。

マンガ家は読者の方向を向いて作品を作っているのに、「体裁が~」とか「一部の読者が~」という理由で、ちょっとでもリスクのありそうな表現がどんどん削られていくのです。 

主人公は作品が評価されて、ようやく先ほどの「人肉を食らう伝染病」のマンガ連載が決まったのに、掲載されている雑誌の編集者からは「悪いけど、この表現は・・・」と描き直しを命じられてしまいます。 

いや、まぁ、規制が必要っていうこと自体は分からなくもないんだけど、いくらなんでもこんな少人数の会議で「完全に児童ポルノです」とかやりすぎでしょ?と考えさせられちゃいます。 

さて、筒井さんと言えば、映画化もされた『予告犯』のように時代を切り取る天才です。
『予告犯』では、増え続けるユーチューバーやニコニコ動画の主のように、匿名性を生かして動画で犯罪者への断罪を予告する謎の男シンブンシ。そして、その行為を妄信的に崇める視聴者を描き、いかにもあり得そうな犯罪を作り出しました。一方で、その画面の裏では個性あるリアルな個人としての存在があることも描いています。

本作も読んでいると「うわ、確かに同じような事件が起こってもおかしくないな」と思わせる内容。
すでに現実でも東京オリンピックは問題のインフレ状態なのに、これ以上は勘弁・・・と政府がバンバン規制してくる、とかありえそう。ホントに。

実は筒井さんの『マンホール』という作品も、長崎県で2009年に有害図書として指定されたことがあるそうで・・・自分の作品をもって「表現の自由の侵害」に挑戦する姿は心から尊敬しますし、応援したくなります。

女性も熱狂する「人肉食マンガ」という貴重なジャンルを世からなくさないためにも(違)、『有害都市』にはぜひブームになってもらいたい!
そして、「表現の自由」ってどこまで許されるんだろう、っていうのを改めて考えてみることが大事なんだろうなぁ、と思った次第です。

『有害都市』はとなりのヤングジャンプでも試し読みできちゃうので、ぜひ読んでみてください。オススメ!

http://tonarinoyj.jp/manga/yugaitoshi/ 

有害都市 上 (ヤングジャンプコミックス)
作者:筒井 哲也
出版社:集英社
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予告犯 1 (ヤングジャンプコミックス)
作者:筒井 哲也
出版社:集英社
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マンホール 新装版 上 (ヤングジャンプコミックス)
作者:筒井 哲也
出版社:集英社
発売日:2015-04-17
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