『ハイスコアガール』復活を心から喜ぶ4つの理由

兎来 栄寿2015年08月27日 印刷向け表示
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ハイスコアガール(1) (ビッグガンガンコミックススーパー)
作者:押切 蓮介
出版社:スクウェア・エニックス
発売日:2012-02-25
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復ッ 活ッ

『ハイスコアガール』復活ッッ『ハイスコアガール』復活ッッ

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最高のレトロゲーム漫画であり、最高の恋愛漫画である『ハイスコアガール』復活!

やったああああぁぁぁぁぁ~~~~~~~!!!

その連載はいよいよ佳境に入り、毎回毎回読む度に身悶えさせくれるビッグガンガンの看板作品! もう読めないのではないかと絶望までした続きが、読める時が来るッ……!!

早速、Twitterのタイムラインでも歓喜の声に満ちていました。それも、多くのクリエイターの方々がこぞって祝福していたのが印象的です。

日本橋ヨヲコ先生
https://twitter.com/yowoko/status/636463889991897088

鈴木みそ先生
https://twitter.com/MisoSuzuki/status/636453543684141056

とよ田みのる先生
https://twitter.com/poo1007/status/636436543696048128
https://twitter.com/poo1007/status/636444232874520576

福地翼先生
https://twitter.com/fukuchi_tsubasa/status/636445506500083714

海法紀光先生
https://twitter.com/nk12/status/636453767647354880

相原コージ先生
https://twitter.com/kojiaihara/status/636467354495381504

ほっぺげ先生
https://twitter.com/hoppege_R/status/636460081924562944

佐々木亮先生
https://twitter.com/sasaryou/status/636452206414204928

森田崇先生
https://twitter.com/TAK_MORITA/status/636442255977349120

石田敦子先生
https://twitter.com/ishida_atsuko/status/636442160405975040

天乃咲哉先生
https://twitter.com/amanosakuya/status/636430577600610304

森井ケンシロウ先生
https://twitter.com/morii/status/636429900539269120

赤松健先生
https://twitter.com/KenAkamatsu/status/636438609160114176

他にも多くの方が言及を行っており、著作権や引用、非親告罪化や刑事告訴の是非についてなど様々な方面に波紋を投げ掛けた事件として注目度の高さが伺えました。

『ハイスコアガール』は作中に登場するSNKプレイモアのキャラクターなどに関して許諾を得ていなかったとして、昨年の8月5日にスクウェア・エニックス本社ビル内などへ家宅捜索が。翌6日にはSNKプレイモアがスクウェア・エニックスを告訴。11日にスクウェア・エニックスは正式に休載・単行本とファンブックの回収・電子書籍の配信停止を表明。11月には、作者や担当含む16名が書類送検までされるという異例の事態となっていました。

ピコピコ少年SUPER
作者:押切 蓮介
出版社:太田出版
発売日:2015-02-05
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 11月下旬の頃の心境は、押切蓮介先生自身によって「糞袋少年」という漫画で語られており、もう一つのゲームマンガシリーズである『ピコピコ少年』の最新作、『ピコピコ少年SUPER』に収録されています。

マンガで何冊も描く位にゲーム大好きな押切先生がゲームすら手に付かず、PS4の箱を開ける気力も湧かない。アニメ化まで決定して、大好きなゲーム業界への恩返しが果たせると思った瞬間にこんなことになってしまった辛苦はどれほどだったでしょう。紙面から滲み出るその深い絶望感に、『ハイスコアガール』ファンとして、押切蓮介ファンとして、ゲーム好きとして、そして同じように大好きな業界への恩返しをしたいと思って活動している者として、深淵に立たされたような気持ちになりました。

しかししかし、そういった雌伏の時を経て今! 遂に! 復活の時!!

そんな素晴らしいことはありません! 祝杯だ!!

復活の予兆はあった!

今年に入ってから押切蓮介先生は精力的に活動されており、ヤングマガジン、ヤングマガジンサード、ジャンプSQ、ヤングアニマル、くらげバンチ、小説すばるなど各誌で読み切りを発表。バーズでの『ぐらんば』、モーニングでの『HaHa』など、相次いで新連載も行っています。「オタサーの姫~僕らの姫はデリケート~」というソーシャルゲームのキャラクターデザインも手掛けておりました。

たとえ『ハイスコアガール』の再開がなくとも、押切蓮介先生が創作を続けてくれている。そのことだけでファンとしては嬉しくあり、希望でもあり、マンガ界にとっても世界にとっても喜ばしいことでした。

そんな折、先月こんなニュースが流れ驚愕しました。「『ハイスコアガール』のヒロイン、大野晶のねんどろいどが11月発売!」と。

このねんどろいど、何が素晴らしいって「イカ焼きを食べる大野さん」までもが再現可能になっている所なんですよ! 

わからない方の為に説明させて頂くと、この『ハイスコアガール』のヒロイン大野さんは無表情かつ無口で、およそ笑顔を作ることはないのです。そんな大野さんが、作中でほとんど見せない笑顔を浮かべているのが、主人公ハルオと一緒にお祭を楽しみイカ焼きを食べるシーンなのです!

『ハイスコアガール』押切蓮介

この「モガー」や台蹴りをも立体で再現したグッドスマイルカンパニーさん! 僕は敬意を表するッ! このお祭のシーンは作中においても非常に重要なエピソードであり、言葉を発さないヒロインである大野さんの可愛さと切なさが有頂天に達する所なので是非読んで頂きたいです。

ともあれ、このねんどろいどが発表された時、私たちは思いました。「著作権で争っているはずの作品のフィギュアが発売……?」「これは、もしかしたら水面下でひょっとするとひょっとしているのでは…………?」そんな期待感を抱かせるニュースが流れてから数週間。更に決定的になったのは、先月号のビッグガンガン巻末でした。

何と、そこには『ハイスコアガール』のアシスタント募集記事が掲載されていたのです! ここまで来れば、間違いない! 待望の復活は間近ッ……! そのことについて呟くと(https://twitter.com/toraieisu/status/624832790031282176)、300RTもの反響がありました。世界はこの時を待っていたのですよ!!そして、満を持して正式な復活発表! 祝杯だ! 今日は大野さんの為に祝杯を上げよう!!

私が店長を勤めるマンガサロン『トリガー』では、独断により8月28日の金曜日「ハイスコアガール復活祭」と称して、お店で提供しているカクテル「大野さん」をワンコインで提供しようと思います(通常800円)。『ハイスコアガール』好きの方に集まって頂き、存分に語って頂ければ幸いです。さて、ここからは今私がこれ程までに喜んでいる理由を四つに分けて解説していきましょう。

押切蓮介ファンとして嬉しい

押切蓮介先生の絵は、確かに独特です。初めて触れる時には、障害となってしまうかもしれません。しかし、それを我慢してでも読んで欲しい魅力を多くの押切作品は備えています。

ミスミソウ 完全版(上) (アクションコミックス)
作者:押切 蓮介
出版社:双葉社
発売日:2013-03-12
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 多作で多くの名作を描いている押切作品の中でも、特に個人的に強く推したいのは『ミスミソウ』。残虐な描写が苦手な人には向きませんが、圧倒的な名作で完全版なら上下巻完結なので手も出し易いでしょう。一個の中に正気も狂気も慈しみも破壊衝動もあらゆるものが混沌として渦巻き存在しているのが人間。『ミスミソウ』は、そんな人間が正常に狂う様態を真摯に描いた作品です。

『ハイスコアガール』や『ピコピコ少年』などとはかなり趣が違いますが、そこに押切蓮介先生の素晴らしさがあります。つまり、あらゆる意味で人間を描くのに長けているのだと。だからこそ、ホラーでもサスペンスでもラブコメでもギャグでも面白いものが描けるのだと。故に、おすすめしたい。読んで欲しい。現在連載中の『HaHa』などもまた今までの作品と違った面白さを持つ、機会があれば紹介したい物語です(試し読み)。願わくば、この素晴らしい筆力を以って名作『ハイスコアガール』でも最高の終わりを見せて頂きたいです。

マンガ好きとして嬉しい

このマンガが多くの人に支持されている最大の理由。それは、この物語が純粋に恋愛マンガとして最高水準にあるからに他なりません。「ハイスコアガールより面白くて胸キュンな恋愛マンガを持って来い」と言われたら、相当に苦しみます。

全ての恋愛モノが好きな人はあまねく『ハイスコアガール』を読むべきです。たとえゲームネタが全然わからないとしても問題ありません。読めばわかります。血なまぐさいゲームで悪逆無道なハメを行う一方で、手と手がふれあうだけで生まれるときめきがたまらない!

物言わぬヒロイン大野さんの所作による感情表現の数々だけでも悶絶ものですが、この物語がバーストするのは、もう一人のヒロイン小春が登場してからです。どちらのヒロインに肩入れするかで確実に戦争が起きるでしょう。

ハイスコアガール(4) (ビッグガンガンコミックススーパー)
作者:押切 蓮介
出版社:スクウェア・エニックス
発売日:2013-06-25
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ハイスコアガール(4) 初回限定特装版 ゲームミュージックCD付き (SEコミックスプレミアム)
作者:押切 蓮介
出版社:スクウェア・エニックス
発売日:2013-06-25
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4巻や5巻の通常版と限定版、表紙を二人のヒロインに分けて選ばせるのは余りにも卑怯……! 大野さん派としては限定版のCDが欲しくても買うのは背信行為になってしまうでしょうが!

敬愛する下村陽子さん作曲の楽曲アレンジCDとか聴きたいに決まっているのに辛い!断腸の思いで、私は大野さん派として通常版だけを購入しました。しかしながら、大野さん派の私でも小春の魅力というのも痛いほど解るんですよ。

『ハイスコアガール』押切蓮介

小春、可愛すぎか!!

ビアンカとフローラだとビアンカが7:3~8:2位で有利が付くと思うのですが、体感で大野さんと小春は5.5:4.5~6:4。小春のハルオを好きになる切っ掛けや、いじましい努力の数々、認めない訳にはいくまい……!

『ハイスコアガール』押切蓮介

それでもなお、大野さんのこの表情の前には抗えません。一発 K.O.です。辛く苦しい生活の中で、唯一心安らげる時間を一緒に過ごしてくれる相手・ハルオ。普段は暴力的につれなく振る舞いながらも、垣間見せる、隠し切れない想い。

ああああ……私は見たい! 大野さんとハルオとが、自分の真の気持ちを自覚した二人が幸せになって、そして大野さんが未だ一度も見せたことが無い、屈託のないが笑顔が見たいんだ!

何なら二人が互いに名前で呼び合うようになるのを見たいんだ!!

又、優れた恋愛物語は脇役も味のあるキャラが多いですが、本作においても友人であったり母親であったりといったキャラが非常に良い味付けをして、含蓄のあるセリフを語ってくれます。総合的に見て、『ハイスコアガール』もまた素晴らしいヒューマンドラマなのです。

ゲーマーとして嬉しい

『ハイスコアガール』はゲームの面白さを描いている。もっと言えば、ゲームセンターでゲームをする楽しみを十全に描いている

『ハイスコアガール』押切蓮介

リアルファイトに発展しかねないハメ技などの暗黒面も含めた楽しさを、しっかりとリフレインさせてくれる。ゲーマーが読んで、こんなに楽しいマンガはそうそうありません!

私はマンガと同じ位にゲームにも愛を注ぐゲーマーです。最初にテトリスに触れた時は1日に10時間ほど寝食を忘れてプレイしてしまったほどです。スト2もKOFもサムスピもヴァンパイアもVGもあすかもバーチャも鉄拳もSCもサイキックフォースもギルティも触って来ました。高校生や大学生の頃は学校帰りにゲームセンターに寄るのが楽しみでした。

家庭用ゲームも大好きですが(DQ8もMGS5もモンハンクロスもイグジストアーカイブも楽しみです)、アーケードはアーケードの魅力があり、大好きです。これを書いている今も早くミカドにレベレーターを触りに行きたくて仕方ありません。ただ、最近はゲームセンター文化も衰退の一途をたどっています。名立たる有名なゲームセンターがここ10年でどれだけ無くなってしまったことか(逆に、最近見た『バケモノの子』に渋谷会館が出て来た時はどれだけ嬉しかったことか)。

しかし、その一方でEスポーツと呼ばれるゲームの大きなイベントも増えてきており、トッププレイヤーのファンは世界中から注目されています。直近でもEVO2015やRed Bull 5G 2015、あーくれぼ2015、闘神激突などのイベントは大いなる盛り上がりを見せていました。これらの試合を観ている時の熱狂と興奮と感動は、他の様々な競技を観戦している時と比べても何ら遜色ありません。生放送の視聴者数を見ても、潜在的なファンの多さに驚かされます。

今、ゲーセンを盛り上げるのは並大抵の努力では難しいでしょう。しかし、その再興に間違いなくひと役買えるのが『ハイスコアガール』です。アニメ化された時にゲームのプレイがどう表現されるかは未知数ですが、確実にゲームセンターに足を運ぶ人を増やす力を持った作品です。ハルオや大野さんや小春のように、筐体に100円玉を入れる悦びを、悔しさを、多くの人がまた味わうときが来れば良いと思います。

ウメハラ FIGHTING GAMERS! (1) (角川コミックス・エース 488-1)
作者:西出 ケンゴロー
出版社:KADOKAWA/角川書店
発売日:2014-12-25
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 アーケード格ゲーの醍醐味を漫画化した作品としては『ウメハラFIGHTING GAMERS!』も素晴らしくお薦めですが、『ハイスコアガール』はちょいちょいコンシューマーも含めたレトロゲームの細かすぎて伝わらないネタの数々を盛り込んで来るのも魅力。丁度、ハード的にもゲームが著しく進化して行く過渡期のお話なので、ゲーム史的な観点からも実に面白いです。名作だけでなく迷作も描いてくれるのが秀逸で、ニンジャコンバットのミサイルを振り回して攻撃してくるおかめボスのシュールさを改めて解説される愉悦をもっともっと味わいたいです。

ビッグガンガン愛読者として嬉しい

以前語った通り、私は『咲-Saki-』シリーズを住居も職も変えるほど愛しており、当然ビッグガンガン掲載の『シノハユ』『咲日和』も、毎回読む前に体を清め心を整え、礼拝してから読んでいます。実は、『咲-Saki-』シリーズと『ハイスコアガール』は切っても切れない関係があります。それは、担当編集が同じであるということ。その編集者・横山さんは、それぞれの作品の番外編で大和田秀樹先生によって描かれています。

咲-Saki-全国編Blu-ray特別冊子掲載「立-Ritz-全国編」大和田秀樹

丁度、今号のビッグガンガンより四号短期集中連載も始まった、『咲-Saki-』シリーズ番外編の『立-Ritz-』では、ユニオンジャックTシャツと野球帽をまとった小者の男・マンション横山として。

『ハイスコアガール公式ファンブックKAJIMEST』大和田秀樹

一方、『KAJIMEST』では美人編集者・横山元子として。どちらが本当の横山さんに近いのかはさておき……大好きな作品二つを担当している横山さんには今後も頑張って頂きたいと切に切に思います。

ともあれ、ビッグガンガンを読む楽しみが増えることは、本当に嬉しいです。勿論、『シノハユ』以外の作品も読んでいるのですが、『STEAL AND DEAD』や『ハイスコアガール』が休載になり、『くーろんず』が終わり、最近は少々寂しさを覚えていたのも事実でした。

ただ、最近では深見真さん原作の『魔法少女特殊戦あすか』や先月号と今月号に二号連続掲載された新人の雨野さやか先生の『星の砂』がとても素晴らしかったですし、栗井茶先生の新作『アオイココロが地球を割る(削る)』も面白く、次号からは竜騎士07さん新作の『祝姫』もスタート。にわかに熱くなってきた所に『ハイスコアガール』が帰ってくれば鬼に金棒、サスカッチにブッグブランチ、トキに夢想流舞です!

 既に連載を二つ抱えている押切先生。大変かとは思いますが、再び『ハイスコアガール』が誌面を飾るその日を今か今かと心待ちにしながら生きて行きます。

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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
発売日:2014-10-24
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