SNSで人と人がつながりすぎた時代、真のぼっち道は『湯神くんには友達がいない』に学ぶ 覚悟のないぼっちは悲惨だ

鳴海 淳義2015年09月01日 印刷向け表示
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湯神くんには友達がいない 1 (少年サンデーコミックス)
作者:
出版社:小学館
発売日:2012-11-16
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友だちがいないと、いろいろと不便なことがある。

ぼくが初めてそう感じたのは大学生のころだった。1人も友だちがいないと授業についていくのも大変なのだと実感した。なにしろ毎回ちゃんと出席しないといけないし、ノートも取らないといけない。わからないことを気軽に聞くこともできない。

おかげで留年ぎりぎりの卒業となった。だからそれ以来、友だちはいたほうがいいんじゃないかと思っていたけど、このマンガを読んで常識が覆された。

主人公・湯神くんはすごい。

自分のやりたいことを貫き通すために友だちはいらない。その代わり、1人でなんでも上手くやれるように万全を尽くす。で、実際できてしまっているから、見た目は爽やかな青年で、高校野球のエースなのに、周りからは変人扱いされている。

でも本人は相変わらず我が道を行くし、そのための準備を淡々とするだけだ。かなり熟練度の高いマイペース。

このマンガを読んで思った。「友だちがいないと大変だ、1人は辛いものだ」などと思う人は、本当の努力をしていないんじゃないかと。たとえば大学時代のぼくだって、ちゃんと授業に出て、その内容を完璧に理解していれば問題はなかった。

友だちというものを求めるかどうかは、やるべきことをできる人か、できない人かの違いにすぎないのかもしれない。湯神くんの後ろ姿を見ていると、ほとんどの人はダメな自分を自覚するんじゃないだろうか。

一方で友人関係に悩む人たちはどこか救われるところもあるだろう。

なんだ簡単なことじゃないか、と。周りを気にせず、自分のなかで完結する幸せを見つければ、他人に必要以上に気を遣わずに生きていける。そんな姿勢もおおいにありだってことに気付かされる。

いまの時代はもっと複雑で、FacebookやらTwitterやらLINEやら、人と人がつながりすぎなだけに、湯神くんみたいな割り切りは常に持っていないと煩わしいことも起きるだろうし。彼の悲壮感のない爽やかな「ぼっち」感こそ、大事な感性なんだろうなと思った。

とはいえ、このマンガは決して、じゃあ友だちなんていらないよ、みんなもっと自分の行動の精度を高めて自己解決しよう、なんて言っているわけじゃないのがまた面白い。1人でも大丈夫な湯神くんと、そんな彼に振り回される周囲の人たちを見ていると、ほんのりと人付き合いの大切さが見えてくるから不思議だ。

自分だけのマイルールを持つこと、ぶれない自分を持つこと。そんな確固たるぼっちなら、きっと人と交わりながらも流されずに、いい感じの人生をまっとうできるんじゃないでしょうか。

湯神くんはソーシャルメディア時代を生きるひとの、ひとつのロールモデルと言えるでしょう。たぶん。

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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
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