あなたは「自分しか出せない音」に必死ですか?『ブルージャイアント』

黒川 久里子2015年09月24日 印刷向け表示
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非リアがトレンドになり、リアルで懸命に生きることがダサくなってきて久しいですが、リアルをダサかっこよく生きているリア充たちにもエールを送りたいと、いつも思っています。。。

BLUE GIANT 1 (ビッグコミックススペシャル)
作者:石塚 真一
出版社:小学館
発売日:2013-11-29
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今回私がレビューを書かせていただいたのは、主人公の才能に、人が動かされていく様子を心地よく描いた『ブルージャイアント』です。本気でなにかに取り組んだことのある人は、きっとこういう人にどこかで出会っているはずです。

その道に選ばれちゃった人。

その人のもつ圧倒的才能への憧れや、嫉妬や、自分の挫折感なんか超えて、清々しいまでに、応援したい気持ちになることがあります。音楽の世界では、テクニックも、知識も、練習量も果てしなくて、それは全て必要。だけど、不思議なことに、純粋にそのひとの出す「音」の力って本当にあって、努力だけではどうにもならない「音」に何かを宿らせることができる人がいます。そういう「音」に出会っっちゃった時って理屈抜きで、ああ、これが本物だってわかるんです。

人は「音」の前に理屈抜きで魅了されてしまうことがあります。この作品では、そんな「音」の魅力がすごくよく描かれているな、と思います。音楽マンガとかスポーツマンガのあるあるで、どんな天才でもそんな急に上手くなったりしないってー!っていうのがあるけど、『ブルージャイアント』はまだあんまり上手くないっていうところもいいなと思います。

音楽を”上手く演奏”するための努力も孤独で果てしないものです。そして、”上手く演奏”できる才能も一握りの人たちだけのものです。でも、それだけではどうにもならない「音」に宿る才能をもった「ミュージシャン」が、超一流のプレーヤーへ至る壁も、ちゃんと描かれています。

作品のなかでは、敗北感じゃなくって、出会えたことで自分も大きくなれる、相手に感謝出来るタイプの才能が描かれています。自分の求める「音」に到達できると信じて、常に才能と戦っている、すべてのミュージシャンを尊敬したくなる、『ブルージャイアント』はそんなマンガです。

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